ヘンプオイルとCBDオイルの違いとは?効果効能・栄養素について解説

様々な健康・治療効果があるとして大麻草から抽出されるCBDオイルが今注目されていますが、ちまたではヘンプオイルという商品も売られています。

ヘンプとは、麻のことです。大麻草も麻も植物学的に同じものを指すので、CBDオイルとヘンプオイルは同じものなのではないかと思っている人も多いのではないでしょうか。

CBDオイルとヘンプオイルは全く違う製品です。

この記事を読むことで、CBDオイルとヘンプオイルの違いが分かれば、どちらが自分の目的に適切かを見分けられるようになります。

この記事ではCBDオイルとヘンプオイルの違いに注目し、効能効果や栄養素、使う目的について説明していきます。

目次

ペンプオイルとCBDオイルの5つの違い

ヘンプオイルとCBDオイルは、そもそも違うものです。どのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

1. 抽出する大麻草の部位が違う

へンプオイルとCBDオイルはどちらも大麻草から抽出される成分が入っていますが、使われる大麻草の部位が違います

ヘンプオイルは、ヘンプ植物の種子が使われます。ヘンプオイルの加工方法によってはヘンプオイルにCBDが含まれる場合もありますが、ほとんどの場合、CBDは含まれないか、もしくは含まれているとしてもごく微量です。※1

日本で使われている多くのCBDオイルは、ヘンプの茎や種子が使われています。海外では葉っぱや花も使われており、これらの部位にはCBDが豊富に含まれています。

2. 栄養素が違う

ヘンプオイルとCBDオイルは、含まれている栄養素にも違いがあります

先ほど説明したように、ヘンプオイルにはCBDがほとんど含まれていませんし、含まれていたとしても微量です。その代わりにヘンプオイルには健康を維持するのに優れた栄養素が豊富に含まれています。

ヘンプオイルに含まれる栄養素には、オメガ6、オメガ3、γリノレン酸などの栄養価の高い必須不飽和脂肪酸、ビタミンEなどの抗酸化物質、その他、カロチン、ビタミンB、クロロフィル、カルシウム、硫黄、マグネシウム、カリウム、リン、亜鉛、鉄、アミノ酸などがあります。

CBDオイルに含まれている主な成分は、もちろんCBDです。その他、製品によってはCBD以外の100種類以上のカンナビノイドや、テルペンやフラボノイドと呼ばれる500種類以上の化合物が含まれています。また、キャリアオイルとして、ココナッツオイルやヒマワリ油、サラダオイルなども使われています。

3. 効果・効能が違う

ヘンプオイルとCBDオイルは、含まれている成分や栄養素の違いから、効果効能にも差が出てきます

ペンプオイルの効果効能

ヘンプオイルは、オイルに含まれている栄養素がもたらす健康効果が期待できます。

たとえばヘンプオイルの栄養素の一つであるオメガ3は、脳や心臓を健康に導くことで、血液循環を良くしたり、免疫の働きを高めたりすると言われています。

γリノレン酸は、PMS(月経前症候群)の症状を和らげたり、皮膚や髪、爪などの成長をサポートしたりすることで知られています。

ヘンプオイルの栄養素の健康効果をまとめると、次のような作用が期待できます。

・心臓血管の改善
・免疫システムを高める
・皮膚や髪、爪などの状態の改善
・PMSの緩和
・胃腸状態の改善
・便秘解消
・抗がん作用
・抗酸化・アンチエイジング効果

などです。

CBDオイルの効果効能

CBDオイルは、体内の環境を一定に保とうと調節する機能であるエンドカンナビノイドシステム(ECS)を活性化することにより、健康・治療効果をもたらします

CBDの健康・治療効果は次のようなものが期待されています。

・リラックス・抗不安
・抗てんかん作用
・痛みや炎症の緩和
・自律神経を整える
・がん症状の緩和
・抗高血圧作用
・動脈硬化軽減作用

などです。

ちなみに、CBDには摂取すると眠くなる効果がありますが、ヘンプオイルを摂取しても眠くなりません。

これらのことから、ヘンプオイルとCBDオイルは、身体への作用の仕方や効能効果が違うことが分かるのではないでしょうか。

4. 使い方が違う

ヘンプオイルとCBDオイルは使い方にも違いが見られます。

ヘンプオイルは、そのまま口に入れて飲むことも可能ですが、オリーブオイルのように調理用の油として使用することができます。また、ドレッシングの代わりにサラダにかけて摂取することも可能です。

CBDオイルは通常、舌の下から吸収させる舌下摂取という方法で摂取します。CBDオイルは熱に弱いため、調理用には使用しません。

ただ、関節の痛みなどを和らげるためにマッサージオイルとして使うこともあるという点では、ヘンプオイルもCBDオイルも共通しています。マッサージ用でCBDを使う場合は、ぜひ肌に塗る専用のCBDオイルを使うようにするのがおすすめです。

5. 医薬品との相互作用があるかどうか

CBDオイルは、特定の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。CBDオイルが肝臓の酵素を抑制し、服用している薬の作用を必要以上に強めてしまうかもしれません。

それに対して、ヘンプオイルには医薬品との相互作用は報告されていません。

ヘンプオイルとCBDオイルの共通点

ここまで、ヘンプオイルとCBDの違いについて見てきましたが、ヘンプオイルとCBDには類似点もあります。

人をハイにさせることはない

ヘンプオイルもCBDオイルも大麻草から抽出される成分ですが、THCが検出されず、人をハイにさせるような精神活性作用がないという共通点もあります。

どちらも安全性の高い製品であるため、安心して摂取することができるでしょう。ただし、既に服用している医薬品があり、CBDオイルを試す時は、服用薬がCBDとの相互作用を起こすか医師や薬剤師などの専門家に確かめてください。

不安を和らげる効果

先ほど説明したように、ヘンプオイルとCBDオイルは、身体への作用の仕方も含まれている栄養素や成分も違います。しかし、中には結果的に類似している効果もあります。

たとえば、不安を和らげる効果です。

ヘンプオイルとCBDオイルはどちらも不安を軽減する効果があると言われています。

CBDオイルは、ECSや、脳にあるリラックスする物質の働きを活性化することで自律神経を整え、不安を軽減すると言われています。※2 ※3 ※4

ヘンプオイルは、ヘンプオイルに含まれるマグネシウムやアミノ酸、ビタミンBが、脳内のリラックスする物質に働きかけたり、身体のストレスホルモンを減らしたりすることによって不安を和らげると考えられています。

このようにどちらも不安を抑え、リラックスさせる効果が期待できます。

しかし、CBDオイルはECSなど気分を調節する働きに直接作用するので、不安の軽減に関してはヘンプオイルよりもCBDオイルの方が優れていると言えるかもしれません。

ヘンプオイルとCBDオイルのどっちを使えばいいの?

健康上の問題を解決する目的でヘンプオイルかCBDオイルを試したい時、一体どちらが自分にとって適切か迷うことがあるのではないでしょうか。

そのような時は、自分が摂取する「栄養」を良くしたいのか、体の症状を改善したいのかを考えると、適切なオイルを選びやすくなるかもしれません。

ヘンプオイルは、栄養豊富な成分が含まれているため、栄養上のメリットがあります。CBDオイルはECSを活性化することで、身体の機能を回復させることが期待されるため、症状を改善したり和らげたりするメリットがあると言えます。

たとえば、不安の軽減やリラックス効果を感じたい場合は、良い栄養を摂るよりも症状に対してアプローチして解決する必要があると言えるので、CBDオイルの方が優れていると考えられます。

食生活の乱れが気になり、栄養のバランスをとることで健康を維持したい場合は、栄養豊富なヘンプオイルを選ぶようにし、睡眠や不安、痛みなどの心身の状態を良くしたいときはCBDオイルを使うと良いでしょう。

自分の目的を分析することで、適切なオイルを選んでください。

ヘンプオイルとCBDオイルを間違って買わないようにする見分け方

CBDオイルやヘンプオイルをあまり買った経験がない方だと、CBDオイルだと思って注文したら、実はヘンプオイルだったということも実際に起こりえます。

CBDオイルは、一般的にヘンプオイルよりも高価な製品です。ヘンプオイルを高く売るために、まるでCBDオイルを販売しているかのように装っている業者も中には存在します。

ヘンプオイルとCBDオイルを間違って買わないようにするには、成分表示を必ず確認することが重要です。CBDオイルには、CBD(カンナビジオール)が何ミリグラム、もしくは何パーセント入っているのかが記載されています。

もしCBDについての記載がなければ、その商品はヘンプオイルの可能性が非常に高いです。「麻由来」と書いてあっても、CBDが入っているとは限らないので注意してください。

ちなみにヘンプオイルは、「ヘンプシードオイル」、「麻の実油」、「カンナビスサティバシードオイル」という名前で売られていることもあります。

ヘンプオイルとCBDについてよくある質問

Q.ヘンプオイルとCBDオイルは同じものですか?

ヘンプオイルとCBDオイルは全く違うものです。どちらも大麻草から抽出される成分を使っていますが、使われる大麻草の部位もちがいますし、オイルに含まれる栄養素などの成分も違います。

Q.ヘンプオイルとCBDオイルを一緒に摂取しても良いですか?

ヘンプオイルとCBDオイルはどちらも安全なものなので、一緒に摂取しても問題ありません。それぞれに効果や効能の違いがあるので、一緒に摂取することによって両方のメリットを受けられるでしょう。

Q.ヘンプオイルとCBDオイルはどちらの方が効果がありますか?

ヘンプオイルとCBDオイルの効果は、中には似ているものもありますが、基本的に違います。そのため、使用する目的も変わってくるため、一概にどちらが優れているということは言えません。

栄養素を取って体を良くしたいの問題を改善したい場合は、ヘンプオイルを選ぶと良いでしょう。不安や不眠など、心身の症状を改善したい場合はCBDオイルの方が適切だと考えてください。

【参考資料】

※1 Clinicians’ Guide to Cannabidiol and Hemp Oils

※2 The Endocannabinoid System and its Modulation by Cannabidiol (CBD)

※3 Cannabidiol Acts at 5-HT1A Receptors in the Human Brain: Relevance for Treating Temporal Lobe Epilepsy

※4 The mechanism of the sympathoinhibitory action of urapidil: role of 5-HT1A receptors.

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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