CBDはADHD緩和に効果ある?子どもに使うときの注意点も解説!

CBD(カンナビジオール)は、大麻草から抽出される成分の一つです。大麻草というとハイになったり、陶酔したりする精神活性作用を思い浮かべる人も多いですよね。

大麻草が持つ精神活性作用は、違法成分であるTHCが原因でCBDとは関係ありません。CBDは合法成分で、精神活性作用が一切ない安全性の高い成分であることが証明されています。

今までCBDについては多くの研究が世界中で行われてきました。その結果CBDは、安全性が高いだけでなく様々な健康・治療効果が期待できることが分かってきました。

今回取り上げるのは今回取り上げるのは、CBDはADHDにどう作用するか、についてです。最近、発達障害という言葉を多くの人が知るようになりました。もしかしたら自分もそうなのではないかと気づき、症状を少しでも軽減したいと望む人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、CBDはADHDの症状緩和に効果があるのかや、CBDを子供が摂取しても安全なのかなどについて海外の研究を紹介しながら解説していきます。

目次

ADHDとは

ADHDとは、注意欠陥多動性障害とよばれる発達障害の一つです。

ADHDの症状には、

  • 集中力がない
  • 落ち着きがなくじっとしていられない
  • 思いつくと行動せずにはいられない
  • 順序だてて行動することが難しい
  • 待つことが苦手、忘れ物が多い
  • ルールを守ることが難しい

などがあり、これらの症状が原因で日常の生活に支障をきたしてしまったりします。

12歳以前からADHDに特徴的な行動があり、学校や家庭、職場などの生活において困難が見られる場合にADHDと診断されます。

実はADHDの症状には、本人だけでなく家族も悩んでいることもとても多いです。

また、ADHDを持つ人は社会で失敗しやすいため、他人から否定的な評価を受けやすかったり、周囲に理解されづらく、共感してくれる仲間が少なかったりする傾向があります。そのような外部環境が原因で、心と身体のバランスを崩しやすく、うつ病や双極性障害(うつ状態とそう状態を交互に繰り返す病気)、不安障害など精神疾患を合併し、悩んでいる人もめずらしくありません。

CBDはADHD症状の改善に効果があるの?

結論から言うと、CBDがADHDの症状に効果があると証明する研究は残念ながらまだありません。

しかし、ADHDの専門家の中には、「ADHDとCBDについてはさらなる研究が必要なものの、CBDにはADHDの症状を緩和する可能性があり、CBDがADHDの最先端の治療法になり得るかもしれない」と考える人もいます。

このような結論に至るにあたり、今まで行われてきたADHDとCBDの研究はどのような結果が出ているのでしょうか。また今の時点でCBDで効果が期待できるADHDの症状はどのようなものなのでしょうか。

本項にて詳しく解説していきます。

今まで行われているADHDに対するCBDの研究

2020年に行われた海外の研究では、CBDをADHDの治療に推奨できる程度が中程度であることが報告されました。これは、CBDがADHDの症状を緩和できる可能性があるため、適度に推奨できるということをあらわしています。

2020年の112名を対象とした海外の小規模な研究では、CBDを摂取した患者は、ADHD治療薬の摂取量が少なくて済んだことが示されました。このことからCBDには、ADHD治療薬と同じような効果がある可能性があります

また、2017年の30名を対象とした海外の小規模な研究では、CBD点鼻スプレーを使用することにより、ADHDの症状である多動性、衝動性、不注意がわずかに改善したことが報告されました。

だたし、CBD点鼻スプレーはプラセボ(CBDなど効果が期待されている成分が入っていない点鼻薬)よりもはるかに効果があったとは言えない程度の改善であったため、さらなる研究が必要だと結論付けています。

2021年の海外の研究では、自閉症スペクトラムの子供を対象にした予備研究が行われました。この研究では、CBDはADHDの多動性を緩和する可能性があると述べられています。しかし、あくまでも緩和の可能性であり、本研究についてもさらなる研究が必要だとも報告されています。

今の時点でCBDで効果が期待されるADHDの人が悩む2つの症状

多動性などのADHDの症状にCBDが効果があるかどうかは今研究中ですが、今の時点で改善される可能性が高い症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

実際に改善が期待される2つの症状について解説します。

1.不眠症

2018年の海外の研究では、CBDで不眠症の症状が大幅に軽減したことが報告されました。

CBDの不眠症の症状の改善効果は、ADHDの不眠症の症状も改善する可能性があります

2.不安やうつ病

2019年の海外の研究では、CBDで79.2%の不安障害を持つ患者の不安が軽減したことが報告されています。

また、2020年の海外の研究では、CBDが脳内のセロトニン5-HT1A受容体を刺激する作用があることも示唆されました。

セロトニン5-HT1A受容体が刺激されると、リラックス神経である副交感神経を活性化し、不安を軽減します。また、活動するときに活性化する神経である交感神経を逆に抑制する作用もあります。

ちなみに、うつ病の治療に使われる抗うつ薬に分類される医薬品の中には、セロトニン5-HT1A受容体を刺激するという作用機序を持つ薬があります。

以上のことからCBDは、不安やうつ病の症状を緩和する効果があることが期待できます。ADHDが原因で起こっている不安やうつ症状にも同様の効果が期待できると考えられるでしょう。

CBDはADHDの子どもが摂取しても安全なの?

もしCBDがADHDの治療に役立つとするなら、ADHDを持つ子供にCBDを摂取させたいと思うご家族も多いのではないでしょうか。

そこで本項では、CBDが子供にとって安全なものなのかを解説していきます。

自閉症スペクトラムの子供に対するCBDの安全性についての研究

2019年に行われた自閉症スペクトラムの子供に対するCBDの安全性についての海外の研究では、社会的な交流や食欲、不安に問題が見られた子供にCBDを摂取させたところ、治療効果があったことが示されました。

しかし、6人に1人の割合で副作用が見られたことも報告されています。具体的な副作用の症状としては、めまいや不眠症、体重増加などがありました。

CBDは子どもにとって必ずしも安全とは言い切れない

子どもに投与するCBDには、海外でレノックス・ガストー症候群(LGS)やドラベ症候群と呼ばれる薬剤抵抗性のてんかん発作の治療薬として使われているエピディオレックスがあります。

CBDを成分とするエピディオレックスが子どものてんかんの治療に使われているのだから、CBDは子どもが摂取しても安全なはずだと思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、CBDオイルやCBDグミなどのCBD製品は、子どもへの使用が認められているわけではありません。子どもにCBDを摂取させた研究がほとんど行われていないため、安全性が確認できていないのです。

CBDは、精神活性作用が一切ない安全性が高い成分であるとされていますが、今まで行われた子どもとCBDについての研究からはCBD自体の副作用の問題も出てきています。

CBDを子どもに摂取させることはできますが、症状の改善と副作用リスクの両方を考え、摂取させる際は自己責任においてCBDを使用してください。

CBDを子どもに摂取させる場合の3つの注意点

ここまでCBDを子どもに使用する際、副作用がつきまとう点について解説してきました。

但し、ADHDの症状を一部緩和することが期待されるため、CBDを子どもに摂取させる場合には次の3点に注意してください。

1.相互作用に気を付ける

CBDは肝臓の酵素を阻害する働きがあるため、一部の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。

持病を持っていて薬を常に服用している子どもや、風邪やアレルギーなどで一時的に薬を服用している子どもがCBDを摂取する場合は、摂取する前に必ず医師や薬剤師にCBDが服用している薬と相互作用を起こすかどうかチェックしてください。

CBDとの相互作用が疑われる場合は、医師にCBDを摂取したい旨を伝えて治療薬を優先すべきか、止めても問題ない治療薬かを聞いてみるといいでしょう。

2.高品質のCBDを選ぶ

CBD製品の中には、劣悪な品質のものもあります。品質が悪く危険なCBD製品は、海外から個人輸入し、成分検査などを行わずに販売されている製品の中に特に多いです。

実際にこうした劣悪な製品には、精神活性作用がある違法成分THCが微量に含まれていたり、重金属や農薬など身体に有害な成分が入っていたりすることもあります。

このような有害物質が与える子どもの身体への影響は、大人に比べてはるかに大きいです。

CBD製品を選ぶ場合は、信頼できるメーカーの製品や、第三者機関の検査をしっかり受けて検査結果を公表しているメーカーの製品を選ぶようにしましょう。

3.副作用が起こったらすぐに診察を受ける

子どもにCBDを摂取させて万が一副作用だと思う症状があらわれたら、CBDの摂取をやめてください。

CBDの副作用の多くは軽度であることが知られているため、CBDの摂取を止めれば体調がすぐに回復することが多いです。

CBDの摂取を止めても症状が続いたり、症状が軽くなかったりする場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

CBDとADHDついてよくある質問

Q.CBDはADHDの緩和に効果ありますか?

CBDがADHDの症状に効果があると証明する研究は、残念ながらまだありません。

しかし、ADHDの専門家の中には「CBDにはADHDの症状を緩和する可能性があり、CBDがADHDの最先端の治療法になり得るかもしれない」と考える人もいます。今後のさらなる研究が期待されています。

Q.ADHD緩和のためにはどのタイプのCBD商品を使うのがおすすめですか?

多くのADHDの人が悩む不眠症やうつ病、不安の緩和を目的としてCBDを試す場合は、CBDオイルやCBDグミなどを使うのがおすすめです。

CBDオイルやCBDグミには全身作用がありますし、摂取方法も比較的簡単です。

Q.CBDを摂取するにあたって気をつけたほうがいい点はありますか?

CBDを摂取するにあたって次の3点に気を付けてください。

1. CBDは医薬品と相互作用を起こすことがあるため、服用している薬がある人は相互作用について医師や薬剤師に事前に確認しておくこと。

2. CBD製品の中には劣悪な品質のものがあるため、CBD製品を選ぶ場合は、信頼できるメーカーの製品や、第三者機関の検査をしっかり受けて検査結果を公表しているメーカーの製品を選ぶようにすること。

3. CBDを摂取した後、万が一副作用だと思う症状があらわれたら、CBDの摂取をやめることCBDの摂取を止めても症状が続いたり、症状が軽くなかったりする場合は、すぐに医師の診察を受けること。

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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