現在、厚生労働省は、CBD製品の規制を緩和する内容を盛り込んだ大麻取締法の改正案を国会に提出する準備を進めている段階です。
今流通しているCBD製品は、「大麻の茎や種子からのみ抽出したもの」という部位規制がされています。改正案では成分規制に変更されることで、THCの残留値を設定し、今まで規制されていた葉や花穂を原料に使った製品も流通できるようになる可能性があります。
法改正で医療目的での使用など、大麻の適切な利用が推進されることで、CBD市場が急拡大するという期待感が高まっています。
今回インタビューしたのは、吸収性・即効性・持続性に優れた次世代CBDと言われる「水溶性CBDナノ」を開発した、株式会社CBD日本の代表取締役ベンジャミン・ジョンソンさん。
アメリカ出身の彼が、なぜ日本でCBD事業を立ち上げることにしたのか。
その想いと苦悩の末に描く未来とはーー?
アメリカ人英語教師が日本でCBD事業会社を立ち上げた経緯とは?
ーーまずはベンジャミンさんの自己紹介とCBD事業を始めたきっかけを教えてください。
2006年にもともと1年間の予定で山口県にやって来ました。英語を教えたり、日本文化を楽しんだり、大好きなお寿司を食べたいなと考えていました。実際に滞在してみて、日本人の礼儀正しさやみんな一緒に、というアメリカにない平和的な考え方に触れ、それまで以上に日本が好きになりました。
結局、1年間だった予定は12年間になり、英語教師だけでなく、工場、学校、病院などで通訳や翻訳の手伝いをし、後半の5年間ではビジネスオーナーとして国際コンサルティング事業もやってきました。
そんな中、2018年にWHOがCBDを「依存及び乱用の可能性がなく、国際的な薬物条約の規制対象外」に認定しました。
その際苦心してCBDを輸入し、自分でも使ってみました。もともと私はカリフォルニア出身なので、CBDが健康への効果が期待されていることは知っていましたが、日本に長く住んでいたため、試したことはなかったんです。
実際に使ってみて、効果に驚きました。
そこからCBDの製造工程や濃度に関してなど、わからないことを学びたいと思い、コロラド州にあるCBDの工場に行って1年間学ぶことにしました。そこで麻の栽培からCBDナノの製造工程まで学びました。
そして、日本初のCBDナノの輸入に向けて、工場との特別なパートナーシップを築くことができたのです。
コロラドではビギナーだった私ですが、東京ではエキスパートと言われ、2019年11月に弟と会社を設立しました。弟は今もアメリカに在住し、工場との相談など事務方を担当しています。
ーー早くからCBDの効果に着目し、実際に自分でCBDを輸入し使用してみて健康への効果を実感し、2019年に弟さんと起業したというわけですね。
ーー会社として事業にしていく決め手になるポイントはどんなことでしたか?
それは2つあります。1つは、CBDはうつ病に対して効果が見込まれているということです。
山口に住んでいた時に、生徒や友人にうつ病の人がいました。日本人は、「自分はクレイジーじゃない」と我慢して、不安に思いながらもメンタルクリニックになかなか行くことができない。そんな人が毎日CBDを飲めばうつ病を予防できるのではと思いました。他にもたくさんの期待できる効果があるので、お年寄りの方にも喜ばれました。
もう1つは現在の日本の麻に対するイメージを変えて、日本の伝統文化を守りたいと思ったことです。
私はいろいろな宗教を学ぶことが好きです。山口大学でも宗教について教えていたことがあり、日本人が宗教にあまり興味がないことも知っています。
日本の宗教である神道で麻はとても大切なものです。服、しめ縄、空気がきれいになるなどたくさんの使い方があるとされています。神道はヒンドゥー教、ユダヤ教などのように古くからある宗教です。何千年と長い歴史で大切なものとされていた麻が、ここ70年で悪いと言われているのです。
私は日本の宗教を尊敬しています。日本の文化には麻が関係していて、それを取り戻したい、そのための助けがしたいと思いました。
ーーCBDについてはうつ病などの症状を緩和する効果に可能性を感じたということと、純粋に日本や伝統文化が好きで、失われてきている日本を取り戻したいということですね。
はい、そうです。
ーー日本のことをそれだけ愛してくださる方がいるのはすごく嬉しいですね。ではCBD日本(ニホン)とつけたのも、日本が好きという意味合いも込められているということですか。
はい。CBDとはかっこいいイメージですが、今の麻に対する悪いイメージのままでは未来はないと思い、安全だと感じてもらえる名前にしたいと考えました。
科学的にはCBDは新しいものですが、麻自体は新しくない。CBDは海外から来たものだけど、麻は古くから日本にあるものです。それで、CBD JAPANではなく、この国の呼び方であるCBD 日本(ニホン)としました。
CBDは特別なものではないけれど、希望があります。かっこいいイメージも広がりつつあり、製品を渡すときに「お〜CBD!」と喜んでもらえる様子が見られるようになり、とても嬉しいです。
CBDや麻を使うことが普通になっていけば、日本人はもっと健康的になれると思っています。
事業展開する上で立ちはだかる大きな壁
ーー会社として、CBDの事業をすることに不安はありましたか?
今思えば、もっと不安に思って行動すべきだったと思いますが、その時はそんなに不安はありませんでした。
2018年頃に人づてで、今後日本でもCBDを輸入したり、売ることができるようになるということを耳にし、厚生労働省に相談しました。
しかし日本人は麻を話題にすると、聞く耳を持ってくれませんでした。事業として不安というよりは、文化vsCBDのイメージの問題をどうしたら改善できるのか、という不安の方が大きかったです。
最初の1年はCBDの説明をしているときに「たくさんの効能があり、アメリカでも人気のアイテム!」と気になった人でも、「でも麻から作られてるんでしょ…」という反応ばかりでした。
2021年頃から反応が変わってきて、今なら東京では20〜30%の人は「CBDって聞いたことある!リラックス効果があるんだよね。麻が原料なんだっけ?」という反応です。
しかし、山口では「麻!麻からできてるの!?大丈夫?」という反応。山口の友達にはCBD販売をすることはクレイジーなことだと思われています。クレイジーだと思われることは不安にもなりますが、少しずつCBDの理解も広まって、変わってきているとは感じています。
ーー2018年から動き始めて、CBD事業で大変だったのは、やはり厚生労働省とのやり取りですか?
厚生労働省とのやり取りも大変でした。現行の法律は曖昧でわかりにくく、人によって対応が違います。
さらに厚生労働省よりも食品税関の方が厳しく、ラッキーなときはすぐ通関できるのに、アンラッキーだと1週間くらい待つこともありました。
他に大変だったことといえば、CBDとCBDナノの違いを理解してもらいにくいことです。
わかりやすく例えると、CBDは大衆用の軽自動車、CBDナノはテスラです。どちらも車として目的地に行けますが、性能が違いますよね。
CBDナノは吸収率が桁違いで、CBDの600%あります。効果を感じるまでの時間もCBDを飲んで30〜45分かかるのが、CBDナノなら5分ほどで効果が感じられます。
コーヒーショップで、コーヒーにCBDオイルを垂らしてCBDコーヒーを販売しているところもありますよね。世界中でドリンクにオイルを入れるということは、普通あり得ません。水分にオイルは溶けないし、見た目も悪くなる。
それに経口摂取したCBDは肝臓で代謝されるため、摂取量のうち90%は排出されると言われています。
これらの問題を解決するために、弊社は水溶性CBDナノを作っています。ですが、CBDナノはコストが高すぎると断られることもあります。
ーー経口摂取でも5分で効果が感じられるというのはすごい。ベイプ並ですよね。
ベイプの効果はすごく早いけど、効果が切れるのも早いですよね。でもCBDナノは5分で体感し始めて4時間ほど体感が持続します。メリットをいいとこ取りしてる製品だと思います。
CBD日本の造る次世代CBD「CBDナノ」の強みとは?
ーーCBDナノの開発は大変だったと思いますが、開発秘話やこだわりを教えてください。
水溶性CBDの開発は進み、競合メーカーは増えてきています。ただ水溶性というだけでは、水に溶けやすくはなりますが、吸収率が増えるわけではありません。
CBDナノはソニケイションという超音波を使用した科学的アプローチでCBDの粒子を小さくします。CBは1000〜3000nmあるといわれていますが、弊社のCBDナノは第三者テストで120nmという結果が出ています。だから吸収率が高く、最大で600%の違いがあります。
わかりやすいイメージでいうと、CBDはメロン、吸収する胃の粘膜がテニスネットの網目です。強く打てば少しネットを通り抜けるかなという感じですよね。
CBDナノはぶどうの粒です。簡単にネットを通り抜けてしまいます。この違いがCBDとCBDナノの違いです。この吸収率の高さにこだわりました。ドリンクに入れれば混ぜなくてもすぐに溶けてしまいます。
そして、このCBDナノパウダーは混ぜやすく、温度も180度までなら効果が変わらないので、ケーキやクッキーにも混ぜて使えます。
最近はCBDナノを取り扱うカフェやメーカーも増えてきているところです。
ーー御社ではCBDドリンクも販売していますが、消費者が選ぶ基準のポイントを製造者目線で教えていただけますか。
弊社では「ゆるりら」というリラクゼーションドリンクを販売しています。サイズとしては栄養ドリンクのようなサイズで、ストレスを感じているとき、ほっと一息つきたいときに手軽に飲んでいただけます。刺激より癒しをコンセプトにしているので、爽やかなデザインラベルで、女性の方でも手に取りやすい商品です。
内容成分にも注目してもらいたいですね。この商品には水溶性CBDナノはもちろん、ウコンも入っています。他社のウコンドリンクよりも含有量が多いです。
他のCBDドリンクはCBDアイソレートを使用しているのに対して、ゆるりらはブロードスペクトラムなので効果の感じ方の違いに驚くと思います。
ウコンドリンクといえば二日酔いのイメージですが、ウコンはデトックス効果があり、最初はウェルネスに関心がある女性をターゲットに作った商品だったのです。
実際に飲んだ方からもご好評をいただいており、男女問わずに愛用してほしいですね。
法改正後に期待される、日本のCBD産業の未来
ーー東京ではCBDを取り扱うお店も増え、麻に対するイメージが変わりつつあるのは実感します。地方ではまだ売っている店も少なく、話題にする人もあまりいない状況ですが、逆に伸び代があるということですよね。
そうですね。それはアメリカも同じで、トレンドは都会から地方へ広がっていくものです。先日、山口に行きましたが、あるマッサージ店でCBDオイルを使っているという話を聞きました。まだそこだけです。
来年法改正があるという話があるので、待ち遠しいです。法律が変わればCBDが広がりやすくなるし、事業の展開もしやすくなります。
ーー法改正の話が出ましたが、これからの日本のCBD事業はどうなっていくと思いますか。
日本はトップダウンの文化なので、政府が認可すれば、徐々に広がっていくと考えています。
アメリカでは2013年にてんかん治療薬として、医療用CBDの認可がおりました。それまでも法的に大丈夫とされていても、誰も興味がなかったんです。
医療用CBDが出て話題になることで、カジュアルユーザーのブームも起こりました。
「CBDはてんかんに効果が期待できる。そんな大変な病気に効く、いろいろな効能のあるCBDってすごい!実際、私の肩こりにも効いているし…」というような感じで広まりました。
法改正以降、日本でもCBDブームはくると思っています。
ーーこれから市場が大きくなる、競合が増える中で、御社の水溶性CBDナノという強みを活かしてどのように展開していこうと思っていますか?
ルーツを活かして展開していきます。私はアメリカの工場でも働いて、学びました。社長から原料の麻を作っている人まで知っています。
USDAオーガニック認証だけでなく、ハラール認証やコーシャ認証など各宗教に対応した認証も取得しており、トレーサビリティもしっかりしているので、品質の高い、安全で安心できるCBDを提供できます。
ーー最後にこれから商品を作りたいメーカー、企業様に伝えたいメッセージをお願いします。
これから競合メーカーが増えると思います。もしあなたのメーカーが特別な会社づくりをしたい、他社とは違う強みを作りたいなら、水溶性CBDナノがおすすめです。
CBDの種類はすでにたくさんありますが、CBDナノはまだ少ないのでチャンスが広がります。市場を見てもCBDナノのリピーターが多いという結果もあります。
というのは、CBDは効果を実感するまで30分以上かかってしまうからです。例えばカフェでコーヒーを飲んだとしても、効果を待つうちに話題が変わり、気づかないこともあります。効果がはっきりしないとリピートにつながらない。
でもCBDナノなら5分ほどで体感を得られます。効果を体感できるからリピーターが増えるのです。
CBD事業を考えているなら、まずCBDナノを比べてみてください。弊社のCBDナノには自信があります。
私はコロラドで良い工場に出会えて本当にラッキーでした。原料から製造まで全てを知っているので、必要としている人の助けになることができます。
弊社のCBDナノを選んでもらえたら嬉しいです。