CBDやCBDオイルは犬にも効果的?ペット用CBDの与え方・選び方も解説

CBDは、様々な健康・治療効果が期待されている成分で、今多くの人からの注目を集めています。

CBDは副作用があまりなく、安全性が高いことがすでに証明されていること、多くの不快な症状の改善効果が期待できること、また、医薬品では効果があまりない疾患の治療に使われていることなどがCBDの人気の高さの理由です。

CBDの恩恵を受けて健康を維持しようと、世界中の多くの人がCBDを生活の中に取り入れています。

家族であるペットにも、CBDの高い健康効果を利用できないかと考える人も増えているようです。

家族の一員であるペットが苦しんでいるところを見るのはとても辛いものです。

ペットはつらさを言葉で表現できないため、何をしてあげたらよいのか分からないということもあるでしょう。

安全性が高いとされているCBDでペットの痛みが軽減するのであれば、CBDをペットに摂取させてみたいと思うのも当然です。

この記事では、犬へのCBDの効果やCBDの用量、犬用のCBDオイルの選び方、犬にCBDを与える際の注意点などを説明していきます。

目次

CBDは犬にも効果がある?

そもそも犬にCBDを与えても大丈夫なのでしょうか。

日本ではあまり聞かない話だと思いますが、今回は海外の研究をもとに解説していきます。

まずは、CBDがどのように犬の体に作用するかを見ていきましょう。

CBDが効果を発揮するためのキーポイント

CBDはエンドカンナビノイドシステム(ECS)を活性化することで、人に健康・治療効果をもたらすと言われています。

ECSとは、体内の環境を一定に保とうと調節する機能のことで、ホメオスタシス(恒常性)とも言います。
細菌やストレス、炎症、痛みなどにさらされても、回復し生きていけるのはECSが働いているからと言われています。

CBDはECSを介して恒常性を保つ作用により、痛みや炎症など不快な症状を改善すると考えられています。
つまり、CBDが効くためにはECSが備わっていることが必要ということです。

犬にはエンドカンナビノイドシステムがあるの?

犬にも人間と同じようにECSがあります

特に、犬の脳には多くのカンナビノイド受容体(※)があることが知られていて、その数は人間よりも多いことが分かっています。

※カンナビノイド受容体とは、エンドカンナビノイドや植物性のカンナビノイドの作用の信号を受け取り、ECSに作用するよう体内に伝える働きをするたんぱく質のこと。

犬のECSについてはまだ解明しきれていないところがありますが、人間のECSの機能と非常によく似ていると考えられています。

以上のことから、CBDは犬にも効果があると言えます。

犬がCBDを摂取すると、ECSが活性化し、恒常性がたもたれることで健康維持効果につながると考えられます。

CBDを犬に使った場合の様々な効果

CBDは今まで、人間において様々な研究が行われてきました。

その結果、CBDの効果のある疾患や症状が明らかにされつつありますが、犬とCBDの研究は今のところあまり行われていません。

ですが、今の時点で結果が出ている数少ない研究を紹介していきます。

1.変形性関節症への効果

CBDは、犬の変形性関節症を改善できる可能性があります。

2018年に犬の関節症とCBDオイルに関する研究が行われました。

その結果、CBDオイルで痛みが大幅(80%)に緩和し、犬の活動が増加したことが報告されました。
また、獣医による評価において、関節症の治療中の痛みの緩和も見られました。※1

変形性関節症を患い、歩くことがほとんどできなかった7歳の犬の症例では、CBDオイルによって歩くことができたことが報告されています。

痛み止めの薬を飲んでいても効果がなく、痛みがどんどんひどくなり、飲食やトイレに行くことが大変だった犬が、CBDを3日摂取したことによる、四足歩行ができるようになったとのことです。

以上のことからCBDには、犬の変形性関節症における痛みや炎症を抑える効果があると考えられるでしょう。

2.てんかんへの効果

てんかんは犬に意外と多い疾患です。てんかんの治療で病院に通わなければいけない犬も少なくありません。

CBDは、犬のてんかん発作を減少させる効果があることが期待されています。

2019年にCBDと犬のてんかんに関する海外の研究が行われました。

研究は、てんかん発作の治療薬とCBDを与えられたグループ(9匹)とてんかん発作の治療薬とプラセボ(※)(7匹)を与えられたグループを比較することで行われました。※2

※プラセボとは見た目は薬効のある薬と変わらないが、薬効はまったくないもの

その結果、CBDと治療薬を投与したグループの犬のてんかん発作が、プラセボと治療薬を投与したグループの犬よりも大幅に少なかったことが報告されました。

研究結果から、CBDは犬のてんかん発作を抑える可能性が高いと言えます。

ただし、CBDのグループの犬も、プラセボのグループの犬も発作の数が治療前と比べて減少したという事実もあります。

てんかん発作の減少が、治療薬の効果ではなくCBD効果だと証明するためには、さらなる研究を行うことが必要です。

3.かゆみへの効果

CBDは、犬のかゆみを軽減させる効果があると考えられています。

最近行われたオーストラリアの研究では、8週間CBDを犬に投与した結果、かゆみや炎症、皮膚病の症状が51%減ったことが報告されました。

また、アメリカの研究でもCBDと他のカンナビノイドを同時に犬に摂取させた結果、かゆみの軽減が見られたと結論付けています。

CBDを摂取させることによって炎症を抑え、かゆみや皮膚症状を改善する可能性が高いと言えるでしょう。

4.がんへの効果

CBDは、犬のがん細胞の増殖を減少させる可能性があります。

犬のがんとCBDに関するコーネル大学の研究では、試験管内での癌の増殖を調べた研究が行われました。

その結果、CBDが抗がん剤よりもがん細胞を減少させたことが報告されました。

また獣医師からは、CBDが実際に、犬のがん細胞を小さくしたり、がんを寛解させたりしたとも報告されています。

CBDは、人間においてがん細胞を死滅させたり、転移を防いだりする効果があると考えられていますが、犬のがんに対しても効果があることが期待できると言えます。

5.不安やストレスへの効果

犬の不安感が強まると、物音に対する過剰反応や攻撃性の問題、鳴き声による近所への騒音の問題などを引き起こし、飼っている家族の生活の質にまでも影響しかねません。

CBDは、犬の不安感を軽減できる作用があると考えられています。

オーストラリアの研究では、攻撃性がある犬にCBDを摂取させる実験をしました。

CBDを摂取させてから15日後に犬の攻撃性は低くなったとのことです。

また雷雨を極度に怖がる犬の症例において、犬の抗うつ薬を服用させた結果、不安感が50%減少したのに対して、CBDを摂取させたときには、不安感が97%も減少したと報告されています。

CBDで犬の不安感を取り除くことにより、攻撃性や騒音問題が減り、犬だけでなく飼っている家族の生活の質も向上させることが期待できます。

6.その他の疾患への効果

その他、動物実験により、CBDによる様々な疾患の改善が報告されています。

腸の炎症の軽減、吐き気の抑制、抗菌作用など
です。

ただし、これらの実験は犬によってまだ行われていないため、犬に効果があるかどうかは分かりません。

今後の結果を待ちましょう。

CBDオイルを犬に使うと副作用はある?

CBDを犬に投与すると、口の渇き、血圧の低下、眠気、下痢、嘔吐といった副作用が現れることがあります。

CBDオイルが、人間や動物にとって安全かどうかについてはまだまだ研究途上で、犬にCBDオイルを与えるにあたって、副作用が現れるリスクがあることを想定しておく必要があります。

責任をもって摂取量を管理し、CBDを与えた後の犬の様子の変化を注意して観察するようにしましょう。

犬が摂取できるCBDの量?

CBDが犬に効果がある可能性が高いことは分かりましたが、実際に犬にどのくらいの量のCBDを与えればよいか分からないという人も多いと思います。

犬の適切なCBDの用量についても、海外の臨床研究から考えてみましょう。

先ほど紹介した2018年の変形性関節症の犬の研究では、体重1kgあたり2mgのCBDを1日2回、犬に摂取させています。
この用量は犬の不快感を与えず活動レベルを上げたとも報告されました。

ただし、この結果は参考程度に考えてください。

CBDと犬の投与量についての他のデータをみると、投与量が定まっているわけではなく、研究によって様々な用量が投与されています。

どのくらいの用量が犬にとって最適な量なのかは、個々の犬の体格や症状によるというのが実際のところでしょう。

それではどのように犬の適切な用量を見極めればよいのでしょうか。

まず、少量のCBDを犬に与えてみて様子を見ることから始めてください。

犬は自分の状態を言葉で表現できないため、犬の様子がどう変化するか注意深く観察する必要があります。

少量のCBDで様子の変化が見られない場合は、CBDの量を少しずつ増やしてみましょう。

少しずつ増やして効果が見られ始めたら、それがその犬にとっての適切な用量ということになります。

ただし、CBDを与えていく上で不快感を示すような行動が見られたら、CBDの摂取を止めてください。

おすすめの犬向けCBDオイルの見つけ方

では、ペットのためにはどのようなCBDオイルを選べばよいのでしょうか。

犬へのおすすめのCBDオイルの見つけ方について見ていきます。

1.犬用のCBDオイルから選ぶ

犬に与えるためのCBDオイルを選ぶ際には、まず犬用またはペット用のCBDオイルを検索することから始めてください。

インターネットで犬用のCBDで検索をすると様々な商品がヒットします。

中には犬のサイズによって商品を選べるものもあります。

2.使い勝手の良いものを選ぶ

犬用のCBDオイルを検索したら、ご自身が使いやすいCBDオイルを選ぶことをおすすめします。

たとえば、CBDオイルの容器がプッシュポンプ式だと、犬の食事に入れやすいなどのメリットがあります。

製品にはそれぞれの特徴がありますので、使いやすそうな製品を購入するとよいでしょう。

3.初めての場合はアイソレートがおすすめ

CBD製品には製法によって主に3つの製品があります。

大麻草の成分がすべて含まれているフルスペクトラム、フルスペクトラムから陶酔作用があるTHCを除いて作られたブロードスペクトラム、成分の99%以上がCBDであるアイソレートです。

初めて犬にCBDを与える場合にはアイソレートが良いかもしれません。

先ほど説明した通り、犬の脳にはカンナビノイド受容体が人間よりも多くあります。

THCや他の大麻草の成分であるカンナビノイドは、カンナビノイド受容体に直接作用することが知られています。

つまり犬は人間よりもカンナビノイドに敏感である可能性が高いということです。

フルスペクトラムやブロードスペクトラムを選ぶと、効果が強すぎてしまったり、予想外の作用が出る可能性も考えられます。

また、フルスペクトラム製品の中には、THCが検出されるものがあります。

もしTHCが検出される商品を選んでしまったら、日本ではそのような製品を所持をするだけでも違法になるので、たとえ犬向けの製品であったとしても大麻取締法違反になります。

以上の点から、最初はCBDのみが含まれるアイソレートのCBDオイルを選ぶことをおすすめします。

また、犬は香りに敏感です。

フルスペクトラムやブロードスペクトラムの製品には、大麻草の独特の香りを消すために、他の香りがプラスされている製品が多いです。

食事に混ぜても、そのにおいを犬が感じとって、食事が進まなくなってしまうこともあるので、そのようなことを避けるためにも香りのついていないアイソレートを選ぶとよいでしょう。

犬にCBDを与える際の注意点

CBDを犬に与える際に必ず守ってほしいことは、犬にCBDを摂取させる前に獣医師に相談することです。

獣医師に相談することによって犬の症状にCBDが適切なのか判断してもらえますし、万が一副作用が起こった時にも対処してもらいやすくなります。

今服用している薬がある場合にも、CBDと医薬品の相互作用について獣医師に確認しておくことが大切です。

獣医師からCBDを摂取させても良いと言われたら、実際にCBD製品を購入することになりますが、購入する際には必ず、信頼のできるメーカーでCBD製品を購入してください。

農薬や重金属、THCなどが万が一含まれていると、犬の健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。

信頼できるメーカーは、第三者機関で検査を依頼し、検査結果を公表しています。

購入する前に危険物質が含まれていないことを確認し、安心できる製品を購入するようにしましょう。

CBDオイルと犬に関するよくある質問

Q.CBDは犬にも効果がありますか?

CBDはエンドカンナビノイドシステム(ECS)を活性化することで作用します。

犬にも人間と同じようにECSがあることから、CBDは犬にも効果があると言うことができます。

Q.CBDは犬のどのような症状に効果がありますか?

犬とCBDについて行われた研究はまだ少ないですが、今まで行われた研究結果では、変形性関節症、てんかん発作、がん、かゆみ、不安などに効果があると言われています。

今後研究が進むにつれて効果がある症状が増える可能性は十分にあります。

Q.CBDを犬に与える際に気を付けるべきことを教えてください

CBDを犬に与える前に必ず獣医師に、CBDの効果や相互作用、副作用などについて相談してください。

また、CBD製品を購入する際には、農薬や重金属、THCなどの危険物が入っていないかどうかを必ず確認してから購入してください。

【参考資料】
※1 Pharmacokinetics, Safety, and Clinical Efficacy of Cannabidiol Treatment in Osteoarthritic Dogs
※2 Randomized blinded controlled clinical trial to assess the effect of oral cannabidiol administration in addition to conventional antiepileptic treatment on seizure frequency in dogs with intractable idiopathic epilepsy

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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