THCとは?CBDとTHCの違いや違法性・作用についても解説

「THCって何?CBDとどう違うの?」
「THCの作用や副作用は?」
「医療大麻って何?」

このようなTHCに関する漠然とした疑問を抱えていないでしょうか?

そこでこの記事では、CBDと並んで登場するTHCについて詳しく解説していきます。

・THCとは?CBDとの違い
・THCの作用や副作用
・医療大麻とは?

THCについて気になっている方は、ぜひご一読ください。

目次

THCとは?

THC(テトラヒドロカンナビノール)とは、大麻草から抽出される成分で、100種類以上あるカンナビノイドと呼ばれる成分の中の一つです。

THCは大きな特徴として、精神活性作用という作用があります。
精神活性作用とは、薬物などによって精神が高揚する作用で、いわゆる「キマる」作用のことです。

大麻やマリファナと聞いて多くの人がイメージするのは、ハイになったり、陶酔したりする「キマる」作用ではないでしょうか。
大麻によるこれらの精神活性作用は、すべてTHCが引き起こしています。

THCは痛みの緩和や、吐き気の改善などの治療効果も期待できると言われています。
しかし、THCの強い精神活性作用が理由で、日本ではTHCの所持・使用は大麻取締法違反になります。
そのため、日本でTHCを治療に使用することはできません。

THCと並んでよく知られている大麻草の成分にCBDという成分があります。
どちらも同じ大麻草から抽出されるものですが、一体どのような違いがあるのでしょうか。
THCとCBDの違いについて詳しく見ていきましょう。

THCとCBDの違い

THCとCBDの違い

化学構造の違い

CBDとTHCは化学式は同じですが、原子配置が異なります。
このわずかな構造の違いが、身体への影響に大きな違いをもたらしています。

例えば、THCには精神活性作用がありますが、CBDにはありません。
化学式が同じなのに、このような大きな差があるなんて不思議ですね。

効果や作用の違い

THCとCBDの作用を知るには、エンドカンナビノイドシステム(ECS)がキーポイントになります。

ECSとは、人間の身体を一定に保とうとする機能のことです。
ストレスや不安、炎症や痛みなどに身体がさらされても、健康であれば通常時間が経つと少しずつ改善しますよね。

これは、ECSが体内で働いていて、身体を元の健康な状態に戻そうとしているからだと言われています。

ECSを働かせるにはCB1受容体やCB2受容体の活性化が必要です。
体内の中でCB1・CB2受容体を活性化している物質をエンドカンナビノイドと言います。

人間の体内ではエンドカンナビノイドがCB1・CB2受容体を活性化し、ECSを正常に働かせているのです。

THCとCBDの作用は、ECSの活性に深く関わっていると言われています。
しかし、その作用のしかたはそれぞれ異なっています。

THCは、CB1・CB2受容体に直接結合して活性化させることにより、ECSを働かせ、結果的に様々な作用をあらわしていると考えられています。
2018年の海外の論文の中でも、THCがCB1受容体とCB2受容体の両方に結合することが述べられています。

それに対してCBDは、CB1受容体にもCB2受容体にも直接作用しないと考えられています。
実はCBDがどのようにECSを活性化しているかのメカニズムはまだはっきりとは分かっていませんが、有力な説は2つあります。

  • CBDがまだ発見されていない受容体に作用することで、ECSを活性化しているのではないかという説
  • CBDが体内にあるエンドカンナビノイドの分解を防ぐことで、間接的にECSを活性化しているという2つの説

CBDはECSを活性化した結果、リラックス作用や不眠の改善作用、てんかん発作の緩和作用、痛みや炎症を緩和する作用などをもたらします。
詳しく知りたい方は「CBDの効果」についての記事をご覧ください。

続いてTHCの作用に関して詳しく解説していきます。

精神活性作用

THCには人を「ハイ」にする精神活性作用があります。

THCは、CB1とCB2のどちらの受容体にも結合しますが、中でもCB1受容体には強く結合し、活性化するとされています。

2000年の海外の研究では、THCがCB2受容体に比べてCB1受容体に強く親和しているということが報告されました。

CB1受容体は、脳を中心とする中枢神経に多く存在していて、精神活性作用に関わっていると言われています。
CB2受容体は免疫細胞に多くあり、免疫機能や炎症作用を調節していると言われています。

2007年の海外の研究では、CB1受容体を活性化させることなく、CB2受容体のみを活性化させることができれば精神活性作用を引き起こさない可能性があることが示唆されました。

THCは特にCB1受容体を強く活性化することで、人をハイにさせたり、陶酔させたりする作用をあらわしていると考えることができます。

幻覚作用

THCを使用すると、幻覚が起こることがあります。

2019年の海外の研究では、大麻の使用中や使用直後に、大麻誘発性精神病障害と呼ばれる幻覚や妄想症状があらわれる可能性があることについて報告しています。

THCの幻覚作用により、非現実空間の中にいる感覚になり、色や音への感覚、物体の大きさの認識まで様々な感覚が変化してしまうかもしれません。
頻繁に幻覚が見えるようになってしまうと日常生活を送ることが難しくなってしまうことも考えられます。

鎮痛作用

THCには、精神活性作用だけでなく鎮痛作用のような治療効果があることも知られています。

2018年の海外の研究では、THCが慢性神経性疼痛の痛みを大幅に軽減したことが報告されました。

日本では違法のTHCですが、海外の一部の国などでは、THCの治療効果を期待して、THCを含む医療大麻の使用が合法化されています。

吐き気や嘔吐を緩和する作用

THCは、吐き気や嘔吐を緩和し、食欲を刺激する作用があります。

2011年の海外の研究では、THCが吐き気の軽減に効果があることが報告されました。

アメリカでは、抗がん剤による吐き気や嘔吐やエイズ、食欲不振の症状の治療薬としてTHCを主成分とする医薬品が承認されています。

違法か合法か

日本において、THCの取り扱いは麻薬及び向精神薬取締法によって規制されているため違法です。
特に、大麻の主成分であり精神活性作用のあるTHCの使用は、全面的に禁止されています。

一方、CBDを取り締まる規制は現在の日本にはありません。
大麻草の種子や茎から抽出されるCBDは合法です。しかし、THCは大麻草のどの部位から抽出されても違法になります。

THCを規制する法律

THCには精神活性作用があるため、日本では大麻取締法によって所持や譲り受け、譲り渡し、使用などが禁じられています。

またTHCは、脳神経に強い影響を与えるので、精神活性作用に加えて記憶障害や認知障害などを引き起こす可能性もあります。

THCの海外での使用状況

日本では摂取が禁止されているTHCですが、カナダやウルグアイをはじめとした海外では大麻の使用を認めている国が増えつつあります。

アメリカでも複数の州での医療用及び嗜好用大麻の合法化されており、先進国(G10)のほとんどが「医療目的の大麻(医療大麻)ならば合法」としています。

ただし、THCの摂取により一時的に運動機能にも障害が起こるため、大麻が合法化されている国でも運転前の大麻使用は禁止されています。

副作用の違い

CBDは精神活性作用が一切ない成分であり、安全性が高いことがすでに証明されています。

CBDの副作用は報告されてはいますが、重篤なものではなく、口喝や眠気、食欲の変化など軽い症状がほとんどです。
またこれらの副作用が起こったとしても、CBDの摂取を止めれば症状は回復すると言われています。

CBDの副作用については以下の記事で解説しています。あわせてご参照ください。

参考:CBDやCBDオイルの副作用は?ホントに有害性・危険性はないの?

THCはCBDと違い、危険度の高い副作用が報告されています。

THCに報告されている副作用

2022年の海外の研究によると、THCに一般的に報告されている副作用は複数あります。

  • 気分の変調
  • 幻覚
  • 妄想
  • 錯乱
  • 頭痛
  • 口喝
  • 不快感
  • 低血圧

また、THCを慢性的に使用することにより、難治性の嘔吐が増えることも同時に報告されました。

CBDに比べて症状の重い副作用が目立っています。

THCで精神疾患を患うリスクも

2022年の海外の研究では、THCは使用している時の副作用に加えて、将来的なリスクも説明しています。

THCを使用することにより将来的に、うつ病や不安神経症、統合失調症、物質使用障害などの精神疾患にかかるリスクがあることも示唆されました。

CBDの副作用は摂取を止めると回復しますが、THC副作用は将来的にも影響があることが分かります。

CBD製品にTHCが含まれていた場合も違法?

購入したCBD製品中にTHCが含まれており、気づかずにそれを摂取した場合でも、日本では違法になります。

「CBD製品にTHCが入っている場合なんてあるの?」と思う方もいるかもしれませんが、海外輸入されたものの中には、低濃度のTHCが含まれる場合があります。
なぜなら、国によって大麻の取り扱いに関する法律や認識が異なるからです。

例えば、アメリカではCBD製品の中にTHCが含まれていても、その含有率が0.3%以下であれば合法です。

もちろん、日本では海外輸入品に対して税関での検査が行われていますが、THCが含まれるCBD製品を全て取り除けている訳ではありません。

「日本に入ってきている時点で問題ない」と安心するのではなく、ご自身でもその製品の安全性を確かめる必要があります。利用したいCBD製品が本当に「THCフリー」であるかや、メーカーの口コミや評判を確認することも重要です。

仮にCBDと違法成分であるTHCを一緒に摂取するとどうなる?

THCは違法成分ですが、CBDとTHCを一緒に摂取することでメリットも得られると考えられています。
日本では違法なので試すことはできませんが、参考までに2つ紹介します。

1. THCによる副作用が緩和される

THCとCBDを同時に摂取することで、THCによる副作用が緩和されると言われています。

THCはCB1受容体に結合することで、精神活性作用をもたらします。
2018年の海外の研究によると、THCとCBDを一緒に摂取することで、CBDがTHCとCB1の結合をブロックして、THCの精神活性作用を弱めることが報告されました。

さらに精神活性作用だけでなく、THCがもたらす不安や頻脈などの悪影響もCBDによって緩和できるとも述べられています。

CBDをTHCと一緒に摂取することで、THCの安全性を高められる可能性があります。

2. アントラージュ効果が出やすい

アントラージュ効果とは、カンナビノイドを単体で摂取するよりも、他のカンナビノイドも含めて複数摂取することで、「相乗効果が得られる」というものです。

THCとCBDを同時に摂取すると、アントラージュ効果により、CBDやTHC単独で摂取するよりも高い治療効果が望めます。

2018年の海外のラットの研究では、THCとCBDを組み合わせることにより、ラットの炎症の大幅な減少と関節の損傷の緩和が見られました。

CBDにもTHCにもそれぞれ抗炎症作用がありますが、一緒に摂取することでより高い効果が見られた一つの例です。

CBD商品の購入を検討する人はTHCフリーか否か確認しよう

THCは日本では違法成分です。本来なら日本で販売されているCBD製品はすべてTHCフリーであるべきですが、個人輸入して販売しているCBD製品などの中には、THCが微量に含まれている製品も残念ながらあります。

アメリカでは0.3%未満のTHCであれば合法なので、アメリカ内のオンラインショッピングを使えばTHC入りのCBD製品が簡単に購入できてしまいます。そのため、THC入りのCBD製品が個人輸入などにより日本にも入ってきてしまう可能性があるのです。

THC入りのCBD製品は、たとえ使用しなくても所持をしているだけで大麻取締法違反になります。また、THCを知らずに摂取してしまったことでの健康トラブルが起きてしまうかもしれません。

思わぬトラブルを避けるためにも、「日本に入ってきている時点で問題ない」と安心するのではなく、CBD製品を購入する際は必ず公表されている検査結果や口コミなどでその商品がTHCフリーであることを確認してください。

まとめ

今回の記事では、THCについて詳しくご紹介しました。
THCを含む大麻の使用や所持は日本では違法です。
その背景には、THCに精神活性作用や依存性があり、人体へ悪影響を及ぼすからです。

一方でカナダを初めとする諸外国や先進国では、医療用大麻の使用は合法とされていることが多いです。
日本での使用はできませんが、医療用としての使用に対する日本の規制が今後どうなっていくのかが注目されますね。

よくある質問

Q. THCはなぜ日本で違法なのか?

大麻を嗜好品としても認めている先進国があるのにも関わらず、日本ではなぜTHC使用が禁止されているのでしょうか?
一説によると、アメリカによって大麻の使用が禁止された背景があります。

第二次世界大戦前には、日本でも普通に大麻が吸われていましたが、第二次世界大戦後にGHQの指令により日本での大麻使用が禁止されました。
その理由は、外国産のタバコを日本で流通させることで利益を得るためです。

大麻の栽培はタバコの栽培より簡単で、市場に流通しやすいのが特徴です。
大麻を取り締まった結果、人々は代わりにタバコを吸うことになり、日本国民からタバコ代を回収できるシステムが作られました。

このような背景があり、諸外国で医療用大麻などの使用が認められる中、日本では規制緩和が進まないと考えられます。

Q. THCの日本や海外の歴史は?

THCは、1964年にイスラエルの化学者であるラファエル・メコーラムによって発見されました。

THCの存在が明らかにされたことで、人体にある「カンナビノイド受容体」や「 ECS(エンドカンナビノイド・システム)」も発見されました。

今でこそ国際的に規制されているTHCですが、1925年以前には大麻チンキとして欧米や日本でも医薬品として販売されていました。
しかし、第二次世界大戦のGHQ占領時下に大麻取締法が制定されてから、アサの栽培は都道府県の知事の許可制となりました。

一方、海外においてはどうでしょうか。1970年代からのマリファナ合法化や医療用大麻の規制緩和を求める声が大きくなってきたことで、20年間かけてアメリカの半数の州で合法となり、オランダやカナダなどの国レベルでTHCの使用が許されているところも増えてきています。

Q. 医療用大麻と嗜好用大麻の違いは?

医療用大麻と嗜好用大麻の違いは、THCとCBDの量の割合です。

医療用大麻の場合はTHCとCBDの含有割合が1:1、もしくはCBDの含有率の方が高い傾向があります。
一方、嗜好用大麻ではTHCの含有率の方が高い傾向があります。

また、使用目的にも違いがあります。
医療用大麻はCBDによる治療効果に重点を置いているのに対して、嗜好用大麻は嗜好用としてのTHCによる「陶酔感」「多幸感」を得る用途で使われています。

医療用大麻とは

医療用大麻とは、文字通り「医療用」として用いられる大麻のことです。

カナダなどの諸外国では、医療用大麻はがんに伴う痛みの治療薬として、CBDと併せてTHCが投与されることがあります。
ただ、日本では大麻の規制が厳しく、たとえ医療用であっても使用や輸入、所持は禁止されています。

海外では医療用大麻を認めている国があるのにも関わらず、なぜ日本では認められていないのでしょうか?

それは、医療用大麻の薬効(鎮痛や食欲増進など)はいずれも対症療法であり、病気の根本的な改善には繋がらないからです。
また、医療用大麻を解禁してしまうと、医療関係者から一般社会へ大麻が流れてしまう可能性があります。

このような理由から、日本での医療大麻の普及が進んでいないと考えられます。

嗜好用大麻とは

THCを多く含む大麻を、嗜好品として摂取するのが嗜好用大麻です。

一般的には、水タバコや葉巻、ワックスなどを通じて摂取され、「マリファナ」と呼ばれる場合が多いです。

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