CBDやCBDオイルのガンについての研究事例を紹介

CBDやCBDオイルのガンについての研究事例を紹介

CBDは様々な健康・治療作用があり、安全性が高いことが分かっています。
最近ではCBDがもたらす効果に期待し、CBDを始めている人も非常に多いです。

CBDを試す目的は人それぞれですが、CBDでより健康になりたい、健康を持続させたい、CBDを医薬品の代わりに使いたいというのが主な理由でしょう。

その一方で、医薬品ではあまり効果の見られない病気にCBDを使いたいという人もいます。

例えばがんや、難治性のてんかんは、医薬品を使っても思うように治療効果が得られないことがある病気です。
特にがんは、症状や診断、医薬品での治療の副作用に苦しむことが多いことから、CBDのがんの治療効果に期待したい人も多いのではないでしょうか。

この記事では、CBDとがんについて取り上げます。
現時点でのがんとCBDの研究状況を元にして、CBDをがん治療に利用する際のポイントや注意点などについて説明していきます。

CBDの効果や副作用の内容については、こちらの記事をご覧ください。
CBDの効果や副作用とは?効果を感じない場合の対処法も紹介

目次

CBDのがん・腫瘍への効果を検証した研究の成果は?

CBDががん治療に有効かどうかの研究は、今世界中で多数行われています。

ここでは、
・すい臓がん
・脳腫瘍
・大腸がん
・乳がん

の研究の事例をご紹介いたします

すい臓がんの研究事例

2019年に試験管内と動物の体内で行われたすい臓がんの細胞の研究では、CBDががん細胞の増殖や他の組織への広がりを抑制し、がん細胞を死滅させるように働いていたことが確認されました。

ただし、この研究の結論では、CBDがすい臓がんの治療に効果的な可能性があるものの、すい臓がん患者で行われた研究がないことにも注目しています。

治療に必要なCBDの用量やCBDのがん細胞に対する作用機序(薬が治療効果を及ぼす仕組み)などの臨床的なデータが不足していることから、今後緊急に臨床試験が必要だと締めくくっています。※1

脳腫瘍の研究事例

2019年の悪性の脳腫瘍のひとつである神経膠芽腫(※)という病気の研究では、神経膠芽腫細胞にCBDを使用しました。

※神経膠芽腫は「しんけいこうがしゅ」と読み、中高年に多く発症する、悪性度が強い脳腫瘍のこと。

その結果、CBDは神経膠芽腫細胞の放射線治療をより有効にし、がん細胞を死滅させるように働く可能性があることが示されました。
また、CBDが死滅させるのはがん細胞に対してだけで、健康な細胞には影響しないことも分かりました。※2

同じく、神経膠芽腫の研究で、神経膠芽腫を患っている患者に普段の治療に加えてCBDを併用したところ、再発の抑制や、生存期間の延長が見られたことも報告されています。

大腸がんへの研究事例

2014年の試験管内での結腸がんの研究では、CBDが結腸直腸がん細胞の増殖や拡散を抑制する可能性があることが示唆されました。

人間の体の中にはCB1受容体やCB2受容体と呼ばれるものがあります。これらの受容体を活性化すると、エンドカンナビノイドシステム(ECS)(※)が活性化し、抗がん作用を示すと言われています。
※ECSとは、体内の環境を一定に保とうと調節する機能のこと。細菌やストレス、炎症、痛みなどにさらされても、回復し生きていけるのはECSが働いているからと言われている。

この研究では、CBDがCB1受容体やCB2受容体を活性化することにより、結腸直腸がん細胞の増殖を抑制すると結論付けています。※3

一方で、CBDはCB1やCB2受容体にはあまり結合せず、他の作用機序や別の受容体を介してECSを活性化していると考える専門家もいます。

乳がんへの研究事例

2010年に行われた有効性、安全性、毒性などを調査するために行われる前臨床試験では、CBD が乳がん細胞の増殖と拡散を大幅に抑制したことが報告され、CBD の転移性の乳がんへの有効性が示されました。※4

2020年の研究では、マウスの実験において、CBDが乳がん細胞を死滅させたり、細胞分裂を防いだりなど様々な作用機序により、乳がん細胞の増殖を抑える効果を発揮することが示唆されています。※5

CBDとがん・腫瘍の研究結果のまとめ

これらの研究を見ると、CBDのがんに対する効果には大いに期待できると言えます。

ただし、これらの研究のほとんどは人での大規模な臨床試験ではないため、CBDががん治療に有効かどうか証明するためには、更なる研究が必要だということは付け加えておかなければなりません。

専門家の中には、CBDががん細胞を抑制するという確証が得られるまでは、CBDを他のがんの治療薬の代替品としては使うべきではないと述べている人もいます。

一方で、CBDの抗がん作用について人での臨床研究があまりないものの、上記のような試験管内や動物の体内での研究は多数発表されており、また人での研究も5年ほどすれば多く見られるようになると予測して、CBDをがん治療に使っているクリニックが日本にあります。

いずれにせよ、今の時点ではCBDががんに効果がある証明がまだできていないため、CBDをがんに使うときは自分で判断せずに医師の指示に従うようにしてください。

CBDががん治療に期待できる4つのポイント

CBDが実際にがん治療に効果的だという確証は今のところはありませんが、CBDのがんに対する効果の他にCBDをがん治療に使用するポイントが4つ考えられます。

1.CBDは抗がん剤の副作用の吐き気を抑えられる可能性がある

CBDを抗がん剤治療に使う上で考えられる第一のポイントは、CBDが抗がん剤の副作用である吐き気を抑制することが期待できることです。

がん治療で多くの患者が苦しむのは、抗がん剤の副作用です。
中でも吐き気の副作用は、患者の前向きな治療への気持ちを奪ってしまうほど辛いと言われています。

吐き気には脳内のセロトニンという物質が関わっています。
抗がん剤の吐き気を緩和する医薬品は、このセロトニンの作用を抑制することによって吐き気止めの役割を果たしています。

2011年の動物実験の研究で、CBDは、脳内の一部においてセロトニンの分泌を減少させることにより抗がん剤の吐き気を抑制できる可能性があると報告されました。

この文献では、CBDは、従来の医薬品では十分に止められない抗がん剤の吐き気や、いつ起こるのか分からない吐き気を抑えることができるかもしれないと報告されています。※7

問題点として挙げられるのは、強い吐き気のある患者は、CBDの摂取自体が難しい可能性があることです。
しかし、CBDを摂取することにより辛い吐き気が緩和できれば、多くの患者のQOL(生活の質)を大幅に改善させることが期待できます。

2.CBDはがんの痛みを和らげる可能性がある

第二のポイントは、CBDを摂取することでがんの痛みの緩和作用が期待できるということです。

CBDには抗炎症作用があると言われています。
がんの炎症を抑えることにより、広範囲の痛みを緩和させることができる可能性があります。

がんにかかると、がん細胞やがん治療が原因で強い痛みを感じることがあります。
痛みがひどい場合には、通常モルヒネなどの麻薬製剤が使われますが、CBDに痛みを緩和する作用があれば、患者の治療の選択肢を広げることに繋がるでしょう。

3.不安症状・睡眠障害の緩和が期待できる

3番目のポイントは、CBDが不安や睡眠の質を改善する可能性があるという点です。

がん治療や診断は、がん患者を精神的に追い込むことがあります。
治療中に恐怖や心配で押しつぶされそうになる、そのせいで眠れないなどの声も少なくありません。

2019年の研究によると、CBDによって被験者の79.2%が最初の一か月で不安が軽減したという結果が示されました。
また、日によって変化はあるものの66.7%の患者の睡眠が改善したという結果も出ています。※8

この結果を確実なものにするには、より多くの臨床試験が必要ですが、CBDが不安・睡眠障害に効果があるのなら、がん患者の精神的なサポートに大いに役立つと言えます。

4.CBDに重大な副作用はない

4番目のポイントとして挙げられるのは、CBDには重大な副作用はなく、安全性が高いことが証明されているということです。

CBDが抗がん剤の吐き気の副作用や不安、痛みを抑制したとしても、また、がん治療において腫瘍を減らす効果があったとしても、CBD自体に重大な副作用が懸念されれば、安心して使用することができなくなってしまいます。

2017年の研究において、CBDには医薬品に比べて副作用がほとんどなく、安全性が高いことが報告されました。
この結果は、CBDをがん治療や抗がん剤の副作用の緩和に使ったとしても、CBDの副作用を過剰に心配する必要はないということを示しています。※9

ちなみに、CBDで報告されている軽度な副作用は、食欲の減退、下痢、疲労、体重の変化などです。
ただし、副作用として記載されていてもそれが100%起こるというわけではありません。

医薬品でも同じですが、少ない人数において起こった症状でも副作用として記載することになっています。
副作用のない薬は存在しないので、副作用が書かれているからと言って過剰に心配する必要はありません。

起こるかどうか分からない副作用を心配するよりも、万が一副作用が起こった時の対処法を知っておくことの方が大事です。

万が一不快な症状が現れたときには、摂取を中止して様子を見てください。
CBDの副作用は軽度なため、摂取を中止することで治癒することがほとんどです。

それでももし症状が続くようであれば、医師や薬剤師に相談してください。
副作用が起こった時の行動を知っておくことで、症状を悪化させずに済みます。

CBDはがんを予防できる?

がんにかかった時のCBDの効果ではなく、がんにかかる前の予防効果について知りたいという人も中にはいると思います。

CBDががんを予防できるかは、今多くの研究が行われている最中です。
例えば2015年の研究では、大麻を使用した男性は膀胱がんのリスクが45%も低くなるという報告がありました。※10

ただし、今行われている研究の多くはCBD単独ではなく大麻を使った研究です。
CBDががんを予防できる可能性はもちろんありますが、CBDががんの予防にどれほど関与しているのかを証明するためには、多くの人においての長期的な研究が必要になります。

今後の研究に期待しましょう。

CBDはがん治療に用いる際の注意点

CBDは重大な副作用はありませんが、 CYP2D6 や CYP3A4 などと呼ばれている、肝臓の薬物の代謝に関与する酵素を阻害することが知られています。

肝臓はこれらの酵素により、身体の中に入ってきた薬やアルコールを分解し、解毒しています。

この代謝酵素を阻害すると、体内での薬の代謝・分解機能が弱まる可能性があるので、服用している薬の分解や排泄を遅らせてしまいます。
その結果、薬の作用を必要以上に高めてしまったり、解毒が十分にできなかったりすることが考えられます。

ある特定の薬とグレープフルーツジュースを一緒に摂取すると、医薬品の作用が過剰になってしまうので注意しなければならないということを聞いたことはないでしょうか。
グレープフルーツジュースもCBDと同じように肝臓の代謝酵素を阻害する働きがあるので、薬を服用する上でこのような注意がされています。

CBDは、がん治療の際に服用している薬と酵素による相互作用を起こす可能性があります。

治療の際にCBDを勝手に併用してしまうと、知らぬ間に相互作用を起こしてしまう恐れもあるので、CBDをがん治療中に摂取する場合は、摂取前に必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください

まとめ

今回は、がんとCBDの研究状況やCBDをがん治療に利用する際のポイント・注意点について説明してきました。

CBDががん治療に効果があるかどうかの研究は、今世界中で多数行われています。
研究結果を見ると、CBDががんに有効である可能性は高いと言えます。

しかし、研究のほとんどが試験管の中や動物の体内で行われていることや、人間を使った大規模試験がまだ行われていないことから、少なくとも今はCBDが確実にがんの治療薬として使えるとは断言できません。

実際に医療の現場でCBDをがん治療に取り入れている医療機関はすでにありますが、医師の指示の下でCBDによる治療が行われています。

CBDががんに有効な確証はまだ得られていませんが、CBDをがん治療に使うポイントがいくつかあります。

CBDをがん治療に加えることによって、抗がん剤の副作用である吐き気や、がんやがん治療に伴う痛み、不安症状・睡眠障害の緩和などが期待できること、また、CBD自体に重大な副作用がないことがポイントとして挙げられます。

CBDのがん予防に対する効果に関しては、CBDや大麻草とがん予防の関係性についての研究が行われているところです。
CBDががん予防に効果がある可能性はありますが、CBD単独での研究結果がまだあまり出ていないため、CBDにがん予防効果があるかどうかはっきりとは分かっていない状況です。

CBDは、服用している他の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。
CBDを使う際は自分の判断で治療に追加せず、摂取前に必ず医師や薬剤師に相談をして下さい

【参考文献】
※1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6352507/
※2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6368233/
※3 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0944711313004728?via%3Dihub
※4 https://link.springer.com/article/10.1007/s10549-010-1177-4
※5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7693730/
※6 https://gmcl.jp/other-therapy/
※7 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3165951/
※8 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30624194/
※9 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5569602/
※10 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25623697/

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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