日本では、違法のイメージのある大麻ですが、その成分であるCBDは合法かつ健康に良い効果があるとして欧米を中心に注目を集めています。
昨今いくつかの科学的研究により、慢性的な痛みや不安などの症状を緩和する可能性があることがわかってきており、CBDオイルやその他のCBD製品は、さまざまな病気や病気の代替治療法としてここ日本でも人気が高まっています。
しかし、大麻由来成分であるCBDを摂っても副作用は出ないものなのでしょうか?
今回はCBDについて、その副作用を中心に詳しく解説します。CBDを使ってみたいけど安全に使えるかどうか不安と感じている方はぜひ参考にてみてください。
副作用以外のCBDの危険性や、安全に使う方法については、こちらの記事をご覧ください。
→ CBDやCBDオイルに危険性はあるの?
CBDとは
CBDの正式名称はは、Cannabidiol(カンナビジオール)と言います。
カンナビノイドとは大麻(大麻草)の茎や種子から取れる成分のことです。
大麻の成分中の主要な成分として「CBD」と「THC」という2種類の化合物が存在し、CBDは心と身体を整えてくれ、ストレス軽減を始めとする多くの作用が期待されています。
一方で、THCは「ハイ」になるといった精神作用(向精神作用)をもたらすことから、現在日本国内において所持することに規制がされています。
そんなCBDにはさまざまな効果があります。ストレスや不安をやわらげたり、痛みを軽減させたり、吐き気を和らげたりといった効果が期待できます。それだけではなく、抗炎症作用や抗酸化作用があることもわかってきました。
CBDの副作用は?本当に安全に使用できるの?
2017年にWHO(世界保健機関)により、CBDは安全性と認容性に優れていると報告されています。
それだけではなく、2018年に世界ドーピング協会で 、CBDをドーピング薬物規制対象から外すことが決定されました。世界各国でスポーツ選手においてもリラックス効果や痛み軽減を目的としたCBD使用が可能となり、世界中のアスリートによる利用も増えつつあります。
また同じ2018年に、アメリカのFDAという日本の厚生労働省に似た機関が、CBDを主成分としたEpidiolexをてんかん治療薬として承認して、2020年には難病に対し使うことも許可されおり、その有用性は医療分野でも高く評価されています。
このように安全性が高いとされているCBDですが、副作用はあるのでしょうか?
CBDのほとんどの副作用は軽度
WHOによると、すべての潜在的副作用を調査しているわけではないですが、一般的に、CBD は比較的低い毒性を持つことが判明した、との発表がされています。※1
具体的な副作用としては、喉が渇いたり、吐き気を催したり、下痢や眠気が挙げられます。
ただし、これらの副作用はCBDに特有の副作用というわけではありません。どのような医薬品やサプリメントを服用した場合にも起こる可能性は十分にある、一般的な副作用なのです。
言ってしまえば、どのような医薬品やサプリメントであっても、身体に異物を入れるわけですから、もしその成分が自分の身体に合わなければ、身体が拒絶反応として、吐き気や下痢などを起こす可能性があるのです。
ただし、WHOの発表のように、CBDの副作用発生リスクは非常に小さいもので、発生したとしても軽度に止まる可能性が高いので、比較的安全に使用できるものなのです。
CBDに向精神作用はない
CBDは、THCとは異なり精神活性成分を含みません。つまり、一般的に「ハイ」になるといったような向精神作用は示さないのです。
ここから、CBDとTHCの違いを交えながら少しだけ詳しく紹介します。
THCは、脳内のカンナビノイド1(CB1)受容体と呼ばれる部分に結合します。そうすることでいわゆる「ハイ」になるといったような心地よくまた、少し酔ったような感情を生み出します。
CBDは、通常CB1受容体には結合せず、結合したとしてもくっつく力はTHCと比べると非常に弱いものになります。CB1受容体にごくわずかにくっつく一方で、人体へ好ましい作用を与えてくれるとされる部分へくっつき作用を示します。
例えば、オピオイド受容体やグリシン受容体と呼ばれる部分です。オピオイド受容体にくっつくことで、痛みが緩和される事が知られています。また、グリシン受容体にくっつく事で、セロトニンと呼ばれる物質が放出され、情緒安定に役立つと言われています。
このように、CBDは向精神作用ではなく、人体へ好ましい作用を与えてくれることが期待されているのです。
CBDの具体的な副作用は?
ただ、副作用が“全くない”というわけではありません。
CBDを摂取した際に一部の人では軽い副作用があるといわれています。例えば、強い眠気や立ち眩みなどです。このため、摂取後に車や自転車の運転など集中力を要する作業を行う場合は注意が必要です。
その他にも、吐き気や下痢といった消化器症状、口が乾くといった症状発生のリスクがあることは念頭においた上で、CBDを適切に使用しなければならないのです。
喉の渇き
CBDを服用することで、口や目が非常に乾燥していると感じる可能性があります。
これはTHCの服用で発生する可能性が高い副作用ですが、CBDでも発生する可能性があります。あるマウスのCBDが唾液分泌の減少を引き起こしたことが示されています。
ただし、WHOの報告では口渇に関しては大きな懸念事項として挙げられている訳ではありませんので、副作用の一つとして少しだけ認識しておくと良いかもしれません。※3
吐き気
CBDサプリメントを摂取することで吐き気を催すことがあります。
この副作用は、その人がどれだけCBDに対して過敏であるか、また、摂取する量に依存して起こるとされています。
もしも吐き気が起こった場合は、CBD摂取量が少し多すぎる可能性があります。摂取量を減らすことで吐き気が軽減する場合があります。
また、こういった副作用を起こさないようにするためにも、初めてCBD製品を使用する際は少量から初めてみると良いでしょう。
下痢
CBDを服用すると、消化器系に望ましくない影響を与えることがあります。
消化器系の望ましくない影響とは、下痢や便秘のことを指します。考えられる原因としては、CBDの摂取量が多かったり、品質の悪いCBD製品を服用していることが挙げられます。
実際に、てんかん治療薬であるEpidiolexの研究では、てんかん患者214人のうち19%が下痢を経験したとの報告があります。※4
ただし、この研究におけるCBD濃度と投与量は、市販のCBD製品に含まれる濃度よりもはるかに高い濃度でした。市販の製品に記載されている用量を守り服用することで、副作用を起こさず服用できることが考えられます。
下痢が起こる原因が対策について、もっと詳しく知りたい方は副作用の下痢についての記事もご覧ください。
強い眠気
CBDの副作用に眠気や鎮静作用があります。
副作用ではなく、利点と考えられることも多い眠気ですが、強く出過ぎると転倒リスクや日中の倦怠感に繋がる恐れもあり注意が必要です。
市販の睡眠薬などの他の鎮静薬と一緒にCBDを服用する場合、眠気が強く出過ぎることがあるため、他の薬剤と一緒に服用する場合は、医師に相談する必要があるでしょう。
また、CBD摂取後は運転を控えたり、摂取タイミングを夜にするなど、万が一眠気が出てしまったことも頭に入れて、摂取すると良いですね。
CBDの副作用リスクを減らすための注意点は?
CBDには身体へ良い効果がある反面、眠気を始めとしたさまざまな副反応を引き起こすことがあります。
特にCBDを初めて使用する際は、使用することで自身の身体や心にどんな影響が出てくるのかを、しっかりと確かめるようにしてください。また、多様な製品が販売されているCBDですが、製品によってもCBDの効果が変わってくる可能性があります。
CBD製品の使用で自身にどんな影響があるのかを正確に把握できるまで、運転等高い集中力を必要とする作業は避けた方が良いでしょう。
では、具体的にどんなことに注意すれば良いのでしょうか。
薬の飲み合わせに気をつける
CBDは肝臓が薬物を代謝する速度を低下させる可能性があります。飲み合わせの悪いお薬を一緒に服用すると、効果が強くなったり、副作用が増えることがあります。
CBDは、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールなどの抗てんかん薬と拮抗する可能性があります。また、眠気を引き起こす鎮静剤、サプリメントなどと一緒に摂取する場合も注意が必要です。
もしも常用している薬があれば、CBD服用前に、医師へ相談することをお勧めします。
肝臓に疾患がある人は摂取しない
肝臓に疾患のある人では、CBDの血中濃度が通常の人よりも高くなる場合があります。
CBD 医薬品であるEpidiolexの製造会社からの報告によると、中程度の肝機能障害がある人は血中濃度が健常人の 2.5 倍、重篤な肝機能障害がある人では 5 倍以上にもなったそうです。※5
医薬品での報告であるため、摂取量が市販のCBD製品よりも多いことが考えられますが、肝疾患のある人での摂取は望ましくないことが予想されます。
妊娠中または授乳中の人は摂取しない
米国食品医薬品局(FDA)では 、妊娠中または授乳中にCBDを服用しないことが強く勧められています。
妊娠中のCBDに関する研究はまだ多く行われていませんが、妊娠中にCBDを服用すると、子宮内の赤ちゃんに有害なリスクをもたらす可能性があります。
ある研究によると、妊娠中のマウスにCBDを投与すると、胎児の生殖に問題を引き起こしたとあります。※6
FDAがより多くのデータを集積し、CBD製品と妊娠中および授乳中の母親への影響が明らかになるまではCBDを服用しない方が良いでしょう。
CBDを過剰摂取しないようにする
日本ではまだ医薬品として認められてはいないですが、アメリカでは使用されている唯一の CBD 医薬品としてEpidiolexがあり、てんかん治療に使われます。
しかしその用量は健康食品としての摂取量の何十倍にも及びます。
そんなに大量に使って副作用は生じないのでしょうか。
もちろん、これは医師が診療として適正量を処方しており、副作用の問題も考慮されています。一般的に、CBDは約600mg〜1500mgまで許容があることがわかっています。
ただ、CBD摂取量が多くなるほど副作用が生じる可能性は高まります。CBDの大量摂取は肝臓での薬物代謝を阻害したり、生殖能力低下を引き起こす可能性もあるのです。
CBDの適量はどのくらい?
CBD 製品が健康食品であることを念頭に置いた上での摂取量の目安としては、1日あたり推奨用量は 5~100mg といわれています。
CBDを初めて摂取する場合は、1日あたりCBD10~20mgが目安量となります。
ただし、実際に摂取しているCBDの量を正確に判断するのは難しい場合があります。市販のCBD製品には、ラベルに示されているよりも多くのカンナビジオールが含まれている可能性があるからです。
使用時は製品に記載の用法用量をしっかり守って、効果を感じることができた量以上を摂取することは控えるようにしましょう。
どんな製品があるの?
CBD入り製品として日本で市販されているものには、オイル製品、カプセル製品、イート・ドリンク製品、ボディクリーム、フェイス・ヘアケア、ベイプなどがあります。
近年の需要の高まりから、その製品の種類は多岐にわたります。製品の種類により、摂取方法も異なり、それぞれのライフスタイルに合わせた製品選択が可能となっています。
ここでは主な製品について詳しく解説していきます。
オイル
最もポピュラーなタイプです。種類もさまざまなため、初心者でも使用しやすいアイテムが豊富です。
CBDユーザーが最もお気に入りの製品としてオイル製品が圧倒的人気があります。
グミ
メリットとしては、CBDの効果が長く持続するという点が挙げられます。
長時間の移動や、昨今のお家でゆったりしたい時に利用する方が多い傾向にあります。お菓子感覚で食べれる手軽さ、継続しやすいといった点から、近年需要が高まっています。
電子タバコ
効果をより早く実感したい方にはこのタイプが人気です。専用の器具を用いて気化したCBDを吸引して摂取するタイプです。
利点としては、最も吸収効率良い点、CBDの効果がすぐに体感できる点があります。フレーバーが選べるのも魅力のひとつで、CBD特有の味や匂いが苦手といった方にもおすすめです。
ただその一方で作用時間は短めというデメリットもある点は押さえておくと良いでしょう。
また、ベイプ機器やアトマイザーは消耗品であり、定期的な買い替えが必要ですので、CBD上級者向けの製品と言えるでしょう。
CBD製品を選ぶ時の注意点は?
米国の基準では、CBD製品に含まれるTHCが0.3%未満であることが求められています。ですが国内でCBD製品を使用する場合は、THCフリーの製品を選ばなければなりません。
CBD製品とうたっている製品においても、THCが入っていたというケースは国内でも散見されます。※7
そのようなことを避けるためには、購入前に、第三者機関での成分分析が行われているか、口コミによる評判の高さなどを確認してから購入することが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
大麻由来と聞くとその認知度からまだまだ抵抗を感じる人も少なくありませんが、日本国内で販売されているものは安全に摂取できる成分です。起こるべき副作用を把握した上で、用法用量を守り服用することが何よりも大切です。
CBDは日常的に精神的なストレスを抱えている人や、その他皮膚トラブルや痛みがある人への効果を期待できます。
自分の症状に合った物を一気にまとめて摂るのではなく、毎日少量ずつ摂ることで、より効果を実感しやすくなるものとして、取り入れると良いでしょう。
承認を受けた安全性の高い製品を選び、安心・安全に使用していきましょう。
CBDやCBDオイルの副作用についてよくある質問
CBDは本当に安全ですか?
CBDは安全性が高い成分だとされていて、WHO(世界保健機関)も2017年にその安全性について報告しています。
副作用はほとんどなく、出現したとしても、のどの渇きや眠気、下痢といった軽度の症状で済むことがほとんどです。
ただ、医薬品を服用している人は、相互作用が起こる可能性があるため、CBDを使用する前に医師と相談しましょう。
また、米国食品医薬品局(FDA)では 、妊娠中または授乳中にCBDを服用しないことが強く推奨されているので、妊娠中の人や授乳中の人はCBDの摂取を控えたほうがいいでしょう。
CBDはハイになりますか?
CBDを摂取してもハイになることはありません。
大麻草の成分で摂取するとハイになるのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)です。
CBDは非精神活性で、反対にリラックス効果やストレス軽減効果が報告されています。
CBDを摂取しすぎるとどうなりますか?
CBDは1,500mg という高用量を摂取しても健康上の問題が発生しないという研究結果が報告されているため、摂取しすぎたからといって気にしすぎる必要はありません。
しかし、摂取量が多いと副作用の可能性も高くなるので、効果を体感できる適切な量で摂取するようにしましょう。