大麻草に含まれる安全な成分で、健康・治療効果が期待できる成分といえば、まずCBDが思い浮かぶのではないでしょうか。
CBDは今世界中の人々に注目されている成分ですが、大麻草の成分はCBDだけではありません。CBDを含め、CBN、CBGなど約150種類もの有効成分(カンナビノイド)が大麻草には含まれているといわれています。
今回取り上げる大麻草のカンナビノイドは、CBC(カンナビクロメン)という成分です。CBCもCBDのように安全な成分で、健康・治療効果が期待できると考えられていますが、CBDやTHCのように有名ではないので、初めて聞いた人もきっと多いと思います。
今回は、CBCとはどのような成分なのかや、CBDの効果やメカニズム、CBCの商品などについて解説していきます。
CBCとは?
CBC(カンナビクロメン)とは、大麻草から抽出される成分の一つです。CBCの知名度はあまり高くありませんが、実はCBDやTHCに次いで、大麻草に3番目に多く含まれるカンナビノイドなんです。
CBCは、イスラエルのヘブライ大学のラファエル・メコーラムの研究チームによって1964年に発見され、その後50年以上にもわたって人知れず医学研究の対象となってきました。
CBCはCBD、CBG、CBN、THC、THCVとともに、医学研究において主要なカンナビノイドとして、BIG6の一つに数えられます。
CBCの前駆体※は、CBDとTHCの前駆体と同じCBGa(カンナビゲロール酸)です。CBGaは熱や紫外線にさらされた結果、CBC、CBD、THCに変化します。
※前駆体とは、化学物質が生成する前の段階に位置する物質のこと
CBCは、CBDと同様にハイになったり、陶酔したりする向精神作用がありません。また海外の研究では、CBCにも健康・治療効果が期待できるという結果が出ています。
CBCに期待される6個の効果とは
海外の研究で報告されているCBCに期待できる6つの効果について解説していきます。
1.がんを抑制する効果
CBCには抗がん効果があることが期待されています。
イスラエル、エルサレムの「Cancers」というジャーナルに掲載された臨床データにおいて、CBCとCBDを1:2の比率で投与すると、頭頚部扁平上皮がんに侵されたがん細胞を死滅させる効果があるということが示されました。
この効果は、CBCとCBDのアントラージュ効果※による抗がん効果だと考えられています。
※アントラージュ効果とは、他のカンナビノイドなど他の複数の植物原料と合わせて摂取することで、本来のカンナビノイドの効き目がより高まる効果(相乗効果)のこと
THCとCBDを1:2の比率で投与した場合も同じアントラージュ効果による抗がん効果が確認されました。しかし、THCには陶酔作用や違法性があるため、CBCとCBDの組み合わせの方が安全に抗がん効果が得られると文献は結論付けています。
2006年の海外の文献では、CBCはCBDに次いでカンナビノイドで2番目に強力な抗がん効果を持つことが示唆されています。CBDとCBCの両方を豊富に含んだ抽出物は、乳がん細胞の増殖を阻害したことが報告されました。
CBCには、独自に抗がん効果を持つ可能性があると同時に、CBDと一緒に摂取することによってアントラージュ効果でさらに強い抗がん効果が期待できます。
2.アルツハイマー病などの神経変性疾患を予防する効果
CBCには、アルツハイマー病やパーキンソン病、多発性硬化症、外傷性脳損傷などの神経変性疾患の予防効果が期待されています。
2013年に行われた海外の研究では、CBCが成人の神経幹前駆細胞の生存率に良い影響を与えることが報告されました。
神経幹前駆細胞は脳の中の重要な細胞です。神経幹前駆細胞が増殖を繰り返すことによって脳の神経細胞が作り出されます。
CBCが神経幹前駆細胞に良い影響を与えることによって、アルツハイマー病やパーキンソン病、多発性硬化症、外傷性脳損傷などによる神経が変性してしまうリスクを下げられる可能性があることが研究で示されています。
3.抗炎症作用
CBCには抗炎症作用があることが期待されています。
1981年の海外の研究では、CBCの抗炎症効果は、動物の鎮痛・解熱に用いられるフェニルブタゾンよりも優れていることが結論付けられました。
CBCは、関節リウマチなど数多くの痛みの症状を緩和できる可能性があります。
4.抗菌・抗真菌作用
CBCには、抗菌・抗真菌作用があることが期待できます。
抗炎症作用の研究と同じ1981年の海外の研究において、CBCはグラム陽性菌、グラム陰性菌、および抗酸菌に対して強力な抗菌活性を持つことが示されました。また、真菌である酵母様菌、糸状菌、皮膚糸状菌に対しては、CBCは軽度から中程度の抗真菌活性があることが報告されました。
5.抗うつ作用
CBCには、抗うつ作用がある可能性があります。
2010年に行われた海外のマウスの研究では、体重1キロに対して20mgのCBCを投与したマウスに抗うつ作用が確認されました。しかし、CBCには抗うつ薬のような作用があることが期待できる一方で、正確なメカニズムはまだ不明としています。
CBCは、うつのような気分障害の治療に役立つ可能性があります。今後のさらなる研究が待たれます。
6.肌(ニキビやシミ)の改善作用
CBCには、ニキビやシミの改善作用があることが期待できます。
2016年の研究では、CBCがアラキドン酸誘発性の脂質の生成を減少させたことが報告されました。アラキドン酸誘発性の脂質は、ニキビやアトピー性皮膚炎、ドライスキンに関係している脂質です。
CBCがアラキドン酸誘発性の脂質を抑えられる可能性があることから、研究ではCBCが、非常に効果的なニキビの治療薬になる可能性があると結論付けています。
また、CBCには抗炎症作用も期待されています。そのため、抗ニキビ作用と抗炎症作用の相乗効果により、さまざまな肌の悩みを解決できる可能性があります。
抗炎症効果はCBDにも期待されていますが、研究論文では、活動的なニキビを改善し、将来的なシミを予防するのなら、CBCの方がCBDよりも有力だと述べています。このような結果を見ると、肌のためにCBDをCBCに換えて摂取したくなりますが、置き換えるよりもCBCとCBDを同時に摂取する方がおすすめです。アントラージュ効果により、より効果的に肌の改善が期待できます。
CBCのメカニズム
ほとんどのカンナビノイドは、脳内のCB1受容体やCB2受容体と呼ばれる受容体に直接結合して効果をあらわします。それに対してCBCは、CB1受容体にもCB2受容体にも直接的な結合はしないと考えられています。CBCは、アントラージュ効果によってTHCやCBDなど他のカンナビノイドの効果を高める働きによって、様々な効果をあらわすと考えられています。
また、CBCはTRPV1(Transient Receptor Potential Vanilloid 1)やTRPA1(Transient Receptor Potential Ankyrin 1)受容体に結合することで抗炎症効果をあらわしていることも分かっています。
CBCは、アナンダミドに影響を与える作用もあると報告されています。
アナンダミドとは体内で自然に生産されるエンドカンナビノイドです。恐怖や不安を軽減したり、気分を良くしたりする働きがあります。
CBCはアナンダミドの分解を抑制することで、アナンダミドを身体の中に長く留まらせて効果を十分に発揮させる作用があると考えられています。その結果、不安の解消や気分の向上が期待できるとされています。
CBCに問題点はある?
CBCの問題点や副作用について解説します。
CBCを摂取すべき量がまだはっきりと分かっていない
CBCは大量に摂取することで、効果がより良くあらわれる可能性があるといわれています。しかし残念ながら、どのくらいがCBCの最適な用量なのかははっきりと分かっていないのが現状です。
CBCの摂取すべき用量を特定するための研究がいまだに存在していないのです。そのため、CBCを摂取する時はCBC単独のオイルではなく、ブロードスペクトラムやフルスペクトラムなどの製品で、CBCが配合されているCBDオイルを購入するのがおすすめです。
CBCに報告されている副作用
CBCは、THCのようなハイになったり陶酔したりする精神活性作用がないため、安全である可能性が高いです。知覚や気分、認知機能に大きな変化を与えることはなく、安心して使用することができます。
しかし、安全性が確認されているCBDにも副作用が示されているように、CBCにも軽度な副作用がいくつか報告されています。
CBCに報告されている副作用は、吐き気や下痢などの軽度な胃腸の不快感です。ただし、これらの症状はCBCを摂取したすべての人に起こるわけではありません。ごくまれに一部の人に起こる程度です。もし副作用が起きたとしても症状が軽いため、CBCの摂取をやめればすぐに回復するでしょう。万が一症状が続く場合は、医師の診察を受けてください。
持病があり医薬品を服用している場合は、CBCを摂取する前に医師や薬剤師に服用している薬とCBCの相互作用について相談しておくことも大切です。相互作用を起こす可能性があると判断された場合は、CBCの摂取はせずに今行われている治療を優先させてください。
CBCとCBDの違いとは?
CBCとCBDは似ているところが沢山あるため混同してしまう人も多いですが、CBCとCBDは別の成分です。どのようなところが違うのかを解説していきます。
研究数が違う
CBDとCBCの大きな違いの一つは、研究の数です。CBDは多くの研究者がさまざまな研究を今まで行ってきているため、効果や副作用、適切な用量など分かっていることが非常に多いです。
それに対してCBCは、研究期間が50年以上と長いものの、研究の数自体はとても少なく、情報が不足している状態です。まだ分かっていないことも沢山あるので、今後の研究結果が期待されています。
炎症性の痛みに対しての作用の強さが違う
CBCにもCBDにも炎症や痛みを鎮める効果が期待できます。ただし、抗炎症・抗疼痛効果の作用の強さがそれぞれ違うことが研究から分かっています。
CBCもCBDも、痛覚に影響を与えるTRPV1受容体に作用しますが、CBCはTRPV1受容体への親和性が非常に強いと考えられています。また、CBCはCBDと違いTRPV1と痛みを抑える作用があるセロトニン受容体である5-HT1A受容体の両方に対して同等に親和性があるという意見もあります。
このようなメカニズムの違いから、炎症性の疼痛を鎮める作用に関してはCBCの方がCBDよりも強力な作用が期待できます。
常温での状態が違う
CBCとCBDは常温での状態が違います。
CBDは常温では固体なのにたいして、CBCは常温では液体です。CBCが常温で結晶化しない性質があることから、CBC製品は、結晶化が招く味の劣化や吸い心地の悪化を避けることができます。
CBC商品にはどんなものがある?
海外では、ベイプの関連商品やスキンケアを中心にCBC商品が販売されています。
CBCベイプリキッド
CBCは常温では液体であることから、ベイプリキッドととても相性が良いカンナビノイドです。
CBDなどのベイプリキッドを作る際に必要なのが、個体のCBDを溶かすために使うMCTオイルなどのキャリアオイルです。
CBCは常温で液体の状態で存在します。つまり、CBCを配合して製品を作る場合は、CBC自体をキャリアオイルとして使えるため、MCTオイル、ココナッツオイルなどのキャリアオイルを製品に加える必要がなくなります。
キャリアオイルを使う必要がないということは、100%カンナビノイドでできたベイプリキッドを作ることができるということです。カンナビノイドの濃度が高くなればなるほど、効果を体感しやすくなります。
そのため、CBCはベイプリキッドととても相性が良いと言われているのです。
CBCスキンケア商品
CBCは、ニキビなどを改善する作用が期待されていることからためスキンケア商品とも相性がいいのです。
海外では高濃度のCBCが含まれたスキンケア商品が販売されています。
CBC商品は日本ではほとんどない
CBC配合の商品は、残念ながら日本にはまだほとんどありません。
調べたところによると、楽天でCBC配合のフルスペクトラムのCBDリキッドやオイル、CBC配合のCBDバームを見つけることができました。しかし、他のカンナビノイドと比べるとまだまだ商品数が少ないのが現状です。
今後CBCについての研究が進んだり、海外でのCBCの人気が高まり、知名度が上がったりすれば、日本でもCBC商品が増えていくでしょう。
CBCというカンナビノイドについてよくある質問
Q.CBCにはどんな効果がありますか?
CBCには、抗がん効果、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防、抗炎症作用、抗菌・抗真菌作用、抗うつ作用、肌(ニキビやシミ)の改善作用などがあると期待されています。
Q.CBC商品にはどんなものがありますか?
海外では、ベイプの関連商品やスキンケアを中心にCBC商品が販売されています。
CBCはベイプリキッドと相性が良く、また、肌の改善作用も期待されていることからこの2タイプが主流となっています。
Q.日本でCBC商品は買えますか?
CBC配合の商品は、残念ながら日本にはまだほとんどありません。調べたところによると、楽天でCBC配合のフルスペクトラムのCBDリキッドやオイル、CBC配合のCBDバームを見つけることができました。