日本の“不透明なCBD市場”を変革する。Next Gen.Imports鎌田社長インタビュー

CBDの認知は数年前と比べて広がっているかのようにも思えるが、その一方でECサイトで「CBD」と検索してみると、未だに原料や分析表が不透明な「怪しい商品」が出回っていることは事実である。

こういった商品が市場に出回る限り、CBDに対する「不透明な不安」は、市場からも消費者からも消えない。そのような消費者たちの漠然とした不安に向き合って、CBD市場をクリーンで安全な市場に変えていこうとしているのが、Next Gen.Imports合同会社の代表取締役・鎌田大平氏だ。

CBDの原料卸会社である同社だが、彼らが掲げるのは「市場と消費者を安心させる透明性のあるものづくり」なのだ。CBD市場から「不透明な分析表」が消えた時、日本の市場がどう変わるのか――そんなポジティブな期待を持たせてくれるインタビューとなった。

鎌田大平氏

透明性の高い安全な原料で日本のCBD市場を安定化したい

――鎌田さんはどうして、CBDで事業を立ち上げようと考えたのですか?

もともと学生時代から起業したいという思いがありましたが、新卒では大手金融会社に入社し、個人のお客様向けのコンサルティングなどを担当していました。まずは社会人経験を積みながら、どんなことで起業するかを模索していたのですが、同期のアメリカ人たちが当たり前のようにCBDを持っていることに、興味を持ちました。

その時、世界ではすでにCBDがかなり受け入れられているようでしたが、日本でCBDを探してみると、価格もピンキリで、どれが安全な商品なのかも分からないほど、市場が整っていませんでした。だからこそ、これから伸ばしがいのある領域であると考え、この領域での起業を決意しました。

――Next Gen.Imports合同会社で取り扱っている事業についても詳しく教えてください。

弊社の主な事業は、CBDの原料卸です。市場を安定させるためには、ブランドとしてCBDを売っていくというよりも、安全で高品質なCBD原料を取り扱うべきだと考えたからです。起業当初から比べてもCBDを取り扱いたいというブランドは増えていますが、みなさん安全な原料ルートを確保することが難しいのが、今の現状です。

僕たちの強みは、安全で高品質、そして日本の法律に準ずるCBD原料を取り扱っているということです。卸売の原料の安全性はもちろんのこと、今弊社で需要が伸びてきているのが原料加工のサービスですね。海外に加工ラインを確保しており、THCを日本の厳しい規定に合わせてしっかり除去することができます。リスクヘッジの観点から、ご好評いただいていますね。

提供サービス

――海外に信頼できる工場や農場とのつながりを持っているんですね。

アメリカ・ペンシルバニア州のHemp.Synergitics社との独占契約を締結していて、そこで原料と加工ラインを確保しているんです。どこの農場で取れて、どう加工されたかが不透明にならないよう、間に会社を入れないようにしてしっかり開示しています。

Hemp.Synergitics

――なるほど。ブランドにとっても、消費者にとっても安心できますね。

透明性というところにはかなり力を入れておりまして、実は検査も提携会社でできる体制にしているんです。アメリカの老舗検査会社である「Anresco」とも、日本法人である「Anresco Japan」を通して直接発注をさせていただいており、原料はもちろん、関わらせていただいているブランドの製品も、こちらで日本の法基準で検査させていただいています。

分析表や検査日にマスキングがないように、このような形を取らせていただいています。最終商品も検査させていただいたのち、認証バッチを添付し、そこから分析表を確認できるようなシステムにしています。

――透明性にかなりこだわられているんですね。

CBDは日本にもともとない文化ですし、メーカーさんもブランドさんも検査機関や卸売業者を信用するしかない状態でものづくりが進んでいきます。

でも、今はマスキングされた怪しい分析表でCBDが売られることも是正しきれていない現状です。それはメーカーやブランドにとっても、消費者にとってもリスクですから、日本でCBDが浸透していくためには「透明性」を確保し続けることがマストだと考えています。

「卸売会社」としてでなく「ものづくりのパートナー」でありたい

――日本のCBD市場には、まだ消費者にもメーカーにも見えづらい「悪いもの」もある現場ということですよね。そんな市場でビジネスするにあたって、大事にしているポイントはありますか?

大きく2つのポイントがあります。1つ目は、10種類以上の原料を用意しているので、作るものに合わせてどの原料をどのくらい使うべきかというところをしっかり提案させていただくことです。今はCBD商材も多岐にわたっているので、商品企画段階での原料コンサルティングは無料で入らせていただいています。

提供原料

2つ目は、クライアントに対してマーケティングに近い側面でもお話させていただくことです。商品企画のコンサルを行ってきた実績により「売れる商品はどんなラインナップであるべきか」「どんなコンセプトであるべきか」まで、私たちには知見として溜まっています。ものをただ作るだけでなく、私たちが介入することで「より高品質で、より消費者に好まれるもの」を作るお手伝いをさせていただくことを、大切にしています。

――原料卸売会社としての機能だけでなく、共にものづくりしていくパートナーとしてもアドバイスいただけるんですね。

おっしゃるとおりです。CBDの原料価格も、色々な要因で上下があるのですが、私たちは「より高品質で低価格」な原料を提供することを心がけています。それがブランド様、引いては消費者たちのウェルネスライフに繋がると考えているからです。透明性にこだわっているのも、同じ理由ですね。

――原料が低価格で用意できることには、どんな理由があるんですか?

まず、大量ロットで発注しているので、仕入れ単価を下げていること。また、アメリカ現地においても品質差や価格差が存在するので、各原料ごとに買付先を変えたりしています。とはいえ、もっと安く原料を用意している卸会社はたくさんあるんですよ。

しかし、輸送時の保険加入や、原料の複数回検査を実施しているため、安全性や透明性において絶対に満足していただけるという自信があります。

――原料で、特におすすめのものはありますか?

どんな商品を作るかによってどの原料を使うべきかは変わるので、一概には言えないのですが……特に注目していただきたいのは、弊社で特許出願中の水溶性原料「Bio-Dri」ですね。

bio-driテクノロジー

――「Bio-Dri」はどんな原料なんですか?

ドリンク用に使っていただける原料なのですが、乳化剤不使用でナチュラルな成分で作っています。完全無味で加工もしやすく、小腸で分解されるためCBDの吸収率がいいので、その点で特許を出願しているんです。

――なるほど!気になりますね……!「Bio-Dri」含め、今後はどんなクライアントに御社の原料を使って欲しいですか。

一言で言えば「信頼感」を求める企業様でしょうか。安全性を保証している分、検査数が多かったりと、原価の部分で「市場で最安値」をご用意できるわけではありません。

価格競争の中で一位を走り続けることはできないかもしれませんが、コンサルまで入らせていただくこと、リスクヘッジの観点に注力しているという部分で「いいものを作りたいが、お客様に安心して使っていただけるものづくりがしたい」と考えてくださる方々になら、満足いただくことができると思います。

リスクヘッジの観点を重視しているので、今後市場が広がっていくと分かっている分野でも、一過性ブームの原料に安易に手を出せないという弱みもあります。ですが私たちは絶対に法律を犯すような原料を輸入しませんし、お客様のものづくりにも妥協しないとお約束いたします。

bio-driテクノロジー

――今後、CBDの市場はどのように変容していくと思いますか。

「知らないものは見ない、触れない」という日本の文化においても、CBDの効果体感の認知が広がっていると認識しています。CBDだけでなく、麻そのものの有効性の高さも今後注目されていくと思いますし、その過程で我々が法律を遵守しながら、国内にCBDの有用的な可能性を広げていけたらと思っています。