日本において慢性的な頭痛を経験している人は約4割にものぼり、頭痛や偏頭痛は私たちにとって身近な病気です。
頭痛に悩まされている方の中には、痛み軽減の選択肢としてCBDが気になっている方も多いのではないでしょうか。
CBDには、慢性的な痛みに対する鎮痛作用に加えてリラックス作用もあるため、頭痛や偏頭痛の大きな原因の1つでもあるストレスを緩和します。
そのため、CBDを使用することで頭痛の改善が期待できます。
今回の記事では、CBDと頭痛や偏頭痛との関係について詳しくまとめました。
・大麻由来成分であるCBDの安全性
・頭痛に効果のあるCBD製品の使い方
・推奨の摂取量
等を詳しく説明しているため、ぜひ参考にしてみてください。
CBDの効果や副作用の内容については、こちらの記事をご覧ください。
→ CBDの効果や副作用とは?効果を感じない場合の対処法も紹介
日本人の約4割が頭痛に悩まされている?
現在、日本では約4割が慢性的な頭痛を経験しており、そのうち偏頭痛を訴える人は8.4%(約840万人)いると考えられています。※1
また、疫学調査などによると偏頭痛を経験している女性の有病率は12.9%と、男性の有病率(3.6%)よりも3.6倍高く、特に30〜40代の女性に多いとされています。※2
これらの結果から、日本において女性を中心に多くの人が頭痛や偏頭痛に悩まされていることが分かります。
頭痛・偏頭痛とはどんな病気?
頭痛には様々なタイプや原因があり、一次性頭痛と二次性頭痛の2種類に大きく分類されます。
一次性頭痛は一般的に慢性頭痛と呼ばれるもので、はっきりとした原因や疾患が見つからない「頭痛そのものが病気である頭痛」です。
一方の二次性頭痛は、脳梗塞やくも膜下出血、髄膜炎、感染などの疾患が原因となって起こる頭痛です。
一次性頭痛の中で代表的なのは、
・緊張性頭痛
・偏頭痛
・群発性頭痛
の3種類で、これらは三大慢性頭痛と呼ばれています。
痛みの特徴 | 原因 | |
---|---|---|
緊張性頭痛 | 頭全体が締め付けられるような鈍い痛み | 身体的・精神的ストレス |
偏頭痛 | ズキンズキンと脈打つような痛み | 脳の血管の拡張 ストレスも引き金に |
群発性頭痛 | 目がえぐられるような激しい痛み | 原因ははっきりしていない |
慢性頭痛の中で最も多い緊張性頭痛は、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。
頭痛の他に、首や肩のコリを伴うこともあります。
次いで有病率が高い偏頭痛は、頭の片側あるいは両側のズキンズキンと脈打つような痛みが特徴で、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
偏頭痛による痛みで仕事が手につかなかったり、寝込んでしまったりと日常生活にも支障をきたします。
最後の群発性頭痛は特に男性に多く見られ、片方の目がえぐられるような激しい痛みが特徴です。
頭痛・偏頭痛はストレスも原因となる?
慢性頭痛の中で最も多い緊張性頭痛は、ストレスとの関わりが深いことが分かっています。
例えば、長時間のデスクワークなどによる身体的ストレスや、仕事・人間関係のトラブルなどといった精神的なストレスによって頭痛が引き起こされるのです。
また、偏頭痛もストレスの影響を大きく受けることが分かっています。
この様に、どちらの頭痛もストレスが原因で引き起こされる病気ですが、引き起こされるタイミングは実際には異なります。
一般的に緊張性頭痛はストレス状態にある最中に起こり、偏頭痛はストレス状態から解放されたときに起こることが特徴です。
頭痛薬を飲みすぎると薬物乱用頭痛の原因に?
頭痛が起こると、その痛みによって仕事や家事が手につかなくなったり、寝込んでしまったりと日常生活に支障をきたします。
そのため、頭痛やその兆候を感じたら、すぐに頭痛薬を飲むようにしている方も多いでしょう。
しかし、頻繁に頭痛薬を服用していると薬を飲んでも効かなくなったり、頭痛が悪化したりする薬物乱用頭痛の原因となる可能性があります。
長期間にわたって頭痛薬を月10日以上服用している場合は、薬物乱用頭痛を発症する可能性があるため注意が必要です。
CBDが頭痛・偏頭痛に効くのはなぜ?
CBDには、頭痛や偏頭痛を軽減させる効果があります。
頭痛薬だけに頼るのではなく、CBDをうまく取り入れることによって薬の使用量を減らすことに加えて、痛みの軽減が期待できるでしょう。
本項目では、CBDが頭痛や偏頭痛に効果がある理由について説明します。
CBDには鎮痛作用が認められている
いくつかの研究によって、CBDには慢性的な痛みに対する鎮痛作用が認められています。
この鎮痛作用は慢性頭痛にも効果を発揮し、痛みを軽減させるのです。
また、CBDにはストレスを緩和して緊張を和らげる作用もあります。
先述の通り、緊張性頭痛や偏頭痛といった慢性頭痛はストレスが原因となっていることも多いため、CBDのリラックス作用によってストレスが緩和されることも頭痛を軽減させる理由の1つと言えます。
カンナビノイド欠乏症との関係
人間の体内には、生きていくために必要なエンド・カンナビノイド・システム(ECS)という調節機能が備わっています。
このシステムが正常に機能することにより、病気を防いで心身の健康を維持しています。
加齢や外部からのストレスなどによってこのECSのバランスが崩れると、カンナビノイド欠乏症と呼ばれる状態になり、体の機能や心身の健康に支障をきたします。
イタリアの研究では、偏頭痛はカンナビノイド欠乏症によっても引き起こされるケースがあると論じられています。※3
CBDにはECSの働きをサポートし、カンナビノイド欠乏症を改善する作用があるため、CBDを摂取することで頭痛や偏頭痛への効果が期待できるのです。
頭痛に効果があるCBDの安全性は?副作用などはない?
ここまで、CBDが頭痛に効果があることを説明してきましたが、大麻草が原料であるCBDの安全性について不安を持つ方も少なくないのではないでしょうか。
結論から言うと、CBDはWHO(世界保健機関)でも安全性が認められている成分であり、副作用などの心配はありません。
本項目ではCBDの安全性について詳しく説明していきます。
副作用は少なく安全性が高い
CBDの副作用には口の渇きや眠気、疲労感、めまいなどが挙げられます。
しかしどれも軽度であり、健康に支障をきたすような重篤な副作用の心配はありません。
WHOによって2017年に発表された報告書でも「CBDは安全性に優れていて副作用はほとんどない」ということが示されており、CBDの安全性が認められています。※4
しかし、万が一CBDの使用によって不快な副作用が強く起こってしまった場合は、すぐに使用を中止して医療機関を受診してください。
依存性や乱用のリスクは認められない
CBDを継続して使用することで止められなくなる、使用量がどんどん増えてしまう、などといった心配はないのでしょうか?
WHOによる報告書では、「CBDには依存症や乱用の可能性は認められない」ということが示されており、依存性や乱用のリスクがないことがわかります。※4
また、万が一CBDを多量に摂取してしまった場合でも、健康状態に大きな問題はありません。
しかし、日常的に多量摂取をするとCBDの代謝を行う肝臓に負担がかかってしまうため、むやみに多量摂取することは避けましょう。
「大麻」のように精神作用はない
大麻草が原料であると聞くと、いわゆる「大麻」のようにハイになったり、酩酊状態(酒に酔ったような状態)になったりする心配はないのでしょうか?
結論から言うと、CBDには精神作用がないため、ハイや酩酊状態になることはありません。
大麻を摂取することによって起こる精神作用は、THCという成分によるものです。
THCとCBDは同じ大麻由来ですがまったく異なった成分であり、THCは日本の大麻取締法で厳しく規制されている成分です。
現在、一般的に日本国内で流通しているCBD製品はTHCが除去されていますので、精神作用はないと言えます。
CBDは子どもの頭痛にも使える?
CBDは大人だけでなく、子どもの頭痛や痛みにも使っても問題はありません。
実際、子供に対しては、難治性の小児てんかんに長期間使われており、ある程度の安全性が認められています。
また、海外では小児てんかんに加えて自閉症やADHD、アトピーなどにもCBDが使われています。
しかし、CBDの子どもに対する研究はまだあまり多くないため、完全に安全であるとは言い切れません。
使用する場合はリスクがある可能性も理解した上で、自己責任で行いましょう。
使用する際はTHCが含まれていないか確認してCBD商品を選び、2.5~10mgを目安に、少ない摂取量から始めて様子をみるようにしてください。
「子どもにCBDを使用したいけれど、オイルやグミなど直接口に入るものには抵抗がある」という方は、肌に塗って使用するロールオンやバームなどを使用するのも良いでしょう。
こめかみに塗ることで、頭痛の軽減が期待できます。
頭痛の軽減におすすめなCBD製品と使い方は?
現在、市場には様々な種類のCBDが流通しています。
「頭痛を軽減させるためにCBDを使ってみたい!」と思っても、
「どの製品を使ったら良いのかわからない」
「具体的にどのように使用したら良いのか?」
と悩んでしまう人も多いかもしれません。
本項目では、頭痛の軽減におすすめなCBD製品とその使い方について詳しく説明します。
CBDオイル
CBDオイルとは、MCTオイルやオリーブオイルなどにCBD成分を配合した製品です。
毛細血管の多く集まる舌下に直接オイルを垂らす、「舌下摂取」と呼ばれる方法でCBDを摂取します。
毛細血管から直接CBDを取り込むため、オイルを垂らしたあとすぐには飲み込まず、60秒ほど舌下にとどめてください。
舌下摂取は、消化器官を経由しないため効果の発現時間が早く、30分ほどで効果が表れます。
効果の持続時間は2~4時間程と言われています。
オイルは特別な道具が必要なく手軽に摂取できるため、初心者の方にもおすすめの摂取方法です。
直接舌下にオイルを垂らすのが難しい場合は、ティースプーンに垂らして舐め取ってみてください。
「〇滴」といった量の調整もしやすくなります。
CBDべイプ
CBDべイプは、べイプ(電子タバコ)を使用した摂取方法です。
「吸入摂取」や「気化摂取」と呼ばれ、CBDが配合されたワックスやリキッドをべイプによって蒸気に気化させて吸入します。
煙を吸い込むため、喫煙経験がない場合は慣れるまでにむせてしまう、うまく肺に吸い込めないなど難しく感じるかもしれません。
しかし、肺の毛細血管から直接CBDを取り込むことができるため、数分で効果を感じられるというメリットがあります。
べイプの効果が続く時間は、2~4時間ほどと言われています。
CBDロールオンやバーム
CBDロールオンやバームは、CBD成分を直接肌に塗る方法です。
全身への効果はほぼありませんが、塗られた範囲で局所的に痛みを緩和します。
頭痛に対して使用する場合は、こめかみに塗ると良いでしょう。
肩こりを感じる場合は、うなじや肩回りに塗るのもおすすめです。
ロールオンやバームは、アロマオイルが配合されている商品も多いため、香りでもリラックスできます。
効果が現れるまでの時間は最大2時間とゆっくりですが、効果が持続する時間は約5時間と言われています。
肌に塗るロールオンやバームは、CBDが血液中に取り込まれないため副作用の恐れが少ないというメリットもあります。
頭痛に効果的なCBDの摂取量は?
CBD製品で頭痛を軽減させる場合、どのくらいの量を摂取すればよいでしょうか?
CBDの推奨摂取量は、一般的な薬のように具体的な摂取量が決まっているわけではありません。
使用する方の体重や代謝、体質などによっても個人差があるためです。
そのため、CBD製品を初めて使用する場合は少量からスタートし、様子を見ながら少しずつ量を増減していきましょう。
本項目では、それぞれの製品における摂取量の目安を説明します。
CBDオイル
専門家を対象に行われたアメリカのアンケート調査によると、CBDの推奨摂取量は1日あたり16~30mgという結果でした。※5
最適な摂取量には個人差があるものの、まずはこちらを目安にスタートするのが良いでしょう。
その後、体調などの様子をみながら効果が感じられない場合は1~2滴ずつ増やしてみてください。
CBDべイプ
べイプは他の製品と比べて、摂取量を調整するのが少し難しいかもしれません。
摂取量の目安として、商品に含まれているCBDの総量を吸引回数で割ると良いでしょう。
一般的に吸引回数とは、3秒間の吸引を意味します。
例えば、商品のCBD総量が300mgで約80回分の吸引回数だとすると、300mgを80回分で割ることになるため、3秒間の吸引で3.75mgが摂取できることになります。
べイプによる効果は他の製品と比べて即効性があるため、まずは1~3回吸引して15分ほど様子をみてから吸引回数を調整しましょう。
CBDロールオンやバーム
頭痛緩和目的でロールオンやバームを使用する場合、適量をこめかみに塗ってください。
量に関しては、通常のロールオンやバームと同じくらいで問題ありません。
アメリカの研究では、末梢神経痛の患者に対して0.3%濃度のCBDを投与したところ、有意に痛みの軽減が見られました。※6
この結果から、日本で流通しているCBDロールオンやバームの濃度でも、痛みに対して効果が期待できることがわかります。
CBDには生理痛やPMS(月経前症候群)軽減の効果も!
CBDには頭痛だけでなく、生理痛やPMS(月経前症候群)を軽減する効果もあることが分かっています。
本項目では、多くの女性が悩んでいる生理痛・PMSとCBDの関係を解説していきます。
PMS(月経前症候群)とは?
PMS(月経前症候群)とは、生理の約3~10日前に起こる精神的・身体的な不調の症状です。
具体的には下腹部の張りや痛み、頭痛、むくみ、イライラ、不安感、抑うつ(気分の落ち込み)などといった症状が起こります。
生理が始まるとともに症状がおさまったり、なくなったりすることが特徴です。
PMSの原因ははっきりとは分かっていませんが、月経周期における女性ホルモンの変動が関係していると言われています。
PMSの症状が重い場合は、仕事や日常生活にも支障をきたすこともあります。
PMSの精神的・身体的な症状の多くは、体内の調節機能であるエンドカンナビノイドシステム(ECS)と関わっています。CBDの摂取によってECSやホルモンのバランスを整えることで、PMS症状の軽減に役立つと考えられています。
CBDは頭痛以外の痛みにも効果がある!
生理痛の主な原因は、子宮収縮作用のあるプロスタグラジンという物質です。
生理中になるとプロスタグラジンが分泌されますが、分泌量が多いと子宮が過剰に収縮し、下腹部痛や腹痛といった生理痛を起こすのです。
CBDにはプロスタグランジンを抑制する働きがあるため、生理痛を緩和してくれるのです。
他にも、CBDは神経の傷みが原因で起こる神経痛や関節痛などといった慢性の痛みにも効果があることがわかっています。
まとめ
CBDには、慢性的な痛みに対する鎮痛効果が備わっているだけでなく、人体の調節機能であるエンド・カンナビノイド・システム(ECS)のバランスを整えることによって頭痛や偏頭痛を軽減します。
また、頭痛だけに限らず、生理痛やPMS(月経前症候群)、神経痛や関節痛など体中の様々な痛みに対しても効果が期待できます。
頭痛に対してCBDを使用する場合、オイルやべイプ、ロールオン、バームなどの製品がおすすめですので、慢性的な痛みに悩んでいる方はぜひ毎日の生活のなかにCBDを取り入れてみてください。