CBDやCBDオイルはドーピング検査NG?スポーツ選手が安全に使う方法

CBDやCBDオイルはドーピング検査NG?

プロのアスリートやスポーツ大会・競技などに参加する選手たちにとってドーピングについて考えることはとても重要なことです。
彼らは競技に出場するために、普段自分たちが摂取しているものがドーピング検査の問題にならないかをチェックしておくことは欠かせません。

今、さまざまな健康・治療効果が期待できる成分として、大麻草の成分であるCBDが多くの人に注目されています。
CBDは、アスリートにもメリットがあると言われているため、摂取しているアスリートも増えています。

CBDは、副作用があまりない安全性が高い成分だと証明されていますが、果たしてドーピング検査に引っかかることはないのでしょうか。

この記事では、アスリートにとってのCBDのメリットや、CBDとドーピング検査について、アスリートが選ぶべきCBD製品や注意点などを説明していきます。

CBDの依存性や中毒性の有無については、こちらの記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
CBDは依存性や中毒性がある?大麻との違い・摂取時の注意点も

目次

CBDがアスリートにもたらすメリット

CBDを摂取してもドーピング検査に合格することができるのか、とアスリートが心配するのはなぜなのでしょうか。

それは、CBDの摂取がアスリートにさまざまなメリットをもたらすからです。
アスリートにとってのCBD摂取のメリットを見ていきましょう。

1.運動による痛みを抑える効果

2018年に海外で行われた研究によると、大麻草の成分が運動による筋肉痛や関節痛の痛み、こわばりを軽減することが示唆されています。※1

これは大麻草の効果を調べた研究であり、CBDのみの効果を示したものではありません。
しかし、多くのアスリートが抱えている痛みを、大麻草の成分であるCBDが効果的に軽減できるのではないかと考えられています。

痛みは、アスリートにとって大きな問題になります。
痛みがあることが原因で、競技に出場できなかったり、出場できたとしても実力が発揮できず、良い結果が出せなかったりすることもめずらしくありません。

痛みを抑えるために医薬品を使う選択肢もありますが、医薬品を使うと副作用など他の問題も出てきます。
体調を万全に整えて競技に出場しなければならないアスリートにとって、薬の副作用は大きな問題です。

2017年の海外の研究において、CBDは医薬品に比べて副作用がほとんどないことや安全性が高いことが報告されています。※2

副作用がほとんどなく、痛みを軽減することが期待できるCBDは、アスリートにうってつけの成分と言えるのではないでしょうか。

2.炎症を抑える効果

CBDは、抗炎症作用があると考えられています。

2009年にCBDと炎症についての研究が海外で行われました。
その研究によると、CBDは炎症性の物質の産生を減らすことにより炎症を抑える作用があることが示唆されました。※3

アスリートは、トレーニングや試合などで激しい運動をします。
その結果、多くの炎症性の物質が身体の中で作られ、身体に炎症を起こします。

多少の炎症なら問題になりませんが、過剰な炎症は、アスリートの体力や怪我の回復を妨げてしまう原因になります。
そのため、競技の結果にも大きな影響を与えかねません。

以上のことからアスリートのコンディションを保つためにも、CBDの抗炎症効果は大いに役立つと考えられます。

3.試合の緊張を抑える効果

CBDは気持ちをリラックスさせる効果が期待できます。

2019年にCBDと不安に関する研究が海外で行われました。
その研究によると、8割近い患者の不安が減ったことが報告されています。※4

試合前になると、多くのアスリートが緊張します。
その緊張が過剰になってしまうと、試合結果に悪影響を及ぼす可能性も高いです。
CBDはアスリートが試合で実力を出せるように、緊張をほぐすサポートをしてくれるでしょう。

4.その他の効果

CBDがアスリートに与えるメリットは、他にもたくさんあります。

たとえば、CBDには胃腸を整える効果が期待できるため、マラソンなどの持久系の競技を最後まで続ける助けとなることもあります。

またCBDの睡眠を改善する効果は、アスリートの睡眠の質を向上させることで、トレーニングの成果や実力を本番で発揮しやすくするでしょう。

このように、CBDを摂取することはアスリートにとって大きなメリットになるため、競技中も摂取したいというアスリートが増えているのです。

CBDを摂取してもドーピング検査に合格できる?

世界ドーピング防止機構(WADA)は、競技中に禁止されている物質における国際基準を発表しています。
その基準には、「カンナビノイド」が禁止される物質の一つとして書かれています。

これだけを見ると、CBDを含む全てのカンナビノイドが禁止されているように見えますよね。

しかし2018年にWADAは、CBDのみを禁止薬物の指定から除外することを決定しました。
国際基準にも、「カンナビジオール(CBD)は除く」と注意書きがあります。

つまり、CBDを摂取していてもドーピング検査には問題ないということです。

CBD製品を使うとドーピング検査に引っかかるかもしれない理由

CBDを摂取してもドーピング検査には引っかかりませんが、CBD製品ならどれでも競技前に摂取できるわけではないので、気を付ける必要があります。

CBD製品の中にはCBDだけでなく、CBNやCBGなどほかのカンナビノイドが含まれているものもありますし、海外では日本では違法となるTHCが含まれている製品も販売されているからです。

CBD以外のカンナビノイドはドーピングの禁止薬物として指定されています。
そのため、他のカンナビノイドが混ざっているCBD製品を摂取してしまうと、禁止薬物を摂取したつもりがないのにドーピング検査が陽性になってしまった、ということも考えられるのです。

ドーピング検査に合格するためのCBD製品の選び方

ドーピング検査に引っかからないためにおすすめのCBD製品は、ほぼCBDだけで作られているアイソレートと呼ばれる製品です。

CBDの製法により3つに分けられます。

フルスペクトラムは、大麻草の成分を全て抽出して製造された製品です。
フルスペクトラム製品には、CBDやTHCを含む100種類以上のカンナビノイドや、テルペン、フラボノイドと呼ばれる500種類以上の化合物などが入っています。
CBD以外の成分が含まれていることでアントラージュ効果(※)が期待できることがフルスペクトラムのメリットの一つです。

※アントラージュ効果とは、CBDのようなカンナビノイドと、テルペンやフラボノイドといった他の複数の植物原料と合わせて摂取することで、本来のカンナビノイドの効き目がより高まる効果(相乗効果)のこと

ブロードスペクトラムは、フルスペクトラムからTHCだけを除去して作られた製品です。
THC以外のカンナビノイドやテルペン、フラボノイドが入っています。ブロードスペクトラムもCBD以外の成分を含んでいることからアントラージュ効果が期待できます。

アイソレートは、大麻草からCBDのみを抽出して製造された製品です。
ただし、100%CBDで作られているわけではありません。
CBDの純度は99%以上になっています。
アイソレートは、フルスペクトラムやブロードスペクトラムに比べて、CBD以外の成分がほとんど含まれていないため、アントラージュ効果は期待できません。

CBD以外のカンナビノイドは、ドーピングの禁止薬物として指定されています。
フルスペクトラムやブロードスペクトラムに含まれているCBD以外の成分がたとえ微量だとしても、ドーピング検査が陽性になる恐れがあるということです。

そのため、プロのアスリートや競技・大会などに出場する選手がCBD製品を摂取する場合は、CBDが99%以上のアイソレートを選ぶと良いでしょう。

一方で、CBD製品の中には、CBD以外の大麻草の成分がどうしても含まれてしまうため、ドーピングのリスクをゼロにするには、CBD製品を摂取しないほうが良いという意見も実はあります。
アイソレートだとしても、CBD製品を作る際にCBD100%のものを作るのは不可能に近いからです。

たしかにCBD100%の製品はありませんので、CBDを摂取する時は自己責任で摂取することになります。
しかし、99%以上がCBDでできているアイソレートならドーピング検査が陽性になることはまずないと一般的には考えられています。

ただし、劣悪な製品を販売している会社などでCBD製品を購入してしまうと、たとえそれがアイソレート製品だとしても、他のカンナビノイドなどが含まれている可能性も十分考えられます。

そのような商品を摂取してしまうと、ドーピング検査が陽性になりかねません。
最悪の事態を避けるためにも、CBD製品を購入する際は必ず信頼できる会社の高品質の製品を購入してください。

アスリートがフルスペクトラムやブロードスペクトラムを摂取する場合の注意点

どうしてもフルスペクトラムやブロードスペクトラムの製品を使いたいのなら、検査までの期間を十分に空けて使うようにしましょう。

トレーニング時に摂取したフルスペクトラムやブロードスペクトラムの成分が、数日後の競技当日に検出されてしまうこともわずかながらあるためです。

アスリートの方でもアントラージュ効果を期待して、トレーニング中は効果の高いフルスペクトラムやブロードスペクトラムを摂取して、競技前のドーピング検査の前には、アイソレートに代えて摂取したいという人もいるのではないでしょうか。

海外の例ですが、気をつけながらTHCが含まれているCBDオイルを摂取したとしても、数日たってからTHCが体内で検出されたことがありました。

アスリートなどドーピング検査をする人が、フルスペクトラムやブロードスペクトラムのCBD製品を摂取する場合は、本番までの期間を十分に空けるなどの配慮が必要です。

ただし、どの程度の期間を空けるべきかは人それぞれですし、含まれているカンナビノイドの濃度によっても違ってきます。
しっかりと自己管理できる自信がなければ、フルスペクトラムやブロードスペクトラムの製品は摂取しない方がいいでしょう。

CBDとドーピングに関するよくある質問

Q.CBDはドーピング検査で引っかかりますか?

世界ドーピング防止機構が発表している国際基準では、大麻草の成分であるカンナビノイドは禁止薬物指定になっていますが、CBDだけは除外されています。

つまり、CBDを摂取してもドーピング検査は陽性にならず、合格できます。

Q.CBDはどんなアスリートにとってメリットがありますか?

CBDはアスリートにとってさまざまなメリットがあると言われています。
運動による筋肉痛や関節の痛みを緩和する効果、炎症を抑える効果、胃腸を整える効果、睡眠の質を向上させる効果、不安を軽減する効果などです。

CBDはドーピングの禁止薬物ではないので、適切に摂取すれば競技本番で実力が発揮しやすくなるなどの効果が期待できるでしょう。

Q.アスリートはどのようなCBD製品を選べばよいですか?

CBD製品には製法により、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートの3つの種類があります。
アスリートにおすすめなのは、99%の純度のCBDが含まれているアイソレートの製品です。

しかし、アイソレートとはいっても中には質の低い製品もあるので、ドーピング検査に引っかかるカンナビノイドが混入している可能性もあります。
信頼のおけるメーカーの商品を選ぶことはもちろんですが、必ず成分分析表をみてCBD以外のものが入ってないか確認してから購入するようにしましょう。

【参考資料】
※1 Chapter 56 – Role of Cannabinoids in Pain Management
※2  An Update on Safety and Side Effects of Cannabidiol: A Review of Clinical Data and Relevant Animal Studies
※3 Cannabinoids as novel anti-inflammatory drugs
※4 Cannabidiol in Anxiety and Sleep: A Large Case Series

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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