近年人気のCBD。
CBDは「カンナビジオール」の略で、大麻草から抽出される成分のことで、ストレスや痛みの緩和などの医療や健康面での働きが期待されています。
アメリカをはじめとする諸外国では、医療用大麻の合法成分としても知られているほどです。
CBDについて調べると「大麻草から抽出」「キマる」「ハイになる」という言葉が出てきて、違法性や身体への害がないかといった危険性について心配になる方は多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、CBDが「キマる」のかどうかについて解説していきます。
CBDを摂取すると「キマる」の?
CBDを摂取しても「キマる」ことはありません。
「キマる」とは、薬物などの精神活性作用で精神が高揚することを言います。
大麻を使用すると気分が「ハイ」になったり、陶酔したりしますが、これが「キマる」ということです。
CBDは大麻草の成分の一つです。そのため、CBDと大麻やマリファナのイメージが重なり、CBDを摂取すると「キマる」のではないかと勘違いしてしまう人も多いかもしれません。
大麻草には、何百もの違う種類の成分が含まれています。
その中で「キマる」という作用を招いている成分は、THC(テトラヒドロカンナビノール)という成分です。
CBDとTHCは同じ大麻草という植物の成分ではありますが、化学構造式も化学的性質も全く違う別物です。
CBDには、THCのような精神活性作用や依存性などの危険な作用は一切ありません。
また、CBDは安全性が高いことがすでに証明されている成分なので、安心して摂取することができます。
ちなみにCBDは、オレンジからも微量に抽出されます。
この事実からもCBDは「キマる」ことがない安全な成分であることが分かるのではないでしょうか。
CBDオイルやCBDグミを使うとハイになれる?
CBD製品としてCBDオイルやCBDグミ、CBDベイプなどが売られています。
商品によってCBDの吸収率や持続時間に違いはありますが、どのCBD製品を摂取してもCBD自体に精神活性作用がないので、気持ちが「ハイ」になることはありません。
ただし、海外製のCBD製品の中にはTHCが混ざっているものも中にはあります。
THCが入っているCBD製品を万が一使用してしまうと、たとえTHCの量が微量であったとしても「ハイ」になる可能性があります。
CBDとTHCの違いは?
CBDとTHCの大きな違いは、人を「ハイ」にさせる精神活性作用の有無と違法性です。
THCは、脳内の精神活性作用をもたらす受容体に結合することで気持ちを「ハイ」にさせます。
一方CBDは、精神活性作用をもたらす受容体に結合せず、逆にブロックすると言われています。
そのため、CBDを摂取しても「ハイ」になることはありません。
CBDは、THCとは異なるメカニズムで作用すると考えられています。
CBDが脳内でどのように作用しているかは、まだはっきりとは分かっていませんが、CBDはまだ発見されていない受容体を介して作用しているのではないかという説もあります。
またTHCとCBDは、精神活性作用の有無から違法性に関しても大きな違いがあります。
CBDは合法なの?法規制について解説
CBDは、精神活性作用が一切なく安全性の高い成分のため、所持をしても使用してももちろん合法です。
現在の日本において、CBDを規制する法律はありません。
CBDオイルやグミなどのCBD製品を使っても、日本で使用しても問題ありません。
電子タバコ(VAPE)でCBDを吸引する方法でもCBDの使用は合法です。
「大麻から抽出された成分を吸引するなんて、怪しくて手をだせない」と不安な人もいるかもしれませんが、合法成分であるCBD製品を吸引摂取しても法律的に全く問題ありません。
それに対してTHCは、強い精神活性作用をあらわすことから、日本では大麻取締法によって規制されていて所持をするだけで違法になります。
海外から輸入されたCBD製品には日本での使用が禁止されているTHCが含まれている場合があります。
THCを少量でも含んだCBD製品を日本で所持すると、違法になる可能性があります。
そのため、海外のCBD製品を購入する際には、THCが含まれていないかを必ずチェックしましょう。
CBDに副作用はある?
CBDの副作用として、だるさや眠気、下痢などが起こる可能性があります。
ただ、いずれの症状も軽度であり、過度な摂取をしないなど正しく使用すれば決して危険な物質ではありません。
実際に、世界保健機関(WHO)は、CBDの安全性について以下のような報告をしています。
「CBDは非常に安全で、幅広い容量で忍容性が良好※である。公衆衛生上の問題も濫用の危険性もない」
※「忍容性が良好」:副作用がほとんどないかあっても非常に軽いということ
WHOの報告からも、CBDの安全性は非常に高いものだと考えられます。
しかし、万が一副作用が起こった場合にはCBDの摂取を一旦中止し、症状が日常生活に支障をきたす場合はかかりつけの医師に相談してください。
適切に対応すれば、症状が深刻になる前に問題なく対処できます。
CBDの副作用と副作用を抑えるためのポイントを以下の記事で解説しています。あわせてご参照ください。
参考:CBDやCBDオイルの副作用は?ホントに有害性・危険性はないの?
CBDの効果とは?
近年、CBDの効果が注目され、アメリカやドイツなどの諸外国を中心に、リラックス作用や鎮痛作用などの医療面での効果が認められています。
日本ではまだ認知度が高くありませんが、健康に気を使っている方や体調不良を感じている方からの人気が高まっています。
最近では、CBD入りのドリンクがコンビニで売られていたり、CBDが入ったグミやキャンディが手軽に購入できたりと、私たちの生活に身近な存在になってきています。
具体的に、CBDの効果効能には、以下のようなものが挙げられます。
- リラックス・不安の緩和作用
- 痛みや炎症の緩和作用
- 睡眠効果
それでは、それぞれの効能効果について詳しく見ていきましょう。
リラックス・不安の緩和作用
CBDには人をリラックスさせる効果や不安を軽減させる効果があるとされています。
CBDはどのようにリラックス効果をもたらしているのでしょうか。
2020年の海外の研究では、CBDが脳内のセロトニン受容体に作用することが報告されました。
セロトニンは、幸せホルモンと呼ばれる脳内伝達物質で、脳内にセロトニンが増えると副交感神経が刺激されてリラックスすることができます。
2017年の海外の研究では、CBDがGABA受容体に作用することが示唆されました。
GABAは、脳内の過剰興奮を抑えてリラックスさせる作用があるアミノ酸です。
抗不安薬として処方される医薬品にもGABA受容体を活性化させる作用があり、その結果脳をリラックスさせています。
これらの研究から、CBDはセロトニン受容体やGABA受容体を介してリラックス効果をあらわしていることがまず考えられます。
また、CBDはエンドカンナビノイドシステム(ECS)を活性化することでも脳をリラックスさせると言われています。
ECSとは、体内の環境を一定に保とうとする身体の恒常性の機能のことです。
細菌やストレス、不安、炎症、痛みなどにさらされても、健康であれば自然に回復しますよね。
それは体内でECSが作用し、身体を元の健康な状態に戻す作用が働いているためだからと言われています。
2019年の海外の研究では、CBDがECSを調節することで身体の恒常性を保っていることが報告されました。
つまりCBDは、不安を感じている脳に対してECSを活性化させることで、不安がなかった元の状態の脳に戻そうと働いている可能性があります。
痛みや炎症の緩和作用
CBDは、慢性痛や筋肉痛などによって起こる痛みや炎症を緩和すると言われています。
2016年の海外研究では、CBDを関節炎の患部に塗ると関節痛が緩和したことが報告されています。
CBDと筋肉痛に関する海外の研究では、筋トレ後にCBDを摂取したアスリートの筋肉痛が大幅に緩和したという結果になりました。
2019年の海外の研究によると、CBDには抗酸化作用や抗炎症作用があることが示唆されています。
CBDと痛みに関する研究がまだ少ないことから、どのようにCBDが痛みを緩和しているかははっきりとは分かっていません。
しかし、今まで行われてきた研究結果から考察すると、CBDがECSを活性化して痛みのない元の状態に身体を導いているのかもしれないということや、身体をリラックスさせストレスを解消させることで痛みを緩和していることなどが考えられます。
睡眠効果
CBDは不眠を改善し、睡眠の質を高める効果があると期待されています。
考え事をしてしまって寝付けない、起きた時にすっきり起きられないなどの悩みを抱えた多くの人が、CBDを使用することで睡眠に関する問題を改善しています。
2018年の海外で行われた不眠症に対する大麻草の効果を調べた研究では、CBDがTHCよりも不眠症の症状を軽減することが報告されました。
CBDの睡眠への効果は、CBDのリラックス効果によるものだと考えられています。
CBDが身体のストレスを解消することで、脳を眠りに導き、かつ眠りの質を上げていると言えるでしょう。
病気などの改善・予防効果
CBDには、病気の治療や、医薬品の副作用の緩和、病気の発症予防にも効果があることが期待されています。
たとえば、
・抗がん剤の副作用の吐き気を緩和する作用
・小児の難治性てんかんの症状を緩和する作用
・糖尿病の発症リスクを下げる作用
・統合失調症の症状への治療効果
・多発性硬化症への治療効果
などです。
ただし、病気とCBDの研究はまだ十分でないものもあります。
ご自身の症状にCBDを使えるかどうかは医師とよく相談をして下さい。
CBD製品を選ぶ時の注意点
CBD製品を選ぶ際は、信頼できるメーカーから、THCが含まれていない(THCフリー)製品を買いましょう。
CBDは基本的に安全性の高い成分ですが、CBD製品に違法成分のTHCが含まれている場合があります。
なぜなら、CBDオイルを製造する国によって大麻の取り扱いに対する法律が違うためです。
THCが製品に含まれているかどうかについては、消費者自身も責任をもって調べる必要があります。
信頼できるメーカーのCBD製品を購入するためには、そのメーカーが第三者機関での成分分析を行っていることや口コミの評価などを確認してから購入することをおすすめします。
CBDの使用方法とは?
CBDの4つの使い方
CBDの使用方法には、次のようなものがあります。
- 経口摂取
- 舌下摂取
- 経皮摂取
- 吸入摂取
この中で最もCBDの効果実感が早い方法は、CBDをVAPEなどで吸引する方法です。
2番目に早い吸収方法は舌下投与(下の裏の血管から直接吸収させる)で、数分以内に効果を感じられます。
CBDオイルを肌に塗って吸収させた場合は、比較的ゆっくり効果がでます。
経口摂取も比較的時間がかかりますが、食べ物や飲み物に混ぜて使用できるため日常的に続けやすい方法です。
薬との相互作用に気をつける
CBDを薬を一緒に摂取すると、薬の代謝に影響することで、薬の効き過ぎや副作用が出る可能性があります。
大量のCBDを摂取すると、肝臓の酵素(CYP450)を阻害してしまって、肝臓で代謝される薬の一部と相互作用(飲み合わせによって副作用が強くなるなどの影響)が起こる場合があります。
〈CBDと相互作用を起こす薬の例〉
- ステロイド
- 免疫抑制剤
- カルシウム拮抗剤
- 抗うつ薬
- 抗不整脈薬
自分が服用している薬とCBDの飲み合わせが心配な方は、CBDを使用する前に医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
まとめ
今回の記事では、CBDが「キマるのか」について詳しくご紹介しました。
CBDは大麻から抽出される成分のため、精神活性作用や違法性を心配する方も多いかと思います。
しかし、いわゆる「ハイ」になる成分は含まれていませんし、日本での使用も合法です。
また、CBDには中毒性や依存性もなく、リラックス作用や鎮痛作用などの医療や健康面での効果が期待されています。
CBDに関する研究がより進み、製品が多く流通するようになればCBD製品はもっと身近になるはずです。
現在の医療では難しい疾患へのCBDの効果も研究されているので、今後の成果に期待が高まります。
よくある質問
Q. CBDを摂取すると「ハイ」になるような精神作用はある?
CBDには「ハイ」になる精神作用は一切ありません。
大麻草の成分の中で精神作用があるものはTHCという成分です。
CBDはTHCとは化学構造式も性質も全く違うものなので混同しないようにしてください。
Q. CBDをベイプで吸えば、キマることはある?
CBDベイプを吸ってもキマることはありません。
CBDベイプは他のCBD製品に比べると吸収率が高く、CBDの効果が出やすい製品としても知られています。しかし、CBD自体にキマる作用がないため、ベイプを使ってもキマりません。
ただし、海外製のCBD製品の中にはTHCが含まれてしまっているものも中にはあります。そのような製品を購入・使用してしまうとTHCが原因でキマる可能性はあります。
Q. ヘンプとマリファナの違いは?
どちらも大麻草ではありますが、ヘンプとマリファナは同じものではありません。
ヘンプとマリファナの違いは「THCの含有量」です。具体的には、ヘンプに含まれているTHCが0.3%以下であるのに対し、マリファナには通常5~20%のTHCが含まれています(国によって多少含有量の基準が異なる)。
ヘンプの場合は、「ヘンプオイル」といった商品として日本でも幅広く使われていますが、規制対象であるTHCを多く含むマリファナを使うことは禁止されています。