身体と心の専門家が送る健康ライフスタイルVol.2 整体サロン「Corona鍼灸サロン」代表・古張数馬氏――水分補給と運動、そして食事。身体の根本から見直し、慢性痛へアプローチ――

肩こりに腰痛、関節痛・・・。これといった原因がないのに痛みが取れない“慢性痛”にお悩みの方は多いのではないでしょうか。

今回は、原宿エリアでは珍しい慢性痛ケアに特化したサロンの、代表・古張数馬さんをゲストにお招きして、慢性痛の緩和、予防のためのセルフケアのコツについてたっぷりとお伺いしました。

慢性痛に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

古張数馬/Corona鍼灸サロン
整骨院併設のストレッチ専門店でアルバイトを始めてから整体師の道へ進む。
その後、美容整体店での経験を経て、現在原宿エリアにてCorona鍼灸サロンを経営。
慢性痛や不調に悩む人を一人でも減らすべく奮闘中。
目次

役者から心機一転。偶然の出会いから整体師へ。

――簡単に自己紹介をお願いします

古張数馬と申します。

原宿エリアで慢性痛や不調の改善に特化した整体サロン「Corona鍼灸サロン」の代表をやっております

――これまでのご経歴を教えてください

現在の鍼灸サロンの前は美容整体のサロンで丸3年。その前は整骨院併設のストレッチ専門店で3、4年程経験を積んできました。

――ずっと身体にかかわるお仕事をしていらっしゃったんですね。どのようなことがきっかけで整体師のお仕事を始められたのでしょうか

アルバイトでストレッチ専門店で働き出したのがきっかけです。

高校卒業後、普通に就職をして働いていたのですが、役者になりたくて、仕事を辞めて養成所に通うようになりました。

養成所に通っている間、何かバイトを探さなければとあれこれやってみたんですが、全然続かなくて(笑) そんな中、たまたまストレッチ専門店のオープニングスタッフ募集の求人を見つけました。当時はまだ今みたいにストレッチ専門店のブームが来る前で、珍しいなと感じて、面白そうだと思ったんですよね。

役者の仕事よりも整体師としての仕事が楽しくなってきてしまったので、役者は辞め、整体師一本でいくことを決めました。

――偶然の出会いが今につながっているんですね。では、現在代表を務めているCorona鍼灸サロンの紹介をお願いできますか?

当サロンの大きな特徴は、慢性痛の改善に特化して患者さんに施術を提供しているという点です。原宿エリアは美容サロンが多い土地柄ですが、うちでは慢性的な痛みや不調の改善を一番の目的にしています。

 2つ目の特徴は、無理な営業は行わないことです。よく整体に行くと、回数券買わされてしまった、なんて話をよく聞くんですけど、うちはそもそも回数券制度を取り入れていません。それでも定期的に来ていただいてる方は多くいらっしゃいます。押し売りをせず、ちゃんと効果を実感していただき、納得して通っていただくことを理念にしております。

――押し売りがないのは本当に安心します。サロンにいらっしゃるお客さんはどのような方が多いですか?

性別は男女関係なくいらっしゃいます。年代は20代の方もいらっしゃったりはするんですけど、 30代、40代の方が多いですね。

――やはり30代になると体調に不安を感じ始める方が多いのでしょうか?

そうですね、不調を訴え始めるのは大体それくらいの年齢だと感じます。

慢性痛と生活習慣。とにかく大切なのは「水分と運動」

ーー私はデスクワーク中心の仕事をしていて、肩こりがひどいのですが、古張さんは肩こりを感じたことはありますか?

僕はあんまりないんですよ。基本的に肩がこったなと感じることはほとんどないです。たまにデスクワーク作業を集中してやった後に「おや?」と思う程度です。

――うらやましい!(笑)古張さんご自身は健康維持・予防のために普段どのようなことを行っていますか

基本的なことですが、水分補給と運動ですね。この2つは絶対に欠かせないです。

――具体的にどの程度の量の水分補給が必要でしょうか?

水分補給にはいろんな説がありますし、個人個人の運動量などで変わってくるとは思うんですけど、最低でも1日に1リットルぐらいとっておくといいと考えています。

食事からも水分は取れているので、実際に水として飲むのは1リットルが目安じゃないかなと思います。

――食事からとれる水分量も含めて考えていいんですね。なぜ水分摂取が健康に良いといわれるのでしょうか。

人間は年々、体内の水分量が減っていくんですよ。赤ちゃんの頃は見てわかるとおり水分がたっぷりとあるんですけど、20代を境に、体の水分がどんどん減っていくんです。

水分が減っていくと、体の中に溜まった毒素や老廃物など、体にとって不要なものを流しにくくなってしまうんですよ。

なのでちゃんと水を飲んで外部から補うことが必要になります。あとは、体を動かすと余分なものが体外に流れいきます。

老廃物を貯めこまないために水分補給と運動は欠かせないですね。

――古張さんはどのタイミングで水を飲むか決めていますか?

まず、夜寝る前と起床後はコップ1杯分ぐらいの水を飲むようにしています。

あとはこまめに飲むのが大事です。一気飲みしても体にしっかり吸収されないんです。例えば1時間に1回コップ1杯の水を飲むとかですね。

僕の場合はサロンでの施術の前後でコップ1杯ずつ水を飲んだりしています。

――古張さんの日常の運動量を教えてください。

僕がやるのは最低限の筋トレだけです。

 一時期は本格的にジムに通って今日は腕立て伏せをやって、明日はスクワットをやって、と日に分けて身体の各部位を鍛えていたのですが、コロナで休館したのをきっかけに退会しました。

最近は自宅でできるトレーニングを行っています。例えば、スクワットや懸垂ですね。

あとはHIIT(※)を昨日から始めました(笑)

※高強度インターバルトレーニングの意味。負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法で、時短筋トレとしても注目を集めています。

――自宅での続けられるのはすごいですね!運動を継続するのが一番難しいと思うのですが、古張さんはどのようにモチベーションを維持していますか?

今2歳の息子がいるんですが、将来運動会で親子リレーなどがあるときに、ちゃんと走れる父でいたいんです(笑)

これは1つのモチベーションになってるかもしれないですね。息子に恥をかかせられないので。

あとは、運動を継続できるかどうかは自分との戦いでしかないですね。

気分が乗らない時でも、1回腕立て伏せしてみるとか、 1回だけスクワットしてみるとか、とりあえず、その1回だけやってみるのが大切です。

1回やると、「もうちょっとやるか」という気になります。そうすると5回とか、10回とか、案外やれちゃうんですよ。

――行動をシンプルにする考え方ですね。それだったらハードルが低く、習慣化しやすそうです。

そうですね。1回だけでいいからやってみようという考えは大切です。

1と0とは全然違いますよ。 1回だけだったとしても毎日継続すれば、1年で365回できるわけですからね。

普通に生きていくだけだったら別に運動しなくても生きてはいけるんですけど、健康的に生きていたいと考えるのであれば、絶対に運動をした方がいいです。

そもそも痛みを引き起こさない!身体づくりの基本はやはり食事から。

――多くの方が悩む、肩こり、腰痛、膝の痛みなどの慢性的な痛みはなぜ起きてしまうのでしょうか?

一言でいうと発痛物質と呼ばれる痛みを引き起こす物質を発生させないことが重要になります。

詳しく説明しますね。

肩こり、腰痛、膝の関節の痛みなど、あらゆる痛みの信号がどのように脳に伝わるかというと、人体のあらゆるところに存在する膜組織というものがあります。筋膜リリースという言葉が一般的ですが、筋肉以外にも内臓や骨、じん帯や腱などにも膜が存在します。この膜組織に痛みを感じる受容体がたくさん集まっていて、その受容器が痛み物質をキャッチすることで、「痛み」として、脳に信号が送られていくんですよ。

このような仕組みで肩こりや腰痛などの痛みを感じるんです。

なので、まず痛み物質を起こさないことが重要になります。痛み物質は血流が悪くなり酸素不足になることで発生しやすくなります。なので、循環を良くするということも大事ですし、先ほどお伝えした運動と水分補給を意識して日常生活を送ることで、酸素不足による痛み物質の発生を抑えることが大切です。

――慢性的な痛みは、痛みを抱える人にとってどのような影響を与えるのでしょうか

やはりメンタル面でしょうか。

それまでできていた運動や趣味ができなくなって悩んでしまい、気持ちが落ち込む方はいらっしゃいます。

――慢性的な痛みを抱えている人の中には、改善のために色々試してみるけど中々よくならないという人も多いと思います。なぜ、慢性的な痛みは良くならないのでしょうか?

改善されない理由としては、食生活が大きく関係してきます。

人間の身体は食べたものでしか作られません。

身体によくない食べ物の例としては、炭水化物、糖質があげられます。糖質の過剰摂取は関節にとってあまり良くありません。糖質の最終代謝物は痛み物質になります。また、炭水化物多めの食事をしてると、アレコレと改善のために治療に通っていたとしても、痛みがすっきりしない可能性が高くなります。

あとは、運動不足と水分不足。何度も言いますが、これに尽きるかなと思います。

――なるほど。やはり身体の根本的な部分から見直す必要があるんですね。

そうですね。

食事内容も年齢によって変化しますよね。例えば20歳を超えたらお酒を飲めますが、年齢的にOKでも、身体にとってOKかと聞かれればNOというのが正直な感想です。お酒はたまに飲む程度がいいでしょうね。

やはりどれだけ整体に通おうが運動しようが、日々暴飲暴食するような生活習慣ではなかなか痛みは抜けきれないと思います。

――やはり食事は大事ってことですね

軽いファスティングとして、3日間ぐらい断食するのもありだと思います。

――古張さんは普段のお食事で気を付けている点はありますか?

僕は1日の食事回数は2回にしています。また、基本的に午前中には固形物をあまり摂取しません

食べるのは午後以降にしています。といっても、たまにお腹が減ったら午前中もちょっと食べることもあります。

あとはなるべく自然なものを口にしています。調味料はなるべくオーガニックなものにしたりしていますね。

お酒を飲むこともありますが、その分、なるべく他で身体にとって毒になるものを取らないようにしようということは意識してますね。

胸椎をいかに緩めるか。自宅でできるセルフケア

――サロンでは慢性的な痛みや不調改善のためにどのような施術を行っていますか?

基本的な施術として、筋肉と関節へのアプローチを行っています。他にも先ほど痛みの説明でも出てきた膜組織へのアプローチと関節の矯正を行います。

よくSNSなどを見ている”ボキボキ”とすごい音を立てる施術があると思うんですけど、

うちでも必要があればやってます。ただ、首の矯正は危険性が高いと考えているので当サロンでは行っていません

施術では胸椎を緩めることを大切にしています。

――施術の前後ではどのような変化が見られますか?

簡単な指標として、可動域をビフォー、アフターで比較してもらっています。可動域の変化だけを観るのはちょっとナンセンスなんですけどね。

しかし、胸椎をしっかり緩めるだけでも動きがなめらかになり、身体のさまざまなところにいい影響が出てきますよ。

あとは肝心の痛みがどれだけ消えたかというところで実感していただいています。

――肩こり、腰痛などの慢性的な痛みを改善するために自宅でもできることはありますか?

先ほどから話が出ている胸椎をどれだけ動かすかっていうのが大事です。

まず気をつけることとしては、 猫背姿勢で長時間いないということですね。

あとは胸椎を反らす動きを日々まめにやるのも大事ですよ。

――やっぱり猫背はダメですよね・・・(インタビュアーは非常に猫背)

もしできるのであればブリッジをしてほしいくらいです。

子どもの頃はブリッジなんていくらでもできたと思うんですけど、ある程度の年齢になると怖くてしょうがないですよね。ブリッジなんてしたら怪我するんじゃないかと考えてしまいます。

しかし、本来できる動きなんです。それができなくなってしまってるのが問題なんです。

もちろん 最初からいきなりブリッジしろとは言わないんで(笑)

背中を反らす動き、エクササイズを簡単なものでもいいのでやっていただくといいですね。デスクワーク中も、1時間に1回は立ちあがって背筋をそらすといいと思いますよ。

CBDと痛みの関係性

――ありがとうございます。ちなみに、慢性的な痛みに対して、CBDは効果を感じられるのでしょうか?

痛みを抑える効果はあると思います。

ただ、どうしても医療用大麻そのものと比べると効果は下がるのかなと考えています。

今後、法の整備がされてもっと痛みに対してアプローチできるような成分が配合されたCBDが販売される事を願っています。

――現在クリニックではどのようなケースでCBDを使っていますか?

希望があればオイルマッサージで使用します

――どのような方にCBDの使用をおすすめしますか?

メンタル的な不調や、自律神経系の不調を感じる方におすすめします。病院に行っても中々改善しないようなモヤモヤ感がある方はいいんじゃないかなと思います。

不調に悩む人を減らしたい、ただそれだけ

――サロンあるいは古張さんの思い描いている今後の展望を教えて下さい

今サロンがある神宮前、千駄ヶ谷、その近辺にお住まいで、慢性痛に悩んでる方をとにかく減らしたいなと考えております。

――読者へ一言お願いします

現状、CBDは真の効果を発揮しきれてない部分が、正直あると思います。

逆にいえば可能性がたくさんあるので、今後に期待できます。

もちろん現状の成分でも、一定の効果はあるので、生活に取り入れていっていただいてもいいと思いますよ。

目次