CBDは心と身体を整える、新しい選択肢。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)・御川先生インタビュー

CBDは現在、睡眠の悩み、頭の重さ、節々や身体の痛み、ストレスによる不調、イライラや気分の落ち込み等の症状に効果が期待されています。

自律神経の調整や、心身の健康の維持、睡眠障害など、現代的な不調にもアプローチできるCBD医療。CBDの認知は日本でも広まりつつあり、また、従来の医薬品に頼らない治療法へのニーズも強まっています。

今回、そんなCBD医療の専門家として今回お話をお伺いしたのは、東京・千代田区でハイブリッド栄養医学・先進予防医療に基づいて診療を行う、ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)・御川先生です。

身体の自然回復力を高める「補完代替医療」の一つとして、CBDに注目しているという御川先生は、CBDは現在の標準医療では救いづらかった、様々な症状にアプローチできる可能性があると言います。

御川安仁/ナチュラルアートクリニック四ツ谷
1995年岡山大学医学部卒業後、救急医療・麻酔・集中治療・痛みの治療を中心に研鑽を積む。
救急の現場に携わる中で、「保険診療の限界」を感じるようになる。
より多くの人を救う答えを求める中で補完代替医療の可能性に興味を持ち、自身で勉強を続ける。
2015年、ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)を開業。
先進医療や予防医学、栄養療法など、総合病院で取り扱いのない補完代替医療を提供している。
目次

標準医療で救えなかった患者たち。補完代替治療の観点から、CBDに期待

――まずは、先生のプロフィールとご経歴を教えてください。

私は1995年に岡山大学医学部を卒業し、救急医療・麻酔・集中治療・痛みの治療を中心に研鑽を積んでまいりました。医師としてのキャリアのうち、最初の20年は麻酔科医・救命救急医として、重症患者に向き合ってきました

救急の現場に携わるうちに“保険診療の限界”を感じるようになりました。もちろん救命救急は人々のために不可欠な領域で、やりがいはありました。それでも「もう少し何かできたら、助かったであろう患者さん」もたくさん見てきました。また、基礎病態に慢性疾患がなければ、そもそも救急に運ばれずに済む患者さんもたくさんいます

自分にできることはなんなのか、どうしたらもっと多くの患者さんを救えるのか、答えを求める中で、補完代替医療の可能性に興味を持ち、その分野における勉強を続けました。

そして医師になって20年目に、標準医療の現場を離れて、現在の標準医療が苦手とする症状にアプローチできる医療を提供するために、先進医療や予防医学、栄養療法など、総合病院で取り扱いのない補完代替医療を扱うナチュラルアートクリニック(四ツ谷)を開業しました。

――補完代替医療について、詳しく教えてください。

補完代替医療とは、われわれ医者が病院やクリニックなどで提供している、健康保険を利用した標準医療にとらわれず、医師あるいは医師以外の様々な治療者によって行われる医療のことです。

補完代替医療を知った当時は、アロマセラピーやリフレクソロジーなどの民間療法が流行していたので、自身もその分野に関わってみようと、まずはサロンを開業しました。何が効いて、何が効かないのかを見極めるために、アーユルヴェーダから怪しげな(当時はそう思っていた)ヒーリングまで、資格を取ったり施術を受けに海外に行ったりを繰り返しました。

――クリニックのコンセプトについて教えてください。

現代の標準治療では、症状を薬で「抑える」ことが主流ですが、私が考える医療のコンセプトは、ひとが治ろうとしているのを手助けすることであり、できるだけ薬に頼らず、その人の治る力を発揮できるようにサポートすることです。

もちろん、痛みや苦しみを取り除くことも医療の大切な役割です。しかしそれだけでなく、その人の基本的な能力・体力・体調などを整えてあげることで、症状という名の機能障害そのものを取り除くことをゴールとしています。本来、人間が持っている機能が正しく働く体質を取り戻すこと、自然回復力を高める医療を提供することです。

――予防医学の観点から、CBDにどのような可能性を感じていますか。

CBDや大麻のことは、救命医だった頃から存在を認知していました。しかし、本格的に学び始めたのは、2013年からで、さらに2014年にオーストラリアで開催された、医療大麻の学会に参加させてもらった時期から臨床応用するようになりました。

その学会で研究発表や実際の患者さんたちの経験談を聞いて、医療大麻の大いなる可能性に気づき、すぐに患者さんに処方するようになったのです。まさに、これまで標準医療で対応しきれなかった心身のストレスや慢性病、繰り返す皮膚疾患などに効果が期待できるというところで、治療や予防医療の新しい選択肢の一つとして注目しています。

標準医療で病名のつかない慢性疾患やストレスケアに効果的

――2014年という国内でも早い段階からCBDを処方されていたかと思いますが、患者さんの反応はいかがでしたか。

診療で私が直接勧めた患者さんの多くは、偏見なく治療に取り入れてくれることが多かったです。診療の中で私と患者さんに信頼関係ができていることや、自然治療を求めている方が患者さんに多いことも関係あるかもしれません。

しかし、CBDを処方し始めた2014年頃は、総合病院ではまだ、CBDを処方していることを公にしてはいけない空気感がありました現在は認知拡大とともに、その風潮もなくなってきたように感じます

――現在、クリニックではどんな症状を持つ方にCBDを処方されていますか。

主には不眠症、メンタル疾患、がんの方、皮膚疾患がある方、慢性痛のある方などです。

例えば、睡眠はまだ医学でも解明しきれていない分野で、標準治療では数種類の睡眠薬を処方される場合もあります。しかし、実際は薬の副作用に苦しんでいる方もいて、夢遊病などを併発する場合もありますし、薬に依存したり、メンタルのバランスを崩してしまう場合もあります。

クリニックに通う患者さんの中には、CBDとホルモン治療で睡眠障害を克服し、断薬できた方もいらっしゃいます。

CBDは慢性疲労にも効果的なので、働きすぎている人や人間関係で疲れてしまっている人など、標準医療では病名がつきづらい人にも効果を発揮する可能性があります。大きな副作用もないので、様々な症状で処方しやすいですね。

――CBDを処方する時に、気をつけていることはありますか。

2点あって、1点目は患者さんにしっかりとCBDについて説明すること、そして2点目はCBDだけに頼らないことです。それぞれ、症状が出ている原因や持っている疾患も違うので、検査をした上で他の治療法と併用することが多いです。逆にいえば、他の治療法と併用しやすい選択肢ではあるので、汎用性が高いことは確かですね。

CBDが広げる、補完代替医療の新しい選択肢

――CBDは認知拡大とともに、濃度が高いものやレアカンナビノイドなど選択肢が増えてきていますが「新しいCBD関連商品」に関してはどう見ていますか?

どっちがより効果が大きいというよりは、本人の症状に合うかどうか、体質に合うかどうかの違いと捉えています。同じCBDでも、少量で効く患者さんもいれば、商品そのものが合わず効果がない患者さんもいます。一概にどの商品がいいかは言えませんが、CBD医療の拡大とともにその可能性についても解明されていくと思います。

――今後、クリニックを通してどんな医療を実現していきたいですか。

私自身、救命医をしている時は寝る時間がなくて、48時間連続で働き続け、ということも多くありました。体力には自信がある方でしたが、突然倒れてしまった時もありました。その頃は慢性疲労やアレルギーもひどくて、その上、肺炎にもかかっていました。一度しっかり調べてみると、ビタミン欠乏状態、副腎疲労状態に陥っていて、免疫が落ちていたことに気づきました。

そういった自身の経験も、自然回復力を高める予防医療に可能性を感じた一つの要因です。実際、バイオリズムを整えて栄養をしっかり取ったことで、体の不調は改善していきました。ストレスケアや生活習慣の改善、そして栄養の見直しで、体の不調は改善するし、病気も治る。そういった治療の認知拡大に貢献するとともに、患者さんの治療の選択肢を増やしていきたいですね。

――これからのCBD医療への想いをお願いします。

より多くの日本の医療関係者にCBDの認知や理解が広がっていくことで、患者さんや一般の方の健康管理がより簡単になっていくことを望みます。

CBDは現代人の家庭の置き薬的な存在になっていくと思いますし、そのためには医療関係者がCBDの取り扱いを独占するのでなく、消費者のみなさんが自由に手に取り、使用できるようにすべきと考えます。

しかし、困った症状がある場合に、病院を受診する選択肢も捨てないでください。標準医療で疾患をコントロールすることも重要です。

たしかに、標準治療では治らない疾患は存在します。そこをアシストするために、補完代替医療は存在しています。

特にCBDは今後も広まっていくと思うので、手軽な補完代替医療の選択肢として、皆さんにとってさらに身近な存在になっていくことを望みます

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