ブロードスペクトラムCBDとは?フルスペクトラム・アイソレートとの違い

CBDの商品を選んでいると「ブロードスペクトラム」と書かれている物があることに気付くと思います。
聞き慣れない言葉なので、「何のことだか分からない」、「商品を選ぶのに重要な情報なのかが気になる」という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、CBD製品のブロードスペクトラムについて取り上げます。フルスペクトラム、アイソレートとの違いやそれぞれのメリット・デメリットなどについて説明します。

CBD製品の種類については下記の記事を御覧ください。
どんな種類のCBD製品があるの?7種類の商品とおすすめの選び方も紹介

目次

「ブロードスペクトラム」とはCBDの製法の一つ

ブロードスペクトラムとは、CBDの製法のうちの一つです。
ブロードスペクトラムの他によく知られている製法として、「アイソレート」、「フルスペクトラム」という製法もあります。

製法にはそれぞれの特徴があり、CBD製品に含まれる化合物も違います。
3つの製法にどのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。

フルスペクトラムを最初に説明したほうが、ブロードスペクトラムを理解しやすいので、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートの順に紹介していこうと思います。

1. フルスペクトラムの特徴

CBD製品の中で、大麻草(ヘンプ)に含まれているすべての化合物を抽出して製造されたCBD製品を「フルスペクトラム」といいます。

大麻草の中には、カンナビノイドと呼ばれる100種類以上の化合物(※CBDもカンナビノイドに分類されます)、テルペンやフラボノイドと呼ばれる500種類以上の化合物などが含まれています。

また、気分がハイになる作用を持つTHCもカンナビノイドに分類される化合物の一つであり、大麻草に含まれています。

フルスペクトラムのCBDは特徴として、一般的に値段が高めで、大麻草の成分がすべて含まれていることから、麻特有の味やにおいがあります。
この特有の味やにおいが苦手な人もいるため、それをやわらげるためにミントフレーバーなどが付いていることが多いです。

日本では違法のフルスペクトラム製品もある

日本においてTHCは、大麻取締法により規制されており、THCが検出されるフルスペクトラムのCBD製品は違法として扱われています。

一方で海外では、THCが合法になっている国や州もあり、THCが含まれているフルスペクトラムのCBD製品を店頭やインターネットなどで誰でも簡単に購入することができます。

もし海外でTHCがある程度入っているフルスペクトラムのCBD製品を購入し、それを日本に持ち帰ってしまったら、所持をしているだけで大麻取締法違反になり、逮捕される可能性もあるのでくれぐれも注意してください。

日本で合法のフルスペクトラム製品とその注意点

日本で全てのフルスペクトラム製品が違法かと言うとそうではありません。

THCが入っていない、または未検出レベルの大麻草から作られた「THCフリーのフルスペクトラム」のCBD製品は、日本でも合法であり、購入することが可能です。

ただし、日本でフルスペクトラムのCBDを購入する際には、必ずTHCフリーまたはTHC非検出の製品であるかどうかを確認してください。

大麻取締法により大麻草を日本で栽培することができず、純日本製のCBD製品を作れないことから、中にはTHCが微量に含まれている製品を海外から直接輸入して販売している場合があるからです。

たとえばパッケージに「Less than 0.3%THC(THCが0.3%未満)」などと書いてある場合は、THCが微量でも検出されるレベルということになるので、日本では違法な商品です。

フルスペクトラムの商品を選ぶ場合には、販売元が信頼できるメーカーであることや、日本の法律に遵守していてTHCが含まれていない商品であることを必ず確認し、疑問がある場合には販売元に問い合わせることなどが非常に大切です。

2.ブロードスペクトラムの特徴

ブロードスペクトラムのCBD製品は、フルスペクトラムのCBDからTHCのみを取り除いて製造されたものです。

テルペンやフラボノイドは除去されず製品に含まれているため、麻特有の味やにおいがあり、フルスペクトラムのようにミントフレーバーなどで摂取しやすくなっている製品も沢山あります。

ブロードスペクトラムのCBDは、
・フルスペクトラムの製品よりも比較的安価な場合が多い
・THCが除去されていて、フルスペクトラムよりも安心して購入できる

ということから人気が高まっています。

3.アイソレートの特徴

アイソレートは、大麻草の化合物からCBDだけを抽出して製造されたものです。
THCやフラボノイドやテルペンなど、CBD以外の化合物を取り除いて作られており、CBDの純度が99%以上のため、麻の独特な味もにおいもありません。

アイソレートの特徴は、
・価格は他の製造法のCBDよりも安価な場合が多い
・無味無臭でオイルに溶けやすい

などの特徴があります。

加工しやすいことから、チョコレートなどの食品類に入れたり、好きなアロマオイルなどと混ぜ合わせて、自分オリジナルのCBD製品を作ることもできます。

ブロードスペクトラムにあるアントラージュ効果とは?

CBDを製造法で選ぶ際に知っておいてほしい「アントラージュ効果」というものがあります。
この項目ではアントラージュ効果について詳しく見ていきましょう。

アントラージュ効果とはCBDの相乗効果のこと

アントラージュ効果とは、CBDのようなカンナビノイドと、テルペンやフラボノイドといった他の複数の植物原料と合わせて摂取することで、本来のカンナビノイドの効き目がより高まる効果(相乗効果)のことを言います。

つまり、純度の高いCBD製品を単独で摂取するよりも、テルペンなどを含む製造法で作られたブロードスペクトラムやフルスペクトラムのCBD製品を摂取した方が、CBDの効果を体感しやすいということです。

CBDだけが入った純粋な商品の方が、効果が高いというイメージをもつ方もいますが、CBD製品においては、純度の高いものだからこそアントラージュ効果が得られず、期待する効果が出ないこともあるということを覚えておいてください。

テルペンやフラボノイドの驚きの効果

2018年にテルペンとフラボノイドに対してアントラージュ効果の研究が行われました。
研究の結果は、CBDだけでなくテルペンやフラボノイドにも、様々な神経の病気に対して起こる症状を改善する治療効果があるかもしれないというものでした。

例えば、アルツハイマー型認知症や、筋肉が震えてしまったり、固縮してしまったりするパーキンソン病、妄想や幻聴が起こりやすくなる統合失調症などの緩和に有効という結果でした。※1

アントラージュ効果はまだ研究段階であるため、効果を証明するにはさらなる研究が必要ですが、CBDの健康・治療効果とテルペンやフラボノイドの健康・治療効果が合わされば、CBD単独で摂取する以上の高い効果が現れても全く不思議はありません。

THCが含まれていなくてもCBDは依然として効果的

CBDはTHCと一緒に摂取すると、アントラージュ効果により高い効果が得られることが報告されています。

しかし、THCが違法である日本ではTHCを摂取することができません。
日本で販売されているCBDから高い効果を得るのは難しいということなのでしょうか。

2015年の研究では、THCが含まれていないものでもCBDの効果は十分得られるということが報告されています。※2

THCが入っていないとCBDの効果はあまりないという人も中にはいますが、THCフリーの商品でも効果は十分期待できるということです。

特にブロードスペクトラムのCBDは、THCは入っていなくてもテルペンやフラボノイドが含まれています。
アントラージュ効果により、CBD単独のアイソレートと比べても高い効果が期待できます。

ブロードスペクトラム、フルスペクトラム、アイソレートの違いやメリット・デメリットを解説

ここまでお伝えしてきたことを踏まえ、製造法ごとのメリットとデメリットをまとめると次の表のようになります。

メリットデメリット
フルスペクトラム〇大きなアントラージュ効果が期待でき、効果を体感しやすい●麻特有の味やにおいがあり、人によっては摂取しにくい可能性がある
●THCフリーで質の良い製品をしっかりと選ぶ必要がある
●値段が高め
ブロードスペクトラム〇アントラージュ効果が期待でき、効果を体感しやすい〇THCを除去しているため安心して購入できる〇値段がフルスペクトラムに比べて安価●麻特有の味やにおいがあり、人によっては摂取しにくい可能性がある
アイソレート〇THCや不純物が含まれておらず安全性が高い
〇無味無臭のため、摂取しやすい
〇値段が他の製造法に比べて安価
〇チョコレートや化粧品などと混ぜやすく、自分のオリジナルのCBDが作れる
●アントラージュ効果が得られず、フルスペクトラムやブロードスペクトラムと比べると効果が体感しにくい可能性がある

フルスペクトラムのメリットとデメリット

フルスペクトラムのCBDは大麻草の全ての成分が抽出されているため、より大きなアントラージュ効果を期待できることが最大のメリットです。

デメリットは、
・THCフリー・非検出で質の良い製品を選ぶ必要があること
・また麻特有の味やにおいがあり、人によっては摂取しにくい可能性があること
・値段が比較的高めに設定されていること
などが挙げられます。

ブロードスペクトラムのメリットとデメリット

ブロードスペクトラムのメリットは、
・テルペンやフラボノイドによりアントラージュ効果が期待できること
・THCが含まれていないため、フルスペクトラムよりも安心して摂取できること
・フルスペクトラムに比べて値段が安価

などが挙げられます。

デメリットは、麻特有の味やにおいがあり、人によっては摂取しにくい可能性があることです。店頭で購入する際には実際ににおいをかがせてもらうと良いかもしれません。インターネットで購入する際は口コミを参考にしてみてください。

アイソレートのメリットとデメリット

アイソレートのメリットは、
・CBDの純度が高く、THCや不純物が含まれていないため安心して摂取できること
・無味無臭のため摂取しやすいこと(フレーバーが付いていることがあります)
・オイルに溶けやすいという特徴から他の食品やオイルと混ぜやすいこと
・他の製造法に比べて安価で購入できること

などが挙げられます。

デメリットは、CBDの単独の摂取となるためアントラージュ効果が得られないことです。

結局どの製造法のCBDを選べばよいの?

どの製法にもメリットとデメリットがあるので、どのCBD製品を選べばよいのか混乱してしまうと思います。
正直なところ誰に対してもベストな製造法というのはありません。

適切な製造法は、個人の目的や希望によって異なるからです。

おすすめの製法をいくつか例に挙げると次のようになります。

■CBDの効果をとにかく体感したい人
フルスペクトラム>ブロードスペクトラム>アイソレートの順でおすすめ

■予算をできる限り抑えたいけれど、効果はある程度高いことを望む人
ブロードスペクトラムが第一選択肢

■CBDの初心者で、自分に合うかどうか試してみたいという人
大麻草の独特の味やにおいがなく摂取しやすいアイソレートが始めやすい

ご自身の目的や希望にはどの製法のCBD製品が合うのか、メリットとデメリットをよく考えて選んでください。

ただし、全ての製品に共通して言えることは、CBD製品は品質の良いものを選ぶべきだということです。
販売されている製品の中には、ブロードスペクトラムと表示されていてもテルペンやフラボノイドがほとんど入っていないものもありますし、除草剤や重金属などが含まれている劣悪な商品もあるそうです。

信頼できるメーカーを選び、説明文などをよく読んで購入するというのも、結果的にCBDの高い効果や安全性を得ることに繋がります。

CBDブロードスペクトラムの使い方

体感をしっかりと得たい場合、アイソレートの商品は他のカンナビノイドやテルペン、フラボノイドと一緒に摂取して、アントラージュ効果を得る必要があります。

しかし、ブロードスペクトラムはもともとテルペンなどが含まれており、アントラージュ効果を比較的得やすいため、まずはそのまま摂取してみてください。

また、ブロードスペクトラムは効果が出やすいことから、少用量から始めて少しずつ量を増やして効果を観察すると良いでしょう。
効果が感じられた量が、その人にとっての適切な量ということになります。

まとめ

今回は、CBDのブロードスペクトラムについて解説してきました。

ブロードスペクトラム、フルスペクトラム、アイソレートの特徴やアントラージュ効果について知り、それぞれの製造方法を比較することで、以前よりもCBD製品を選びやすくなったのではないでしょうか。

最近では、巷で数多くのCBD商品が販売されています。
無数の商品がある中で、商品の摂取方法や種類、味、メーカーなどの違いから商品を選ぶことがあると思いますが、CBDの製方も商品を選ぶ一つの基準として考えることで、よりご自身に合った商品を見つけられる可能性が高まります。

製法の違いによるCBD製品のメリットを最大限生かし、CBDを日常に取り入れて健康・治療効果を経験してみてください。

【参考文献】
※1 The United Chemicals of Cannabis: Beneficial Effects of Cannabis Phytochemicals on the Brain and Cognition
※2 Overcoming the Bell-Shaped Dose-Response of Cannabidiol by Using Cannabis Extract Enriched in Cannabidiol

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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