2022年の文献によると、大麻草には150種類以上のカンナビノイドが含まれているといわれています。
カンナビノイドの中でも、安全で、身体に多くのメリットをもたらすとされているCBDや、摂取するとハイになったり、陶酔したりする違法成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)を想像する人が多いですよね。しかし、大麻草には他にも合法かつ、高い安全性と健康・治療効果が期待できるカンナビノイドが多く含まれています。
今回取り上げるのは、CBTというカンナビノイドです。CBTは、ごくわずかな大麻株に少量しか含まれていないため、レアでマイナーなカンナビノイドと言われています。
今回は、CBTの特徴や効果などについて解説していきます。
CBTとは?
CBTという言葉を調べると、CBTはカンナビトリオールのことと説明する記事と、CBTをカンナビシトランだと説明する記事があることに気付くかもしれません。
CBTとは通常、CBTカンナビノイドとして最初に発見されたカンナビトリオールのことを指します。
カンナビトリオール
CBTとは、カンナビトリオールと呼ばれている大麻草の有効成分カンナビノイドの一つです。CBTは、1966年に発見され、1976年にはその化学構造が解明されました。
CBTの化学構造は、実はTHCととてもよく似ています。「THCに化学構造が似ているということは、CBTもTHCのように精神活性作用を持つ危険な成分なのでは?」と思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際は違います。CBTは化学構造がTHCと似ているものの、CBTの効果やもたらすメリットは、THCではなくCBDの方に似ていると考えられています。
CBTはレアでマイナーなカンナビノイド
CBTは、他のカンナビノイドと違い、一部の大麻草株にしか含まれていません。少量の大麻株にしか含まれていないうえ、含まれているCBTの量もごくわずかのため、レアカンナビノイド・マイナーカンナビノイドと呼ばれています。
CBTの効果は、とても興味深いものですが、存在するCBT自体が微量であるため、CBTに関する研究はまだあまり進んでいません。CBTについての詳細が、まだよく分かっていないというのが現状です。
CBTは特別なカンナビノイド
CBTの研究は困難な状況ですが、科学者たちはCBTを研究し始めています。数少ない研究で、CBTの前駆体※が、CBC(カンナビクロメン)であるということが判明しました。
※前駆体とは、化学物質が生成する前の段階に位置する物質のこと
以前、大麻草のすべてのカンナビノイドの前駆体は、CBG(カンナビゲロール)であり、CBGが熱や紫外線にさらされて変化した結果、全てのカンナビノイドが生成していると考えられていました。
しかし、CBTを研究した結果、CBCという「CBGではない別の前駆体」の発見につながったのです。
カンナビシトラン
CBT(カンナビトリオール)には9つのタイプがあることが知られていますが、カンナビシトランとは、カンナビトリオールのタイプの一つです。カンナビシトランはCBT-Cと表現されることもあります。
カンナビトリオールもカンナビシトランも希少なカンナビノイドであり、研究が進んでいないことから表現として混同を招くことがありますが、カンナビシトランもカンナビトリオールの一つと覚えておきましょう。
CBTの効果
CBTが身体の中でどのように働くかの詳細はまだはっきりとは分かっていません。
CBTはまだ研究途中ですが、既に発表されているCBTに期待されている3つの効果について解説していきます。
1.緑内障を改善する効果
1983年の海外の研究では、CBTがウサギの眼圧を低下させた結果が報告されました。人間での研究は行われていませんが、人間においても眼圧を低下させ、緑内障を改善する効果が期待できると考えられています。
今後さらに研究が進めば、より効果が明らかになると期待できます。
2.THCの精神活性作用を軽減する効果
2007年の海外の研究では、CBTはTHCの精神活性効果を軽減するカンナビノイドの一つである可能性が示唆されました。
CBTとTHCは化学構造が非常に似ています。似ているのにもかかわらず、精神活性効果に対しては、相反する作用をもつと考えられているのです。
CBTの精神活性効果を軽減する効果は、マリファナの乱用の治療などに利用できるのではないかと期待が高まっています。
3.乳がんへの治療効果
2021年に発表された海外の研究では、CBTはエストロゲンに対して阻害作用を持つことが期待できると報告されました。
エストロゲンの阻害作用がある抗悪性腫瘍薬として、タモキシフェンという医薬品があります。乳がんの治療によく使われる抗がん剤ですが、研究では、CBTはタモキシフェンよりも優れたエストロゲン阻害作用があるのではないかと結論付けられました。
乳がん治療においてCBTが優れた治療候補になる可能性があります。
CBTにアントラージュ効果は期待できる?
アントラージュ効果とは、CBDなどのカンナビノイドが、他のカンナビノイドなど複数の植物原料と合わせて摂取することで、本来のカンナビノイドの効き目がより高まる効果(相乗効果)のことです。
CBTにもアントラージュ効果は期待できるのでしょうか。
CBTに関する研究が進んでいないため、明確なことは分かっていませんが、CBTの化学構造式からCBTもアントラージュ効果に関与していると考えられています。
CBTをCBDと一緒に摂取することによって、CBDの健康・治療効果を強め、効果を体感しやすくなることが期待できます。CBTとCBDを緑内障患者に併用することで治療効果がさらに高まる可能性があると報告している研究もあります。
CBTとCBDの大きな違いとは?
現在分かっているCBTとCBDの大きな違いは、結晶化の有無です。CBDが結晶化するのに対し、CBTはCBCと同様、常温では液体で存在するため、結晶化しません。
またCBTは、CBDの結晶化を防ぐことができるといわれています。そのため、CBDとCBTはのベイプリキッド製品に使うと相性が良いとされています。
CBDのベイプリキッドを作る際、通常CBDの結晶化を防ぐためにMCTオイルやココナッツオイルなどのキャリアオイルやプロピレングリコールなどの溶剤を使って、CBDの結晶を溶かしています。
このキャリアオイルや溶剤をCBTにすれば、100%カンナビノイドでできたベイプリキッドを作ることもできます。
カンナビノイドの濃度が高くなれば、その分健康・治療効果を体感しやすくなる傾向があります。CBDとCBTを配合すればアントラージュ効果も期待でき、より効果が高まることも期待できます。さらに、CBTとCBDを組み合わせることでベイプリキッドの保存期間が長くなるとも言われています。
そのため、CBTはベイプリキッド製品を作るのにうってつけの成分だとされているのです。
CBTは安全?
CBTの化学構造式がTHCに似ているため、精神活性作用があるのではないかと心配する人もいますが、CBTにはTHCの精神活性作用を軽減する作用があります。
CBTにはTHCのような精神活性作用がなく、安全性が高い成分だと期待されています
しかし、CBTの安全性に関する研究がまだ少ないため、断定することはできません。今後の研究に注目していきましょう。
CBTは合法?
CBTは、安全性が高いと考えられており、CBTを規制する法律はないため、日本でも合法的に使えます。違法のTHCと混同しないようにしましょう。
CBT製品は日本で買える?
楽天を見てみると、ブロードスペクトラムのベイプリキッドにCBTが配合されている商品が販売されていました。しかし、CBTの商品数は日本ではほとんどありません。
今後CBTについての研究が進み、効果の詳細がより分かってきたり、海外でCBTの人気が高まったりすれば、日本でもCBT商品が増えていくことでしょう。
CBTというカンナビノイドについてよくある質問
Q.カンナビトリオールとカンナビシトランは何が違うのですか?
カンナビトリオールには9つのタイプがあることが知られていますが、カンナビシトランとは、カンナビトリオールのタイプの一つです。カンナビトリオールはCBT、カンナビシトランはCBT-Cと表現されることもあります。
カンナビシトランもカンナビトリオールの一つと覚えておきましょう。
Q.CBTにはどんな効果がありますか?
CBTはまだ研究途中ですが、緑内障を改善する効果、THCの精神活性作用を軽減する効果、乳がんへの治療効果が期待できることが今のところ発表されています。
Q.CBT商品は日本で買える?
ブロードスペクトラムのベイプリキッドにCBTが配合されている商品が楽天で販売されていました。しかし、CBTの商品数は日本ではほとんどありません。
今後CBTについての研究が進み、効果の詳細がより分かってきたりすれば、日本でもCBT商品が増えていくことでしょう。