CBDやCBDオイルの生理痛への作用とは?PMSや痛みに悩む方へ

CBDやCBDオイルの生理痛への作用とは

多くの女性にとって生理痛は、毎月対処しなければならない大きな問題です。
研究では、75%の女性が生理痛に悩まされているという結果が出ています。

生理痛のせいで仕事や学校に行くのが辛い、普段しないようなミスをしてしまうなどの生活の質を落としてしまうような経験がある人もめずらしくないのではないでしょうか。

生理痛を和らげるためには、ドラッグストアなどで売っている痛み止めを服用するのが一般的です。
しかし、痛み止めが効かない人や痛み止めの副作用を心配している人、医薬品をなるべく服用したくないと悩んでいる人もいると思います。

この記事では、CBDの生理痛に対する効果や作用を中心に説明していきます。
また、生理痛にCBDを使うメリットやおすすめの製品、使い方なども紹介していきます。

CBDの全般的な効果や副作用の内容については、こちらの記事をご覧ください。
CBDの効果や副作用とは?効果を感じない場合の対処法も紹介

目次

生理痛ってどうして起きるの?生理痛が起こる4つの理由

CBDと生理痛についての作用を理解しやすくするために、まず通常の生理痛が起こる4つの理由について見ていきましょう。

生理痛の理由その1:子宮が収縮するから

生理は、不要になった子宮内膜を身体の外に排出することにより起きます。
その際に子宮が収縮することで物理的に子宮内膜を体外に出しやすくします。

この子宮の収縮が生理痛が起こる理由の一つです。
子宮が収縮することにより下腹部にズキズキ、チクチクといった痛みを感じることがあります。

ただし、子宮の正常の収縮によって起こる生理痛は、一般に言われているような強い生理痛になることは少ないです。
多くの女性が悩む生理痛の原因は、他の3つの理由が関係していることがほとんどです。

生理痛の理由その2:プロスタグランジンが過剰に分泌されるから

子宮を収縮させ、生理を起こすために子宮内膜ではプロスタグランジンという物質が分泌されます。
このプロスタグランジンは子宮を収縮させる作用がありますが、過剰に分泌されると子宮を過剰に収縮させ、強い痛みを起こすことがあります。

プロスタグランジンの作用は、子宮を収縮させるだけではありません。
胃や血管を収縮させる作用で、胃痛や腰痛を引き起こしたり、炎症や痛みを起こす作用により、酷い頭痛を起こすことも多いです。

プロスタグランジンの分泌が多ければ多いほど、生理痛は重くなる傾向にあります。

生理痛の理由その3:脳内のセロトニン量が減少するから

生理痛の原因には、脳内のセロトニン量の減少も関係していると言われています。
セロトニンは痛みを抑える作用や太い血管を収縮・細い血管を広げ、片頭痛を緩和する作用があります。

脳内のセロトニン量は、女性ホルモンの一つである卵胞ホルモンが低下すると減少してしまいます。
つまり、卵胞ホルモンが低下する生理中や排卵期には、頭痛を起こしやすくなり、生理中にはその頭痛が生理痛となって現れます。

片頭痛は、セロトニンが減少することで起こる頭痛です。
生理中に片頭痛が起こる場合は、脳内のセロトニン量の減少が関わっている可能性が高いです。

生理痛の理由その4:血液循環が悪くなるから

身体の血液循環も生理痛に関係しています。
血液循環が悪くなると骨盤内の血が滞り、腰痛や冷え、むくみなどを引き起こした結果、生理の痛みを強く感じるようになります。

普段座りっぱなしで動かない人ほど、血行不良が原因で生理痛が重くなっているかもしれません。
過度のストレスを抱えることによっても血行不良になりやすいので、注意しましょう。

PMS(月経前症候群)の痛みもある

生理中だけではなく生理前に痛みを訴え、悩む女性も非常に多いです。
生理前に起こる身体の不調はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、女性ホルモンの一つである黄体ホルモンが不調の原因だと言われています。

PMSも痛みがひどくなれば、生理痛のように生活に支障をきたす場合も少なくありません。
PMSの主な症状として、頭痛やイライラ感、便秘、肩こり、乳房痛、卵巣痛などがあります。

CBDは生理痛に効くのかー研究結果から薬剤師が考察

生理痛が起こる原因がわかったところで、CBDが生理痛に効果があるのかを、これまでのCBDの研究の結果をベースに考えていきます。

CBDと炎症・痛みに関する研究

生理痛は、プロスタグランジンによって引き起こされる痛みや炎症が原因の一つになっています。
そこで、CBDと炎症・痛みに関する研究結果に注目したいと思います。

2016年のラットの研究において、CBDゲルを関節炎の患部に塗布すると、関節の痛みが軽減されることが示唆されました。※1

2019年の研究では、子宮内膜症(※)を持つオーストラリア人の女性たちがヨガやストレッチなどの身体を動かす治療と比較してCBDや大麻が効果的に痛みを和らげたと評価しています。

※子宮内膜症は、子宮の内側に作られるはずの内膜組織が、子宮以外の場所で増殖してしまう疾患。90%の患者さんが月経痛を訴えている。※2

このような結果から、CBDが頭痛や腹痛、腰痛などの生理痛に効果的である可能性は高いと言えます。

ただし、CBD単独の痛みの緩和効果の研究はまだ少ないのが現状です。
炎症・痛みに関する多くの研究が、日本では違法であるTHCが含まれるCBD製品や大麻草を使っているため、CBD単独で痛みを軽減することを裏付けるためには今後更なる研究が必要です。

CBDと片頭痛に対する研究

生理中は脳内のセロトニン量が減少するため、片頭痛が起きやすいことは先ほど説明しました。

American Migraine Foundation(アメリカ片頭痛財団)によると、CBDが片頭痛の治療として有効である可能性を示しています。
ただし、今まで行われてきた片頭痛とCBDの研究も、CBD単独ではなくCBDとTHCが含まれている大麻草を使った研究です。

大麻草と片頭痛についての研究では、大麻草が片頭痛に効く可能性があると結論が出されていますが、CBD単独での片頭痛の研究がまだないため、CBDが片頭痛に効くという証明がされているわけではありません。※3
しかし、American Migraine Foundation(アメリカ片頭痛財団)はCBDの片頭痛の効果に期待しています。

CBDが片頭痛に対してどのように作用するかもはっきりとしたことは今のところ分かっていませんが、おそらくCBDが、エンドカンナビノイドシステム(ECS)(※)を活性化して痛みや炎症を抑えるのだろうと考えられています。

※ECSとは、体内の環境を一定に保とうと調節する機能のこと。細菌やストレス、炎症、痛みなどにさらされても、回復し生きていけるのはECSが働いているからと言われている。

また、CBDとセロトニンの関係性はまだ解明されていないものの、CBDが脳内のセロトニンの反応に影響を及ぼしている可能性は指摘されています。

今後の研究が進むにつれて、CBDとセロトニン、片頭痛の関係も明らかになっていくことでしょう。

CBDとストレスに対する研究

血行不良が生理痛を悪化させることもあります。
血行不良を招くものといえば運動不足がまず思い浮かぶのではないでしょうか。

そしてもう一つ、血行不良を起こす重大なものがあります。現代病とも言われるストレスです。
特に最近多くの人が抱えているのは、精神的な不安が原因となるストレスで、過剰なストレスが血行不良を招き、生理痛を悪化させている可能性があります。

CBDは不安を軽減させる効果があると言われています。
米国のNational Institute on Drug Abuse(国立薬物乱用研究所)はCBDがラットなどの動物のストレスを軽減することを示唆しています。※4
2018年の研究では、CBDに抗ストレス作用があり、ストレスに関連するうつ病を軽減する可能性があるという結果になりました。

CBDと不安においても、今後さらなる研究を行う必要がありますが、CBDが不安を軽減させ、ストレスの解消効果がある可能性はとても高いと思われます。

もし、CBDが普段の生活においての精神的なストレスや、生理痛に対する不安を軽減することができれば、生理痛の不快な痛みの軽減につながると言えます。

市販の痛み止めの薬にはないCBDの2つのメリットとは?

CBDが生理痛を軽減するという確実な証明や、市販の痛み止めの代わりになるという保証はまだありませんが、実際に生理痛にCBDを使って効果があるという人も中にはいます。

CBDが生理痛に対して効果があるならば、どのような利点があるのでしょうか。

一般的に生理痛を軽減させるのに使用されているドラッグストアなどで売られている痛み止めと比べてみると、CBDには2つの利点があると考えられるので紹介していきます。

1.市販の痛み止めでは効かない痛みに効果があるかもしれない

生理痛によく使われている痛み止めの薬は、子宮を収縮させたり痛みを与えたりするプロスタグランジンを抑制することによって痛みを緩和します。

プロスタグランジンは生理痛を起こす物質の一つではありますが、今まで説明してきたように生理痛は、脳内のセロトニン量の減少や血液循環の悪化など、プロスタグランジン以外のものが原因になっている可能性もあります。

いくら痛み止めを服用しても生理痛が抑えられないことがあるのは、痛み止めの薬は、プロスタグランジン以外で起こる痛みに対処することができないというのが大きな理由のうちの一つです。

CBDはどうでしょうか。
CBDはプロスタグランジンの抑制ではなくECSを活性化したり、セロトニンの反応に影響を及ぼしたりすることによって痛みを和らげると考えられています。
つまり、痛み止めの薬では効果がない痛みをCBDが和らげられる可能性があると言えます。

CBDには、不安軽減作用もあると言われています。
市販の痛み止めの薬では、CBDのように不安を軽減し、血液循環を改善することで生理痛を和らげることはできません。

このようにCBDは、市販の痛み止めの薬とは異なる作用により、厄介な生理痛を緩和することが期待できます。

2.市販の痛み止めよりも副作用が少ない

市販の痛み止めの薬には胃痛を引き起こす副作用があります。
プロスタグランジンを抑制する過程で、胃を保護する物質までも抑制してしまうため、高い確率で胃痛が起きます。
痛み止めの薬だけを服用するはずが、胃の薬も一緒に処方されたという経験がある人もいるでしょう。

一方、CBDは他の医薬品に比べて副作用がほとんどなく、安全性が高いことが分かっています。※5
CBDを口から摂取して、万が一副作用が起きたとしても症状は軽度で、CBDの摂取を止めればすぐに回復することがほとんどです。

CBDバームやクリーム、バスソルトなどの口から服用しない製品は、全身に作用しないため、副作用も全身性のものが起こりづらく、口から摂取するオイルやリキッドよりも安全性はさらに高いと言えます。

市販の痛み止めの薬の代わりに、CBDを使用することができれば、医薬品をあまり飲みたくない人や、副作用が不安な人にとって大きな安心感となることでしょう。

CBDの副作用や注意点は大丈夫?

先ほどCBDは、副作用が軽度とお話ししましたが、副作用が起こるとすればどのような症状が起こり得るのでしょうか。
またCBD摂取を始める際の注意点はあるのでしょうか。

CBDの副作用についての注意点

報告されているCBDの副作用は、主に食欲の減退、下痢、疲労、体重の変化などです。
ただし、CBDを摂取したからと言って、これらの副作用が必ず起こるということではなく、このような症状が起こる人がまれにいるという意味です。

万が一CBDで副作用が起こった場合には、CBDの摂取を中止して様子を見るようにしてください。
CBDの副作用の症状は軽度で、ほとんどは摂取を中止すれば症状が治まりますので、過剰に心配しなくても大丈夫です。

それでも症状が治まらないのであれば、別の原因がある場合も考えられますので、必ず医師や薬剤師に相談をして下さい。

CBDと他の服用薬の相互作用についての注意点

CBDを摂取する際に注意しなければならないのは、副作用よりもむしろ他の医薬品との相互作用です。

他の医薬品は一切服用していないという人は、問題ありませんが、慢性疾患などのためにすでに薬を服用している人や、一時的に薬を飲まなければいけない人などはCBDと服用薬の相互作用に注意する必要があります。

CBDにはCYP2D6やCYP3A4などと呼ばれる肝臓での薬物を代謝する酵素の働きを阻害する作用があると言われています。

CBDが肝臓の酵素の働きを阻害すると、医薬品を解毒するための肝臓の働きを弱めてしまい、結果的に服用した医薬品の分解や排泄を遅らせてしまう可能性があります。

そのようなことが起きると、いつも服用している薬の作用が必要以上に強くなってしまったり、体内に薬が長時間残ってしまったりという問題が起こります。

グレープフルーツジュースとある特定の薬を一緒に摂取すると、薬の作用が増強してしまうので、注意しなければならないということを聞いたことがある人も多いと思います。
CBDもグレープフルーツジュースと同じような作用があると覚えておいてください。

ちなみに、CBDと生理痛によく使う痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)は相互作用を起こす可能性があると言われています。

CBDと同時期に服用している、もしくは服用したい薬がある場合は、CBDの摂取を始める前に医師や薬剤師に大丈夫かどうかを確かめるようにしてください。

生理痛にCBDを使う際におすすめの製品とその使い方

生理痛に対してCBD製品を使うときに、どのような製品を選べばよいのかが気になるところだと思います。
生理痛におすすめの製品6つとその使い方について見ていきましょう。

1.CBDオイル

CBDオイルは舌の下に垂らすことによって、下の裏側にある太い血管から直接CBDを吸収させます。
胃や腸などを通らないため、吸収率が高く、全身への高い効果が期待できます。

ただし、舌の下に垂らして時間をかけて吸収させることが必要なため、コツをつかむまで摂取しにくいと感じるかもしれません。

2.CBDバーム・クリーム

CBDバームやクリームは肌に直接塗って肌からCBDを吸収させます。

肩こりや腰痛などの生理痛が起こった時に、痛みを感じる部分にCBDバームやクリームを塗ると筋肉が緩む感じがする、重い感じが軽くなるように感じるという声もあります。

CBDバーム・クリームを使うときはアレルギー反応が起きないかどうか、皮膚の一部を使ってパッチテスト(※)を行うことをおすすめします。

※パッチテストは、皮膚の柔らかい、かつ普段目立たないところ(例えば腕の内側)を選び、CBDクリームやローションなど、パッチテストをしたい製品を少し塗り込んで行う。2、3日様子を見て、赤く炎症が起きたら、アレルギー反応を起こしているということ。

3.CBDカプセル・錠剤

CBDカプセル・錠剤は、医薬品と同じように飲み込んで摂取します。

CBDオイルのように直接血管に吸収されるわけではなく、胃や腸を通って一部が消化されます。
そのため、オイルよりも吸収率は低い傾向がありますが、全身への効果が期待できます。

4.CBDグミ

お菓子のグミのように、噛んで食べたり、または舌の下に置いて溶かして摂取します。
麻独特のにおいも少なく、食べやすいように様々なフレーバーが付いているため、摂取しやすく初心者向けの製品と言えます。

5.CBDパッチ

CBDパッチは湿布のように直接肌に貼って使用します。
バームやクリームと同じように、生理痛を感じる特定の場所をターゲットにしてある程度の領域の痛みを緩和する目的で使われます。

CBDパッチ製品の中では、数日間効果が持続するものもあります。
長時間にわたって痛みの緩和をしたい人には最適な製品です。

6.CBDバスソルト

CBDバスソルトはお風呂に入れて使います。バスソルトもバームやパッチのようにCBDを肌から吸収します。

入浴は血液循環を良くし、生理痛を和らげる方法としても知られています。
入浴にCBDのバスソルトを加えることで、入浴とCBDの相乗効果となり、生理の不快な痛みをより緩和することが期待できます。

まとめ

今回は、CBDと生理痛について説明してきました。

通常の生理痛の原因は、子宮の収縮やプロスタグランジンの過剰分泌、脳内のセロトニン量の減少、血液循環の悪化などが考えられます。

CBDは、炎症や痛みを軽減させる効果や片頭痛を緩和する効果、ストレスを緩和し血行不良を改善させる効果が期待でき、生理痛を緩和するのに役立つ可能性があることが研究結果で示されています。

しかし、ほとんどの研究は大麻草やTHCを含むCBD製品を使った研究のため、CBD単独での研究結果が不足している状態です。
CBDが生理痛を軽減させる効果があることを証明するためには今後のさらなる研究が必要になります。

CBDが生理痛を軽減する証明はまだできていないものの、実際に生理痛にCBDを使って効果があったという人もいます。

CBDを生理痛に使う利点は2つのことが考えられます。
一つ目は、CBDには市販の痛み止めでは効かない生理痛に効果がある可能性があること、二つ目は、CBDは市販の痛み止めよりも副作用が少なく安全性が高いということです。

一方、CBDを摂取するにあたっての注意点もあります。
CBDの副作用は起こっても軽度であることが知られていますが、万が一副作用が起こり、CBDを中止しても症状が続く場合は、医師や薬剤師に相談をして下さい。

CBDは、医薬品と相互作用を起こす可能性があるため、CBDと同時期に服用しなければいけない薬がある場合は、医師や薬剤師に相互作用が心配ないかどうか確かめてください。

生理痛に使う際におすすめのCBD製品は、オイル、バーム・クリーム、カプセル・錠剤、グミ、パッチ、バスソルトです。

自分にとって使いやすく効果が高い製品を選び、使い方に注意して使用してみて下さい。

【参考資料】
※1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4851925/
※2 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30646891/
※3 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5436334/
※4 https://archives.drugabuse.gov/testimonies/2015/biology-potential-therapeutic-effects-cannabidiol
※5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5569602/

この記事を書いた人

安藤 恵美のアバター 安藤 恵美 薬剤師/臨床試験コーディネーター

星薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師国家免許を取得。横浜市の大型総合病院の薬剤部で、調剤・服薬指導業務を学んだあと、薬剤師や臨床試験コーディネーターとして勤務しながら、医療機関のソフトウェア開発やグラフィックデザインなどにも携わる。
結婚を機にアメリカにわたり、CBDについて知る。その後CBDを実際に試しながらCBDについて学ぶ。

現在は医薬品、サプリメントについて等、ヘルスケアに特化した薬剤師ライターとして活躍。同時に医療コンサルタントとして、オンラインで健康相談も行っている他、Webデザイナー、グラフィックデザイナーとして、企業やコミュニティーからの仕事も行っている。

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