CBDとは、様々な健康・治療効果があることが期待されている大麻草の成分の一つです。
大麻草と聞くと、大麻取締法や薬物などを連想しがちですが、CBDは大麻草の成分の一つだからと言って、購入や所持、使用をしても違法にはなりません。もちろん、人をハイにするなどの危険な作用は一切なく、安全性の高さがすでに証明されている成分です。
ちなみに人をハイにする違法な大麻成分は、THCという名前の成分です。CBDもTHCも同じ大麻草から抽出されますが、性質も構造も違う別物なので間違えないようにしましょう。
CBDは安全性が高いということ、かつ健康・治療効果があるということから、今世界中の人からの注目を集めています。CBDの効果の恩恵を受けようと、健康維持や治療目的のためにCBD製品を生活に取り入れ始めている人も増えてきています。
しかし、CBDをいざ自分の生活に取り入れようとすると、普段の生活に本当に影響がないのか心配になる人も中にはいるのではないでしょうか。中でも、睡眠を改善する作用があるため、運転のようなミスをすると命に関わるものについては、CBDの作用で眠くなることはないのか気になる人も多いと思います。
この記事では、CBDが運転能力に影響を与えるのかについての研究や、CBDを摂取して運転するときの注意点などについて説明していきます。
シドニー大学の新しい研究がCBDは運転に影響を与えないことを示唆!
2022年のシドニー大学の最新の研究において、CBDが運転に影響を与えないことが報告されました。※2
どのような研究だったのでしょうか。
シドニー大学の研究方法
シドニー大学のCBDと運転の研究には、17人が参加をしました。プラセボ(※)のオイル、CBDオイル15mg、30mg、1,500mgの4種類を用意し、それぞれの用量のCBDに対しての運転への影響を観察しました。
※プラセボとは、本物の薬やサプリメントと見た目が同じように作られていて、有効成分(治療効果を示す成分:ここではCBDのこと)は入っていないもののこと。
運転の観察は、先頭車両と安全な車間距離をとりながら、高速道路や田舎道を走って行われました。また、運転にどのくらい影響が出るかを測る基準として、標準の運転能力との比較、認知機能、運転手の主観的な評価、血液中のCBD濃度が測定されました。
高用量のCBDでも安全に運転できるという結果が!
シドニー大学の研究の結果、CBDの摂取後に運転をしても、運転能力には影響を及ぼさないことが結論付けられました。少量量のCBDオイルはもちろんのこと、最高用量である1,500mgのCBDオイルでも、運転能力や認知能力を損なうようには見えなかったと報告しています。
ところで、1,500mgのCBDを摂取することは、どれほど高用量なのでしょうか。
実際に販売されているCBDオイルで、ボトル全体の用量が45mL、25mg/mLのCBDが入っているものがあります。このボトルに入っているCBDの用量は1,125mgということになるので、1,500mgを摂取するにはボトル1本以上を飲む必要があるということになります。
通常CBDオイルのボトルを1日に1本空けることはあまりないので、1,500mgという量がかなりの高用量だということが分かると思います。ちなみに、最初にCBDオイルを試す場合は、一日10〜15mgのCBDを摂取することが多いです。
1,500mgを摂取しても運転に影響を与えないという結果は、通常、人が摂取するCBDの用量では、CBDの影響を受けずに問題なく運転ができるという安心感を与えるのではないでしょうか。
それでもCBDの眠気を起こす作用が気になるという方へ
CBDは運転に影響を及ぼさないという研究結果が出ていても、CBDの睡眠改善作用で眠くなりすぎてしまうことはないのか気になる人も中にはいると思います。
CBDには、効果の出方が人によって違うという特徴があります。眠気が強く出る人もいれば、全く眠気を感じないという人もいるため、自分の身体では、もしかしたらCBDが運転に影響を与えるかもしれないと不安になっても無理はありません。
特に、睡眠改善効果以外の目的でCBDを摂取していて、普段の睡眠には何も問題ないという人は、眠気が強く現れることに対しての不安が大きいのではないでしょうか。
もしそのような心配がある場合は、運転する前に一度、CBDを摂取してみてどの程度眠気の作用が出るのかや、その眠気が運転に影響するほどの眠気なのかを観察してみることをおすすめします。
一度調べて自分の状態を把握しておけば、摂取後も安心して運転することができるでしょう。
CBDと他の薬を服用している場合は注意が必要
シドニー大学の研究では、CBDを摂取しても運転に影響を与えないと結論付けましたが、同時にこの結果はCBD単独の場合の結果であるとシドニー大学の研究員たちは強調しています。
CBDを他の薬と同時に服用する場合は、注意して摂取する必要があるということです。
CBDには、肝臓の薬物代謝酵素を阻害する働きがあることが知られています。このことは、CBDをある特定の医薬品と一緒に摂取すると、医薬品の効果を強めてしまったり、排泄を遅らせてしまったりする可能性があることを示しています。
たとえば、CBDと相互作用を起こす医薬品を服用していて、その医薬品が副作用として眠気や認知能力の低下、もしくは血圧の低下など、運転に影響がある症状を引き起こすような場合です。CBDがその医薬品の副作用を現れやすくしてしまう点は覚えておきましょう。
このようなことを回避するために、もし服用している医薬品がある場合は、CBDを摂取する前にCBDとの相互作用がないかを医師や薬剤師に確認してください。
相互作用がある医薬品や、サプリメントはめずらしくありません。必要以上に心配しなくても大丈夫ですし、確認して相互作用がないことが分かれば安心してCBDを摂取することができます。CBDに限らず、他のサプリメントを摂取する際も、服用している医薬品との相互作用については必ず聞いておくことが大切です。
THCが入っているCBD製品は安全ではない可能性も
日本ではTHCの購入や所持、使用は違法なため、THCが入っているCBD製品は販売してはいけません。しかし、THCが合法な国から直輸入しているCBD製品の中には、THCが微量に含まれていることもゼロではありません。
THCは運転に影響を与えるのでしょうか。
高濃度のTHCを含む大麻を使用すると、運転能力に影響を与えることが過去の研究から分かっています。
アメリカの医学雑誌に掲載された海外の研究では、THCまたはCBDとTHCが混ざったものを摂取していると運転能力に軽度な障害を示すと報告されています。
米国疾病管理予防センター(CBC)によると、THCは判断能力や調整、動きやバランスをコントロールする脳の領域に影響を及ぼす可能性があると考えられています。
THCによって判断能力や意思決定能力が鈍り、事故を起こす可能性が上がってしまうかもしれないということが分かります。
CBD製品に含まれている微量なTHCが運転にどの程度影響するかは分かりませんし、しっかり検査されてから売られている商品であればTHCは入ってることはほとんどないので気にしすぎることはありませんが、怪しい商品には手を出さないのが得策です。
THCのリスクや違法なCBD製品を避ける方法
THCのリスクや違法な製品を避けるためには、品質の良いCBD製品を選ぶことが重要です。
品質が良いCBD製品には、第三者機関に依頼した検査結果などが公表されていることが多いので、THCが含まれていないかなど検査結果をよく確認してから購入してください。もし検査結果が記載されていない場合はメーカーに直接問い合わせをしましょう。
良い品質の製品を購入することが、結果的に身体の安全を守ることになり、安心してCBDを摂取することにもつながります。
運転とCBDについてよくある質問
Q.CBDを摂取して運転しても大丈夫ですか?
シドニー大学の研究において、1,500mgという高濃度のCBDオイルを摂取しても、運転に支障をきたさないことが報告されています。
もし、CBDの睡眠を改善する作用により、眠気を起こすことが心配な場合には、運転をする前にCBDオイルの常用量を摂取し、どの程度眠気を起こすのか確認してみることをおすすめします。眠気があまり起きないことが分かれば、安心して運転ができると思います。
何か服用されている医薬品がある場合には、CBDと相互作用により、医薬品の副作用が増強されてしまう場合もあります。医薬品の副作用が運転に影響することも考えられますので、服用されている医薬品とCBDが相互作用を起こさないかどうかを医師や薬剤師に確認してください。
Q.CBDを摂取して運転するのは合法ですか?
CBD自体が合法なため、CBDを摂取して運転するのももちろん合法です。
CBDは運転能力に影響を与えないことが報告されているので、安全面から見ても、CBDを摂取後も問題なく運転していただけます。
ただし、THCを含むCBD製品は、THCは所持をするだけでも日本では違法です。また、運転能力に影響を与える可能性もあるため、CBD製品を購入する際はTHCが含まれていないCBD製品をご購入下さい。
Q.抗不安薬を服用しています。CBDを一緒に摂取して運転しても大丈夫ですか?
抗不安作用がある医薬品そのものの副作用に、眠気を起こす作用があるため、CBDを摂取しなくても運転は避けてください。
また、抗不安薬であるベンゾジアゼピン系の薬は、CBDと相互作用を起こす可能性があります。抗不安薬の効果が増強し、余計に眠気を感じるかもしれません。
運転に限らず、普段の生活においても医薬品の副作用が強くなってしまうことも考えられるので、まずは主治医の先生に、抗不安薬とCBDを併用しても大丈夫か確認するようにしましょう。