【薬剤師執筆】CBDのうつ病への作用は?CBDオイルと抗うつ剤は併用NG?

CBDのうつ病への作用は?

うつ病は、気分障害の一つです。
うつ病にかかると、一日中憂鬱な気分になり、疲れやすい、やる気が起こらない、集中力がなくなる、何をしても興味が持てないなどの症状に襲われます。
症状が酷くなると、仕事に行けなくなることもありますし、家での日常生活にさえ支障をきたすこともめずらしくありません。

うつ病から回復したいと思っている人の中には、とにかく効果があると言われているものは何でも試してみたいという人も多いのではないでしょうか。
うつ病の症状はそれほど辛く、患者の快適な日常生活を奪っているのです。

CBDは、様々な健康・治療効果があることが知られています。
この記事では、CBDがうつ病に効果があるのかやうつ病に対してのCBDの作用、うつ病におすすめのCBD製品などを説明していきます。

CBDの効果や副作用の内容については、こちらの記事をご覧ください。
→ CBDの効果や副作用とは?効果を感じない場合の対処法も紹介

目次

うつ病の原因って何?

うつ病の原因を特定するのは難しいですが、様々な要因が重なってうつ病は発症すると言われています。
もっとも一般的な原因は、環境に対する過度のストレスです。

大切な人やペットとの死別や、仕事場などでの人間関係の問題、結婚や引っ越しなど新しい環境などが過剰なストレスとなり、うつ病を発症してしまうケースが非常に多いです。
その他、遺伝的な要因や、脳内の変化がうつ病の原因になることもあります。

うつ病のメカニズムとは?

うつ病が起こる機序は、解明されていない部分が沢山あります。

今は脳内のセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質が足りなくなるために起こるのではないかと考えられていますが、様々な研究からうつ病のメカニズムは単純なものではなく、もっと複雑に絡み合っていることが分かっています。

うつ病の治療とは?

うつ病の治療には、薬物療法やカウンセリングなどの心理療法、運動療法などが行われます。
また最近では、TMSと呼ばれる経頭蓋磁気刺激治療法が行われる場合もあります。

薬物療法は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という薬が使われるのが一般的です。
うつ病の患者さんの脳内に足りないと言われている脳内のセロトニンやノルアドレナリンの作用を高める薬です。

CBDはうつ病・不安障害に効果がある?

CBDはうつ病に即効性の効果があると考えられています。

2014年に行われたCBDとうつ病や不安障害に関しての海外の動物実験では、CBDがうつ症状や不安障害に効果があることが示唆されました。※1

2018年には海外でCBDと抗うつ作用、抗不安作用についての研究のレビューが行われました。
その結果、CBDには、抗うつ作用、抗不安作用、神経を保護する作用があることが報告されました。※2

以上の研究結果から、海外の研究者たちはCBDが即効性のある抗うつ効果がある可能性が高いと結論付けています。
今後、人での研究が進むにつれて、うつ病に対するCBDの効果の詳細が分かってくるでしょう。

うつ病・不安障害に対して考えられるCBDの作用

では、CBDはどのようにうつ病に効果を示すと考えられているのでしょうか。

CBDはセロトニン作用を強めることで、うつ病患者の脳内で足りなくなっているセロトニンに対応し、抗うつ作用を示すのではないかと言われています。

2020年に行われた脳とCBDの海外研究では、CBDがセロトニン5-HT1Aというセロトニン受容体 (※)に作用することが示唆されました。※3

※セロトニン受容体とは、セロトニンの刺激を受け、セロトニンの作用を伝達するたんぱく質のこと。

セロトニン5-HT1A受容体は、刺激されると抗うつ作用を示すと言われています。
またリラックスする神経である副交感神経を活性化し、緊張する神経である交感神経を抑制することも分かっています。※4

うつ病の治療薬として使われているSSRIは、脳内でのセロトニン作用を強める働きがあります。
つまりセロトニン作用を増強するCBDは、抗うつ剤と同じような効果がある可能性があるということです。

CBDをうつ病に使う際の2つの注意点

CBDをうつ病に使う場合には注意点があります。CBDを摂取する前に、下記の3つの注意点をよく読んで守ってください。

1.CBDと抗うつ剤の併用は危ない?相互作用に注意する

CBDは副作用が少なく、万が一起こったとしても症状が軽度なため安全性の高いものとして知られています。
しかし、CBDには他の医薬品と相互作用を起こす可能性があるので注意が必要です。

CBDは、肝臓の薬物代謝酵素と呼ばれるアルコールや薬品の解毒をする酵素を阻害する作用があります。
この作用が、CBDが他の薬と相互作用を起こす原因となっています。

CBDが代謝酵素を阻害することで、医薬品の効き目が必要以上に増強されてしまったり、解毒されずに身体の中に長時間残ってしまったりする可能性があります。

うつ病の治療をしている人の中には、すでに抗うつ剤や抗不安薬を服用している人が多いと思います。
また、他の疾患などのために治療薬を服用している人もいるでしょう。

CBDを摂取する時期に医薬品を服用する必要がある人は、必ず医師や薬剤師に相互作用は大丈夫かどうか確認してください

2.服用している薬を勝手に止めない

相互作用が起こると困るので、服用している医薬品の服用を止めて、CBDに切り替えたいとういう人もいると思いますが、くれぐれも服用薬を勝手に止めないでください

服用薬を止める場合には、下記の2つの理由から、医師への相談がまず必要です。

理由1:人や身体の状態によってCBDの効き目が違うから

CBDは、人や身体の状態によって効果の出方が違うという特徴があります。
他の人に効果があったからと言って、自分にも同じような種類や程度の効果があるとは限りません。

抗うつ剤の代わりにCBDでうつ症状をコントロールしている人も実際にいます。
しかし、CBDのうつ病への効果を期待して服用しても、思ったような効果が出ない可能性もあることは覚えておいてください。

服用している薬を止めてしまった後に、CBDの効果があまり出なかったということになると、うつ症状の悪化が懸念されます。
うつ病が悪化し、取り返しのつかないことになるのを避けるため、服用薬を止める前にCBDが効果が出なかった場合についての対処法も医師と相談しておいてください。

CBDの効果について何日くらい様子を見ればよいかや、効果が出ない場合に服用できる薬などを知っておくと安心できるでしょう。

理由2:急に抗うつ薬や抗不安薬を中断すると離脱症状の心配があるから

抗うつ剤を止めるときは、離脱症状(※)が起こる可能性があるため、離脱症状を避けるために薬の用量を徐々に減らしていかなければならないときがあります。

※離脱症状とは、長期に薬を服用したせいで身体が薬が効いている状態に慣れてしまい、薬を急に中断することで身体がびっくりして様々な症状を起こすこと。症状として一睡もできなくなってしまったり、動悸や幻覚・幻聴などといった辛い症状があらわれる。

また、抗うつ剤の他にベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用している場合も注意が必要です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、睡眠剤や不安の発作などに必要時に使われるのが一般的ですが、中には長期に渡って服用している人もいます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬を長期間服用し続けていると、離脱症状が出る可能性が非常に高いです。

薬を急に中断してしまうと、後々辛い離脱症状に襲われて後悔しかねませんので、必ず医師に相談し、指示に従うようにしてください。

うつ病にCBDを使う際のおすすめの製品

うつ病は脳内の神経伝達物質の欠乏によるものと言われているため、治療にCBDを使う際は、全身作用があるCBD製品がおすすめです。

全身作用のあるCBD製品には、舌下摂取をするCBDオイル、吸入摂取をするCBDリキッド、経口摂取をする、CBDカプセル・錠剤、CBD入りの食品などがあります。

この中でうつ症状の改善に特におすすめなのは、CBDオイルです。

舌下摂取をするCBDオイルは、舌の裏側の太い血管から直接CBDを吸収することができます。
そのため、経口摂取よりも吸収率が高く、CBDの効果を体感しやすいというメリットがあります。

吸収率においては、吸入摂取をするCBDリキッドはCBDオイルよりも高いのですが、CBDリキッドは電子タバコなどを使って吸入するので、基本的に職場やカフェなどの禁煙の場所や、人混みや学校の通学路では使用が制限されてしまいます。

CBDオイルは、どこでも手軽に摂取することができることから、うつ症状や不安を感じた時にその都度摂取しやすいです。

以上のことから、吸収率が高く、どのような場所でも気軽に摂取できるCBDオイルが、うつ症状におすすめの製品と言えます。

CBDとうつ病についてよくある質問

Q.CBDでうつ症状を改善できますか?

CBDは、うつ症状を改善できる可能性があると言われています。
様々な研究結果がCBDのうつ病に対する効果を示しています。

CBDは今研究段階なので、今後、より多くの人での研究を行い、CBDの効果を証明する必要性があります。
しかし、実際に抗うつ剤の代わりにCBDでうつ症状をコントロールしているという人もいますので、CBDが抗うつ効果を示す可能性はかなり高いと言えると思います。

ただし、CBDは人や身体の状態によって効果の出方が違うこともあります。
自分の症状に対してCBDが効くかどうかは試してみないと分からないというのが正直なところです。

CBDは安全性の高いサプリメントだと証明されていますので、主治医の先生に相談をしながらCBDを摂取して効果があるかどうか一度見てみてはいかがでしょうか。

Q.薬の依存性や将来薬が効かなくなることが心配です。CBDもそのような危険性がありますか?

うつ病の治療薬の中には、依存性があるものや、耐性と言って時が経つにつれて効果が薄れていってしまうものがたしかにあります。
必要な用量がどんどん増えていってしまうのではないかという不安もあるでしょう。

CBDには、依存性も耐性もありません。
副作用も少なく、安全性の高いものであることが証明されていますので、主治医に相談の上、一度試して効果を見てみるとよいかもしれません。

Q.CBDはいつ飲めばよいですか?

医薬品は、朝食後や就寝前など、服用すべきタイミングが決まっていますが、CBDの摂取タイミングは決まっていません。

従って、うつの症状や生活スタイルに応じて摂取タイミングを決めると良いと思います。
通常、うつ症状は、朝悪くなる傾向があります。そのような場合には夜寝る直前や、朝起きてすぐに摂取することをおすすめします。
仕事場でストレスを感じるときは、休憩時間に摂取すると良いでしょう。

また、うつ症状や不安を強く感じた時にCBDを摂取するという使い方もできます。
どのタイミングで摂取すれば気分が楽かを観察しながら探ってみると良いと思います。

【参考資料】
※1 Antidepressant-like and anxiolytic-like effects of cannabidiol: a chemical compound of Cannabis sativa
※2 Translational Investigation of the Therapeutic Potential of Cannabidiol (CBD): Toward a New Age
※3  Cannabidiol Acts at 5-HT1A Receptors in the Human Brain: Relevance for Treating Temporal Lobe Epilepsy
※4 The mechanism of the sympathoinhibitory action of urapidil: role of 5-HT1A receptors.

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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